概要
てんとう虫コミックス40巻及び、藤子・F・不二雄大全集16巻に収録「しずちゃんをとりもどせ」に登場。
このエプロンを身につけると、どんな家事も上手くこなすことができる。
エピソードとしては、のび太がしずかと結婚できなくなるかもしれないという不安、出木杉のハイスペックさと人徳の良さ、そんな彼に嫉妬しつつものび太が出木杉へ抱えるコンプレックスが強調されている。
ストーリー
雲の上での昼寝を終えて部屋に戻って来たのび太。するとドラえもんがしまい忘れた「タイムテレビ」を見つけ、起動すると未来のしずかが映し出されたのだが、彼女は息子のことを「ヒデヨ」と呼び、のび太は「あれ?息子の名前はノビスケじゃないの?」と動揺する。
そこにママが現れ、「私が帰って未るまでに家事を済ませておいて」と言われてしまい、のび太は仕方なく家事をすることになる。しかしのび太は慣れない家事に苦戦していた。
ちょうど帰宅したドラえもんはのび太から事情を聴き、誰でも家事が上手くなる「家庭科エプロン」を取り出す。しかしのび太は「家事ならお嫁さんにやってもらう」と言いながら、タイムテレビで未来のしずかの様子を見ることにする。
しかしそこに映し出されていたのは出木杉そっくりの少年であり、のび太は「そんな馬鹿な!僕はしずかちゃんと結婚して、ノビスケが生まれるはずなのに!」と混乱する。
後ろから映像を覗いていたドラえもんも、この予想外の事態(ドラえもんという存在が過去に介入している限りは、のび太と静香が結婚する未来はほぼ確定のため)動揺しながら「もしかすると未来が変わったのかもしれない。例えば君がしずかちゃんに嫌われたか、しずかちゃんが出木杉君を好きになったとか…」と、のび太に歴史改変が起きた可能性がある事を伝える。
信じられないのび太はしずかの家に行くが、彼女の母親から「しずかは出木杉さんの家に行ってますよ?」と伝えられる。のび太を追いかけて来たドラえもんは「とにかく出木杉くんの家に行ってみよう。」と言いながら彼を落ち着かせる。
ドラえもん達が出木杉家に向かうと、ちょうど出木杉が手料理を作っていたところだった。彼はしずかだけでなくドラえもん達にも料理の批評を聞かせて欲しいと言い、3人に料理を振舞う。
ドラえもん達は出木杉の料理を食べて「美味しい!」と絶賛する。出木杉が言うには「これからは女性も社会に出て仕事をするようになるし、女性が家事の専門という訳にはいかなくなる」という理由で料理を始めたらしく、その話を聞いたのび太はショックを受けてしまう。
割と本気で「生きているのが嫌になった」と落ち込むのび太を見たドラえもんは「諦めるのは早いよ。この家庭科エプロンを使って、出木杉くんに負けない家事の名人になればいい」と言い、続けて「毎日の努力の積み重ねが歴史を作っていくんだよ!」と言いながら彼を優しく励ます。
その後、のび太は家庭科エプロンを使用し、ママから頼まれた家事を完璧にこなしていく。その間にドラえもんはタイムテレビで先程の未来の映像を見ていたのだが、そこには未来ののび太だけでなく、ノビスケもちゃんと存在している様子が映し出される。同時に未来の出木杉と、彼の妻も映し出され、どういうことか混乱するドラえもんだったが、ヒデヨは単に出木杉の火星への赴任中に野比家が預かっていただけだった事が判明する。のび太としずかが結婚する未来は変わっていなかったのだ。
それを知ったドラえもんは一安心するが、家事にやる気を出したのび太を眺めながら「当分は黙っておいた方が良いかな?」と思いながら微笑むのだった。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1994年10月6日に、水田版は2007年1月12日及び19日にそれぞれ放送している。
1989年版
- サブタイトルが「家庭科エプロン」に変更され、計20分の中編作品になっている。
- 冒頭で雲の上で昼寝をしていたのび太が『悪党であるジャイアンとスネ夫から姫である静香をのび太が守ろうとする→のび太はジャイアンに敵わず王子として現れた出木杉に助けられる→助けられた後に静香は「結婚を約束した人がいる」と発言した後で突然現れたドラえもんに美味しいところだけ持っていかれる→トドメとばかりにドラえもんに「あの人(のび太)は誰じゃ?」と聞かれた静香には「さあ…?」とのび太の存在を無情に片付けられる』…とあんまりといえばあんまりな内容の悪夢を見る場面が追加。
- 原作では出番がないジャイアンとスネ夫が登場しており、静香の家に向かう途中で勢い余ってぶつかってきたのび太を根に持ってしばらく追い回したが、ドラえもんから「それどころじゃないんだ、今のび太君の一生の問題がかかっているんだ!邪魔しないでくれ!!」と一括されたことで2人はのび太の一生に関わる問題が勉強の事だろうと解釈してジャイアンもスネ夫も「じゃあやっつけんのは明日にすっか」と一応納得して追い回すのを辞めている(スネ夫はジャイアンの単純さにやや呆れていたが)。
- 出木杉の料理を試食した後に、彼の意見に共感した静香の「出木杉さんのお嫁さんになる人は幸せね」という言葉にノイローゼ気味だったのび太はトドメを刺されたかのごとく気を失いドラえもんに介抱されつつ家に戻る。ちなみに出木杉はデザートにストロベリーパイも用意していたらしく、未来に登場した彼の息子ヒデヨもそのパイが好物ということになっていた。
- 未来の世界での野比家と出木杉家のやり取りと交流が増えており、出木杉は赴任中も妻に代わって料理をこなしていたらしく、そんな話を聞いた静香は羨ましく思い「うちのパパはまるっきりお料理はダメ」と軽い愚痴を言うがのび太は「だって、ママの手料理には叶うはずないものね。ママの手料理が最高だよな、ノビスケ」と返して惚気たりと、仲睦まじい家庭を築いた様をうかがわせる。
- ラストにはのび太の具合を心配した静香が野比家に電話をかけており、その電話に応対したドラえもんの台詞でこれから静香が見舞いに訪れることが示唆され、ドラえもんが静香にお礼の言葉を述べて終わっている。