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ろばをうりにいくおやこ
町にロバを売りに行こうとする父親とその息子がいた。二人がロバを引いて歩いていると、通りかかった人が「折角ロバを連れているのに乗らないなんてもったいない」と言った。
なるほどと思った父親は息子をロバに乗せ、自分は歩いて行ったが、また通りかかった人が「元気な若者がロバに乗って楽をして年寄りを歩かせるなんてけしからん」と言った。
なるほどと思った父親は今度は自分がロバに乗り息子を歩かせたが、また通りかかった人が「子供を歩かせて自分は楽をしようなんて子供がかわいそうだ。一緒に乗れ」と言った。
なるほどと思った父親は親子そろってロバに乗ったが、また通りかかった人が「二人も乗るなんてロバがかわいそう。担いでいけばいいのに」と言った。
なるほどと思った父親は棒にロバをさかさまに括り付けて息子と二人で担いでいったが、橋の上でロバが暴れだし下の川に落っこちて流されてしまった。
結局二人は骨折り損のくたびれ儲けで終わったのだった。
どんな選択をしても文句を言う人は必ず現れる。
付和雷同は時には身を滅ぼす。
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