概要
イソップという人物が作ったと伝えられる、ギリシャの寓話集。動物などの性格や行動に託して、日常的な道徳教訓を説いたもの。イソップ物語、イソップ童話とも呼ばれる。
現在の『イソップ寓話集』と呼ばれるものの中には、イソップが創作したものだけではなく、それ以前から伝承されてきたものや、後世の寓話、イソップの出身地とされる地域の民話を基にしたものも含まれている。起源が起源であるが故にギリシャ神話の派生になっている話ももちろん存在する。
また、当時は文字を読める人がほとんどいなかったため、イソップ寓話は口伝で広まった。そのため同じような話も数多くあり、題名は同じでも、違う複数の話になったものもある。
イソップの死後も話は増え続けており、有名な『アリとキリギリス』なども、イソップが死んだ後に出来た話だと言われている。これは、いつの頃からか『イソップ寓話』という名前が、ギリシャにおいて『寓話そのものの総称』となっていったからだと考えられている。(そもそもアリとキリギリスではなく、アリとセミだったとする説も。)
現在読み継がれている『イソップ寓話集』の中に、実際にイソップ自身が作った物語の数がどのくらいあるのかはわかっていない。
中には、人種差別的な表現を含んでいたり、現在の道徳観念とは大きくかけ離れたものも存在する。
代表的な物語(※は教訓)
アリとキリギリス※労働は大事、サボるのもほどほどに
田舎のネズミと町のネズミ※住むべきところに住みなさい
犬と肉※欲張りは身を亡ぼす
ウサギとカメ(うさぎとかめ / うさぎとカメ)※がんばれ努力は報われる。優れていても油断大敵。
嘘をつく子供(狼と羊飼い / オオカミ少年)※人の社会は信頼感で成り立っている
馬をうらやんだろば※隣の芝生は青く見える
おじかとライオン※短所は長所の裏映し
雄鶏と宝石※価値観は人それぞれ
女主人と召使いの女たち※よかれと思ってしたことが、かえって不幸を招くことが多い。
ガチョウと黄金の卵※あぶく銭は身につかぬ、または生きてこそ金の卵を産むガチョウを殺すな
親子カニ※物事を教える際には自分からやってみせよ
からすときつね※褒められるからと言っていい気になるな
かりゅうどときこり※ウソで身を立てるのもホドホドに
亀とワシ※賢い者の忠告を聞き入れないと痛い目を見る/自分の身の程を理解せよ
北風と太陽※温情は暴力より強し
狐と鶴のご馳走(狐と鶴 / キツネとツル)※己の欲せざるところ人に施すことなかれ
虚飾で彩られたカラス(おしゃれなからす / 鳥の王さまえらび)※自分の長所を他人の模倣で飾っていいのか
金のライオンを見つけた男※幸運は待ってくれない
孔雀と鶴※機能美と実用性は違う
熊と旅人※友達は大事にしよう
3本の棒(毛利元就の『三本の矢』)※兄弟仲良く力を合わせよう
塩を運ぶロバ※いつも同じ方法で楽できるわけではない
シカとぶどう※恩を仇で返す者には死あるのみ
獅子と海豚の同盟※相手の特性を理解せよ/いざという時に助けてくれる友達を作っておけ
獅子の分け前※身近な人の災難は思わぬ反面教師となる
ずるい狐※漁夫の利
ネズミの相談※どんなに素晴らしい案も行動力が無けりゃ意味が無い
ねずみの恩がえし(ライオンと鼠)※能力のない者にも素晴らしい所はある、決して侮らず親切にしよう
農夫とその子どもたち※労働は宝なり
ハチとヘビ※暴力は自分にも還ってくる
バッタをとる子供とサソリ※悪い人と良い人の分別は大事にしましょう
卑怯なコウモリ(鳥と獣と蝙蝠/蝙蝠と鼬)※卑怯な奴はしっぺ返しを食らう
病気のカラス※普段から敵を作っていると、困っている時に誰も助けてくれない
フクロウと鳥たち※良薬口に苦し
ヘラクレスとアテナ※争い事に首を突っ込んで事態を悪化させるな
マグロとイルカ※自分を不幸にしたものが同じ目に合うと少しは苦しみが和らぐものだ
ライオンと三頭の牛※最後は友情が身を護る
ライオンに挑んだ蚊※勝って兜の緒を締めよ。調子に乗って威張り散らす者に未来はない
ロバとセミ※無茶な模倣は身を滅ぼす
ろばを売りに行く親子※付和雷同は損のモト(万人を納得させることは難しいと解釈されることも)
若い泥棒とそのお母さん※親はきちんと子を躾けよ
わしとからす※実力もないのに他人の真似をして欲張ろうとするな
わしとカブトムシ※弱いものでさえ、知恵を張り巡らせて復讐する事がある
狼と子羊※悪人に説得や正論は無意味
捕まった鼬※普段から悪さばかりするものは、たまに良いことをしても信用されない
守銭奴※いざという時に使ってこその貯蓄
捕虜になったラッパ兵※扇動者こそが諸悪の根源。
農夫とマムシ※怨敵同士の和解ほど難しいものはない。
あはれ!名作くんでは、イソップ物語にハマったむすびがクイズを出してくる話で、「○○と○○が多い」、「イソップ名前付けるのヘタじゃない?」、「同じタイトルがある」、「似たようなタイトルがある」、「単品なると嫌なタイトルばっかり」とツッコまれている。尚、答えは「存在しないタイトルはなく全部ある」というものだった。
主な映像化作品
表記揺れ
関連タグ
イマジン:仮面ライダー電王に登場する怪人で、イソップ寓話がモチーフとして多く採用されている
現代社会:イソップ寓話からの教訓が活かされないばかりか、これを台無しにするような不条理が蔓延っている。