一応の解説
イソップ寓話の『金の斧』をモチーフとした、ドラえもんのひみつ道具の一つ。
泉の中に品物を入れると、女神型のロボットが現れる。この場合の「品物」は道端に落ちている小石や、生きている生物(人間を含めた動物)でもいい。
女神ロボットは泉に落とした品物と同じ性質だがランクの高い品物を手にしており、「あなたが落としたのはこの○○(品物の名称)ですか」と尋ねてくる。ここで正直に「いいえ、私が落としたのはこれこれの物です」と伝えると「正直のご褒美にこちらを差し上げましょう」と告げられ、そのランクの高い品物がもらえる。女神ロボットの質問に対して欲張って嘘をつくと何ももらえない。なお、「ランクの高い品物」とはいっても、入れたものによってはありがた迷惑な品物が出て来ることもある。
ちなみに、最初に泉に入れた方の品物は取り戻せなくなる(後述)。ドラえもん曰く「そこは童話とは少し異なる」とのこと。
2013年に公開された映画『のび太のひみつ道具博物館』にて改造型が登場している。
本編にて
原作には短編の第36巻第18話『きこりの泉』にて登場。
のび太が綺麗なグローブで、ジャイアンのグローブがズタボロになったので、それが気に入らないジャイアンはスネ夫の話も引き受け無理矢理交換してしまう。
その頃、のび助が誤ってドラえもんのどら焼きを食べてしまい、泣きつく。仇を取ろうとする形で上記の通り、豪華などら焼きと綺麗なグローブを交換してもらう。
その後、しずかが古いワンピースを新品のワンピースに交換してもらうのだが、その様子を見ていたジャイアンは「自分にも使わせろ」と言い出して……。
アニメ版
原作の『きこりの泉』はテレビ朝日版アニメで合計3回(第1期で1回、第2期で2回)映像化されている。
原作では「欲張って嘘をつくと何ももらえない」という明確な描写はないが、アニメ版では3回ともスネ夫がその被害に遭っている。
第1期(大山版)
第269回Aパート(第912話)『木こりの泉』(1987年4月17日放送)。
オリジナルシーンとしては、スネ夫がラジコン飛行機を投入したが、ドラえもんが説明した「(泉に入れたものを)正直に答える」の意味を「(自分が欲しいものを)正直に答える」と誤解して「はい」と答えたため、何ももらえなかった。スネ夫が腹癒せに小石を泉に蹴り入れたところ、女神ロボットが大きな石(岩)を持って現れ、「あなたが落とした石はこの石ですか?」と質問してくる。これに対してスネ夫が慌てて「違う!(蹴り入れたのは)僕じゃない!」と答えたため、女神ロボットはスネ夫が正直に返答したと解釈してしまい、スネ夫は岩を投げ付けられることになり、その際、のび太から「正直に答えなければ良いのに」と突っ込まれた。
また、しずかちゃんが女神ロボットから新品のワンピースをもらう際に「いいのかしら?」と少々戸惑う様子を見せていた(その後はドラえもんやのび太から「もちろんだよ」「どうぞどうぞ」と勧められ、原作通りしっかり受け取っている)。
ラストのきれいなジャイアンの下りはドラえもんとのび太が本物のジャイアンを心配したり、助けに行こうとする描写が追加され、その際、本物のジャイアンは「汚い俺はどうなるんだ!」と泣きながら助けを求めており、自惚れ屋のジャイアンにしては珍しい自分を汚いと認めたシーンであった。
第2期(水田版)
1回目
第13回Bパート(第30話)『きこりの泉』(2005年7月29日放送)。この回の独自設定として、使用回数が5回までに制限されていた(「はい」「いいえ」のいずれの場合でも1回の使用としてカウントされる)。
オリジナルシーンとしては、のび太が新品のグローブを見て他の回と違い、うっかり欲に駆られ「はい」と返答しかけていたが、ドラえもんが咄嗟に止めたことで難を逃れた(その後は原作通り、「いいえ」と正直に返答したことで無事に貰うことが出来た)。また、スネ夫がラジコン型ロボットを投入して他の回と違い、唯一正直に答えようとしたが、ジャイアンが割り込んで嘘をついたため、何ももらえず、いつもの脅迫で譲って貰えなかったがきれいなジャイアンと交換した際、命令口調で「助けろ!」という本物のジャイアンに対して仕返しなのか「ぼく、こっちのほうが良い」と答え、のび太とドラえもんも「乱暴じゃなさそうだし」「そうだね」と助けようともしなかった。
2回目
『ドラえもん×クレヨンしんちゃん 超豪華!春のアニメ メガ盛り スペシャル』Aパート(第397話)『きこりの泉』(2011年4月8日放送)。
オリジナルシーンとして、のび太が玉子にテストの結果を聞かれ、上位品として「100点満点の答案」が出てくることを期待して咄嗟に「クシャクシャにした0点の答案用紙」を泉に投げ入れたが、実際に女神ロボットが持ってきたのは「見た目は表彰状のように立派だが、点数は0点のままの答案用紙」であり、さらに「いいえ」と正直に答えたために玉子の前でその答案用紙を渡されてしまい、怒られるという描写が追加されている。また、スネ夫が投入したものが最新型の3Dゲーム機に変更されているが、欲張って嘘をつく点や、小石を投げ入れて岩が出てくるくだりは大山版のものとほぼ同じで相違点はドラえもんから「自業自得だ」と皮肉られ、のび太からは「欲張るからだよ」と呆れられた。
女神ロボット
かなりの怪力であり、スネ夫が逆恨みで小石を泉に蹴り入れた際は、スネ夫の身長くらいの大きさの岩を持ち出して片手で投げつけた。現実ならば即死していた事は間違いなく、ギャグと解っていても、かなり痛そうで恐ろしげな描写である。ちなみに、大山版・水田版共に女神の顔をよく見ると額に小さなたんこぶが出来ており、石が当たっていたことが分かる。そりゃ怒るわな…。更に水田版だと声が明らかに怒っているようなトーンであった。
きれいなジャイアン
「きこりの泉」の効果を知ったジャイアンが欲張っていろんな物を泉に入れようとするが、うっかり自分が落ちてしまう。
以降は「きれいなジャイアン」の項を参照のこと。
ちなみに”きたない”方のジャイアンが泉から抜け出そうとしたところ、女神ロボットに引きずり込まれそうになり助けを求めて溺れていた。
とあるゲームのコラボ内の会話で語られた内容によると、やり方は不明だが一度落とした物を取り戻す事は出来るらしく、本編でも落ちてしまった本物のジャイアンを救出した事が語られた他、さらなる犠牲者も(かなり苦労しながら)救出している。
その際に、きれいな方がどうなるのかは不明。もしかしたら再交換するのかもしれない。