のび太の結婚前夜
のびたのけっこんぜんや
いつの間にか僕は夜中に1人でトイレに行けるようになった、1人で電車に乗って会社に通うようになった。でも本当に僕は変わったのかな?ねぇドラえもん、僕は明日結婚するよ…
(1999年の劇場版予告映像より)
概要
藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』のエピソードの一つ。TC25巻収録。
野比のび太と源静香の結婚式の前日を描くエピソードであり、TC20巻収録「雪山のロマンス」から間もない時期の話である(14年後の未来で10月25日以降の話)。
登場回数が少ないキャラクター・源義雄(しずちゃんのパパ)がキーパーソンとなっており、彼がのび太に対して「他人の幸せを共に喜び、他人の不幸を共に悲しむことのできる人」と人徳の良さを挙げているシーンは名場面となっている。
大山のぶ代版アニメでは「のび太の結婚式?!」というサブタイトルで初めて映像化され、後に『宇宙漂流記』の同時上映作品として映画化された。水田わさび版アニメでも映像化されており、こちらの成人のび太の容姿は原作に基づいた容姿となっている。
2014年に上映された3DCG映画『STAND BY ME ドラえもん』でもこのストーリーが描かれており、成長したのび太の未来を表すエピソードの一つとしても名高い。
あらすじ
出木杉としずかとの学芸会の芝居の練習を見て将来が不安になるのび太。見かねたドラえもんはのび太を連れて「タイムマシン」でのび太としずかの結婚式の日に行こうとするが、設定を間違えて前日に来てしまった。そこには人生の最大のイベントを控えた大人ののび太としずか、2人に縁のある友人、家族、恩師が心の準備をしていた。
主な登場人物
ドラえもん
現代ののび太と一緒に未来の様子を見にきた。しかし、のび太達が成人している時代の彼は登場していない。また、のび太としずかの結婚式当日に出席している描写もない。劇場版ではのび太がドラえもんを懐かしむ描写が終盤で見られたため、のび太との同居を既に終えてセワシやドラミがいる22世紀へ帰ったことが暗示されている。
水田版では白雪姫のワンシーンばりにドラ焼きを食べようとしていたが、タイミング悪くのび太が駆けつけてきた為、台無しになってしまった。しかし、このシーンは台詞をド忘れして恥をかきそうになったしずかを庇う為、のび太が敢えて劇場を台無しにした伏線となっている。
のび太
原作版&水田版と劇場版とでは成人した姿の髪型が微妙に異なる。
結婚式の前日に式場に来てしまいその後もドジばかりやらかすが、劇場版では迷い猫を飼い主に届ける為、水田版ではしずかの無くしたイヤリングを探す為に奮闘する。ちなみに野比家は建て替えたようでマンションに移住していた。
原作版ではスポーツカーを運転しており、運転免許を取得していることがわかるが、水田版及び劇場版ではタクシーに乗っている。
水田版では現代のエピソードが追加されており、白雪姫の劇でわざとミスをしたらしく、台詞を忘れたしずかをフォローする為に劇を意図的に台無しにした。終盤では、イヤリングをしずかに渡した後「きっと、きっと、君を!幸せにしてみせるからね!!」と告白した(元々は原作版のオチで現代ののび太が現代しずかを困惑させた台詞だが、リメイクに当たり未来の描写で告白に昇華させた)。
しずか
彼女も原作版&水田版と劇場版では微妙に髪型が異なり、前者はポニーテールだが後者はショートヘアーとなっている。住居に関しては、STAND BY MEでは家がリフォームされていた。分かりづらいが、彼女の家も建て替えられているのが分かる。
のび太との結婚生活をうまくやれるか心配したり、親が寂しがってしまうのではないかと両親と別れるのを拒み、結婚を取り止めようとした。原作版及び水田版、『STAND BY ME ドラえもん』では「正直電波」の効果で話したが、劇場版では父親が咳き込んでいたのを見て自ら話した。しかし、いずれの版でも父親に説得された(後述)ことでしずかは結婚を改めて決意する。
水田版では冒頭でイヤリングをなくすが、夜の間ずっと探し回っていたのび太に届けられた。上記の彼の告白の後「うん…ありがとう…!!」と返し、彼女の抱いた迷いを更に断ち切らせた。
ジャイアン
未来世界でも健在の剛田商店(ジャイアンの家)でパーティを企画する。のび太に対して「しずかちゃんを泣かせたらボッコボコにする」とエールを送り、同様に「なんでしずかちゃんがお前を選んだのかわかったぜ」と称賛している。劇場版では更に「今日はガキの頃に戻ったみたいで楽しかった」とのび太に感謝の言葉も述べた。
未来の彼の歌は、下手なのは相変わらずだが現代よりある程度改善しているようで、少しヤジを飛ばされる程度で本気で嫌がられているシーンは無かった。また、のび太やスネ夫にヤジを飛ばされても「うるせえ!」と冗談めかして言い返すだけで、少年時代とは異なりさすがに暴力には及んでいない。
水田版では酔ったジャイアンは泣き上戸として描かれたが、実は原作「ホンワカキャップ」でも描かれた設定である。
スネ夫
原作版及び『STAND BY ME ドラえもん』ではスネ吉と同じくパンチパーマだが、それ以外のアニメ作品では、現代と同じ髪型をしている。パーティではのび太と出木杉が平気でジャイアンの歌を聴いているのに対し、スネ夫のみかなり嫌がっていた。
劇場版では、「飛行機の時間が迫っている飼い主一家に迷い猫を届けたいので、空港まで車を出してほしい」と言うのび太の依頼を引き受けて、自家用車を全速力で運転する。目的地直前で車はエンストで停車してしまったものの、そこからはしずかと猫を抱えたのび太が全力疾走して空港に到着。無事に猫を飼い主に送り届けることができた。
出木杉
のび太・ジャイアン・スネ夫共にバチェラー・パーティー(新郎を迎える為の結婚前夜のパーティ)に参加する。のび太同様、35歳の頃はふくよかな体型をしていたが、24歳の時点では彼も華奢な体型をしている。
水田版では「昔からしずかちゃんのことで、野比くんに勝てる人はいない」と彼を称賛しており、スネ夫に上記の劇の真相を話した。実は彼もしずかとの結婚願望はあったらしく、一度しずかに想いを伝えたが「あなたは一人でも充分やっていける」という理由で振られた。
その後、出木杉も別の女性と結婚し、子供にも恵まれて幸せな家庭を築いている。
源義雄
しずかの父。大山版のみその他(漫画版と劇場版&水田版)とで大きく容姿が異なる。現代では非常に出番が少ないが、本作では重要なキーパーソン。上記のようにのび太の人間性を評価し、娘の結婚を決意させるきっかけを作った。「君は、僕たちにたくさんの贈り物をしてくれたんだよ」と、娘の成長と共に娘と一緒に過ごした時間を想い出しながら、しずかが生まれたことを感謝していた。
水田版及び『STAND BY ME ドラえもん』では現代のパパも登場し、前者は冒頭で娘に送り届けられる途中でショーウィンドウに飾ってあったウェディングドレスを一緒に見ており、後者はのび太がしずかから借りていた物を源家へ返しに行った際、玄関先でのび太から娘の私物を受け取っている。
先生
劇場版のみ登場。夜の河原でかつての教え子・のび太と偶然再会。ジャイアンにスピーチを短く話すよう言われたがのび太の事に関しては一晩以上かかるという。のび太の去り際には「野比!明日は遅刻するんじゃないぞ!!」と昔さながらの口調で注意した一方で、冷えるといけないからと上着を貸してくれたのび太の気遣いに感謝していた。手のかかる生徒であったのび太が結婚と言うのは彼にとってもさぞ感慨深かったことだろう。
ジャイ子
『STAND BY ME ドラえもん』のみ登場。しずかと結婚するのび太に「しずかさんを幸せにしないと許さないからね」と激励。
関連タグ
雪山のロマンス:本作の前日談に位置する。
STAND BY ME ドラえもん2:結婚式当日を描いた作品。
ドラれおん:トヨタのCMで『ドラえもん』の登場人物が採用されたもの。未来世界を舞台とする共通点は存在しているが、のび太&しずかが独身であり、のび太が免許を持っていない等、「のび太の結婚前夜」のアンチテーゼとなる描写も多い。