ゴッドマーズ
ごっどまーず
概要
- 全高:50m
- 重量:1050t
- 装甲材質:ポジトロニューム合金(強力な自己修復機能を持つ特殊金属)
- 飛行速度:亜光速(宇宙空間):マッハ20(大気圏)
明神タケルが操るガイヤーをコアに、スフィンクス、ウラヌス、タイタン、シン、ラーの5体からなる五神ロボが「六神合体」することで完成する巨大ロボット。タケルの実父・ギシン星の科学長官イデアによってズールの目論見を知って秘密理に建造されたタケルの守護神ともいうべき存在で、ガイヤーが窮地に陥ると地球各地の遺跡や秘境に隠された五神ロボが自動的に集結、合体を行う(第一部での、実兄マーグとの一時接触から託されたペンダントにより任意に五神ロボを呼び出せるようになった)。
スフィンクスが頭部と胴体、ウラヌスが右腕、タイタンが左腕、シンが右脚、ラーが左脚になり、ガイヤーはスフィンクスの胴体内部に収納される形で合体する。合体後はコックピットがゴッドマーズの頭部部分に移動する。
武装は腹部のエンブレムのG部分から放出される破壊光線「ゴッドファイヤー」、エンブレムのMより発せられる光を実体化させた巨大剣「マーズフラッシュ」。必殺技はゴッドファイヤーで敵の動きを封じた後、マーズフラッシュによる大上段、もしくは水平からの斬撃を行う「ファイナルゴッドマーズ」。
ほかの合体ロボと比べると武器数が少ないがどれも強力で、合体後ゴッドファイヤーのみで瞬殺するシーンもあるくらいである。なお、敵ロボットの装甲を鉄拳で貫くなど武装を使用しなくてもかなりの戦闘能力を誇る。
また、合体後は敵の物理攻撃のみならずサイコキネシスなどの精神攻撃も通じず、ダメージを受けてもタケルの精神力が続く限り復活するという全ロボットの中でも鉄壁といえる防御力・回復力を備えている。そのため敵側は合体前のガイヤーの破壊(もしくはタケルの抹殺)に全力を注ぐことを余儀なくされるのである。
このように無敵ともいえるゴッドマーズであるが、パイロットであるタケルの精神力で能力が左右されるという弱点があり、超能力が乱れたり弱まると合体が維持できなくなる。その弱点はタケルの実の兄・マーグによって看破され、復活したズールが超能力抑制リングである「デビルリング」を使いタケルの超能力を半ば封じる結果を招いた(が、デビルリングの呪縛を解くきっかけを作ったのもマーグ(の魂)であった)。
しかし逆に言えばそれが利点でもあり、タケルの成長につれてゴッドマーズもまた強くなっていき、最終的には地球の生命すべての精神力を吸収することでゴッドマーズは黄金に光り輝き、復活したズールですら一撃で倒す存在となったのである。
ゴッドマーズの無敵伝説
このゴッドマーズの最大の特徴は、何と言っても「動かない」ことである。敵からの攻撃を受けても身じろぎ一つせず、必殺技である「ファイナルゴッドマーズ」は必殺技であるにも拘らず絵が3枚しか使われていない。ではその一部始終をご覧いただこう。
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以上である。誇張ではない。本当にこんな感じなのだ。
これはゴッドマーズの両腕と両脚が左右非対称であり、非常にラインの多いデザインであるためにアニメで動かすのが困難であること、アニメ自体がマーズやマーグの人間ドラマを重視した結果ロボ戦が簡略化されてしまっていることなどに起因している。
そのため画面奥から現れる際は「ゴゴゴゴゴゴ………」という背景の文字が見える威圧感を発揮しているし、ただ振り向いただけでビビる迫力を醸し出す。
挙句ゴッドマーズの戦闘は、「敵からの攻撃を喰らうが全くビクともしない」→「ゴッドファイヤーで敵の動きを止める」→「マーズフラッシュを召喚」→「ファイナルゴッドマーズで敵にとどめを刺す」というのが一連の流れとなっている。
その結果、ゴッドマーズが天下無敵のスーパーロボットであるということを視聴者に強く印象付ける要因ともなり、ある意味プラスに働く結果を招いたのである。実際、放送当時に発売されていた超合金等の玩具の売れ行きも好調で、番組自体も半年の予定が最終的に64話まで延長されたほどであった。
その強さと動かなさゆえにファンからは「不動明王」の愛称で呼ばれる(その際に「ゴッドマーズは“動かない”のでなく“動じない”のだ」とフォロー(?)されることも)。
また、主題歌2番の歌詞に「光の速さで歩け」というものがあり、全力を出せば光速以上で動ける(「走れ」とか「飛べ」ではなく「歩け」なのがより印象的)が、劇中での無敵っぷりも相まって「全力を出すまでもないのだ」と評されることもある。当然ネタとして言われている感も否めないが、それだけ絶対的な強さを印象付けたということの証左でもある。
一応パーツのみのアップシーンであれば全体を写す必要がないため、動きは見せられる(逆にそこまで切り詰めないと動かせないというキツさの証明に他ならない)。
ただしマルメロ編以降からは作画作業等に慣れたのか動くシーンも増えてきており敵メカと力比べをしたり格闘やマーズフラッシュでの切り払い等も見せている。
ちなみに、横山光輝の原作『マーズ』に登場する元ネタのガイアーも、直立状態で飛行、攻撃時でも両手を広げるのみ等、ほとんど動かない(格闘もほとんど行っていない)うえに敵からの攻撃を受けてもほぼ無傷という無敵ぶりである。
こぼれ話
当初、ゴッドマーズの初合体は第13話で行う予定で、その間に世界各地に眠る他の六神ロボを覚醒させ、活躍回を入れるつもりだった。しかし、スポンサーの圧力で2話に繰り上がり、ガイヤー以外の5体はアポロンロボット並に影の薄い存在になってしまった。
シリーズ構成の藤川桂介氏はその事を悔しがり、1985年放送の『超獣機神ダンクーガ』で初合体を第16話迄引き延ばす事に成功した。
13話の放送予定が1981年末とすれば、年末商戦に合わせてゴッドマーズ(特にDX玩具)を発売する考えだったと思われる。
ゴッドマーズにアニメーターとして参加していた本橋秀之氏は2021年に放送された『ゲッターロボアーク』に作画監督として参加した際、「『アーク』に登場するロボットは形状が把握しづらく描きにくいから3Dスタッフにお任せした。これならゴッドマーズの方が楽だった」とコメントしている。
派生作品では
『第2次スーパーロボット大戦Z』ではこの動かない戦闘アニメーションが完全再現されており、あまりの動かなさに敵からも「あいつただ突っ立ってるだけだろうが!」と突っ込まれている。まさに手の込んだ手抜きと言えよう。回避に成功してもわずかにスライドするだけ、被弾してもちょっとのけぞるだけと大きく動く事はない。
そしてファイナルゴッドマーズの作中のアニメーションも完全再現されている。
ただし『第2次Z』の原作最終回の一撃を再現した「スーパーファイナルゴッドマーズ」だけは例外として結構動く(全身金色になり色指定がなくなるため、原作でもよく動いていた。)
一方、その前に発売されていた『スーパーロボット大戦D』ではファイナルゴッドマーズを放つ際に斬りあげる動作が入っているため捏造呼ばわりされている。斬り上げからのシーンはマルメロ編以降や後期OPアニメで実際に使われており、れっきとした原作再現である。下記参考動画はギシン編のみでマルメロ編と地球編の戦闘シーン(動画紹介文でもその点は記載されている)は収録されていないのでこれだけで語ると嫌われるので注意。
『スーパーロボット大戦64』と『スーパーロボット大戦リンクバトラー』ではタケルの技能バグ(超能力のレベルに関わらず、最大の命中・回避補正がかかる)の恩恵を受け、スーパー系なのに高い回避率を誇る「避けて当てるスーパー系」となっていた。そして(機体のアニメーションがあまりない頃の作品なので)動かない。
なお、スーパーロボット大戦シリーズ全般ではゴッドマーズまたはガイヤーが撃墜されると反陽子爆弾が起爆してしまい、敗北条件にかかわらず地球が吹っ飛んで即ゲームオーバーになる。ただしある条件を満たしたり、シナリオを『第2次Z破界編』の終盤まで進めると反陽子爆弾が取り除かれ撃墜されてもゲームオーバーにならなくなる。また、『第2次Z再世編』や『第3次Z時獄編』では破界編での出来事での影響か最初から反陽子爆弾がない(そのため最初から撃墜されてもゲームオーバーにはならない)。
『第2次Z』では「窮地でなければ合体しない」原作を再現し、タケルの気力が130以上ある状態でなければ合体できないシステムになっているが、ガイヤーをフル改造すると気力制限無しでの合体が可能となる。
一方『第3次スーパーロボット大戦Z』ではタケルの超能力が著しく成長したため、最初から合体した状態で出撃が可能となっている(逆に、ガイヤー単体で出撃する機会は無くなっている)。
また、『スーパーロボット大戦D』ではデザインの異なるOVA版『十七歳の伝説』が登場するがこちらはパイロットに合わせてゴッドマーグと呼ばれている。ちなみにこちらはオーソドックスな左右対称のデザイン。兄弟による合体攻撃も用意されている。…一撃必殺のファイナルゴッドマーズの重ねがけとか敵からしたら絶望でしかないが。
関連タグ
レオパルドン…同じく(大人の事情込みで)短い戦闘シーンで敵をなぎ倒す最強ロボット。
レインボーセブン…超能力を使用する、自己修復能力を持つなど共通点を持つ。カラーリングもどことなく似ているのも共通点か。
オーディアン…殆ど動かない最強ロボ繋がり。ゴッドマーズが仁王立ち、または不動明王なら、此方はウドの大木と言った所か。但し、武器を使えば腕がもげ、武器を使う度に生体ユニットの女性が犠牲となる非道兵器でもある。
超機甲神ガンジェネシス…合体プロセスなどで類似箇所がある。むしろ、ゴッドマーズ自身が元ネタというべきか。
イデオン…スパロボにおいて撃墜されると特殊ゲームオーバーになるロボ繋がり。
マイティオーボッツ…本作を下敷きにした北米初のスーパーロボットアニメで、此方は合体前は等身大のヒューマノイドであり、オーノを除く5体が合体巨大化する。