お前の!
せいで!
残業が終わらないんだよ!!
概要
著:香坂マト/絵:がおう(Pixivアカウント)
電撃文庫(KADOKAWA)から刊行されているライトノベル作品で、第27回電撃小説大賞《金賞》受賞作品。正式名称は『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』。公式略称は『ギルます』。
ジャンルとしては異世界コメディに該当し、異世界の冒険者ギルドの受付嬢が主役の異色作。
原作単行本は2024年8月時点で既刊8巻。
コミカライズ担当は優木すず。電撃大王で連載されており、単行本は2024年10月時点で既刊5巻。
アニメ
主人公アリナのCVはボイスドラマの高橋李依が続投している。
アニメーション制作はCloverWorksで、、TOKYOMX、とちぎテレビ、群馬テレビ、BS11、ABCテレビ、テレビ愛知、AT-Xにて放送予定。
オープニングテーマは310による「パーフェクトデイ」、エンディングテーマはナナヲアカリによる「明日の私に幸あれ」。
OP映像は原作者許諾の上、アリナが処刑人の衣装を手にするまでの前日譚となっている。
あらすじ
ヘルカシア大陸。
かつてその地で極めて高度な文明を築いていた「先人」たちはある日突然一夜にして滅びた。
それからはるかな時が流れヘルカシア大陸に入植した人類は【四聖】の導きの元、人間の街や冒険者ギルドと言った新たな社会を築き上げ、「先人」の「遺物」を求めてダンジョンへ挑んでいった。
それから200年後、冒険者の街「イフール」に一人の受付嬢がいた。
~~~ここまで建前~~~
有給惜しんで死地をゆき、
残業憎んで神をぶつ。
愉快でイカれた受付嬢よ。
安定だと?
くはは。
お前ほど
冒険している者は
他におらぬ。
世界観・用語
先人
今は滅びた大陸の先住民族。だいたいこいつのせい枠。
高度な技術を有し、現存する多くのダンジョンや遺物を生み出したが、ある日忽然と姿を消した。その理由はあまりにも不明で、神の怒りに触れたとしか思えないと一般には言われている。
パーティ
4人制。VRMMOモノのように絶対に4人以上は絶対に不可能と言う訳では無いが、本世界観の長きにわたるダンジョン攻略の歴史の末、「迷宮攻略において、多すぎず少なすぎない最適解」が4人とされている。
4人パーティで太刀打ちできないような凶悪な魔物を相手にする際はレイドを編制する。
スキル
何らかのきっかけで人が発現する特殊能力。その正体は完全には解明されていない。
人の範疇である「人域(レギン)」、人を超えた「超域(シグルス)」、そして実在が不明とされている「神域(デイア)」の3つのランクが存在する。
また超域以下は武器をセットで生成するようなスキルは存在しないか、少なくとも一般には知られていない。
普通に使用する分には普通の疲労以外のデメリットはない(通称「スキル疲労」)が、使用限界を迎えると意識障害や五感の異常、シンプルに痛みが発生し、それを無視してなお使用を続けた場合は出血や内臓損傷を経て死に至る。
…とされているが、そこまでの過剰使用は後述のシェリーが興味を示す程度には事例が少ない模様。
魔法
技術。個人の才能に依存するスキルと異なり、魔杖(ロッド)と適切な訓練さえあれば誰にでも扱える。
敵視(ヘイト)
文字通りのヘイト値。
本世界観ではいわゆる「ヘイトを集める技」は一種の幻術という扱いになっている。
しかし、種類と使用者の技量にもよるが、相手が知性ある存在であったとしても、射出された魔法弾や弓矢であれば無理やり引き付けることも不可能ではない。
主な登場人物
主人公。11月23日生まれの17歳。普段は冒険者ギルドの事務所の一つ「イフール・カウンター」の受付嬢(入所3年目)だが、「自身の業務が滞り残業が増えるのが嫌」という理由で、冒険者達によるダンジョンの攻略が行き詰まるたびにフード付きの衣装で顔を隠して密かにソロの冒険者(通称「処刑人」)として活動し、自身の残業の元凶を討伐している(なお受付嬢の仕事は副業禁止である)。
白銀の剣
最強の冒険者パーティ。冒険者ギルドに代々受け継がれる顔であるため他所のパーティのように好きに出入りすることはできず、加入には厳しい審査がある。
加入と離脱は個人単位で行われるが、グレンが現役であった時代に一度解散しており、少なくとも1度はメンバーが総入れ替えになっている。
ジェイド・スクレイド(CV:熊谷健太郎)
最強とされる冒険者パーティ「白銀の剣」のリーダー。盾(タンク)役。
処刑人の正体がアリナであることを最初に見抜いた男で、それ以来ベタ惚れしている。
暇さえあればアリナに殴られているが、正真正銘人類最強クラスの一角。
神域スキルこそ持たないが、一般的に最強とされる超域スキルを複数保持。更には最強パーティのリーダーの立場にふさわしい冷静かつ高い思考能力の持ち主であり、それを転用した事務処理能力はアリナ以上。
無論イケメンであり、財力も十三歳当時で既に冒険者の長者番付にランクインするほど。
実際、第1巻で全損した盾を買い直した際は家一軒分(=受付嬢の給料だとローン30年分)の高級品をあっさり買いなおしている。
何よりその信念…タンクとしての精神性は高く、否、むしろ高すぎて“捨て身の覚悟”がキマりすぎるあまり時として仲間にすら「タガが外れている」と思わせるほど。
相手が愛しのアリナともなれば正真正銘瀕死状態にありながら根性で体を動かし戦闘を続行するほどであった。
…ゆえにアリナへのアプローチも悪い意味で捨て身、ストーカーじみておりスキルをの悪用も平然と行うため、彼女に殴られるのは半分くらい自業自得。というか、むしろアリナを暴力ヒロインに貶めている元凶のだいたい半分(残り半分は残業)。残業の手伝いと引き換えにデート一回を要求するなど小賢しい真似も平然と行う。
なろう主人公めいた俺Tueeっぷりを台無しにするそんな奇行と冒険者という収入不安定な自由業であること、更に玉の輿をズルく思うアリナのクソ真面目っぷりが合わさり彼女からの好感度はかなり低い。
だが基本的に善人でアリナが絡まなければ心身ともにイケメンであり、そのアリナも残業回避のためとあらばジェイドの小賢しい取引の誘惑に抗えなかったりするので、アウトな世界線でならあっさりと結ばれるかもしれない。
要するに乙女ゲーの攻略対象にありがちなねちっこいイケメン。
ルルリ・アシュフォード(CV:古賀葵)
ヒーラーの白魔道士。実年齢よりも幼い外見のなのです娘。
超域スキル〈不死の祝福者(シグルス・リバイブ)〉の所有者で、対象に所謂リジェネを付与する事ができる。回復DPSは非常に高く、効果中は即死でもない限りは死の危険性は大幅に減る。
そんな彼女も駆け出しの頃はいわゆる臼魔道士であり、「他人の影から回復魔法を撃ってればいい(意訳」という思考から仲間を死なせてしまった過去を持つ。
パーティそのものが増長した末の当然の惨劇であったが、時としてヒーラーが強いられる非情な選択から逃げたことは最強の一角となった今もなお彼女のトラウマとなっている。
後衛(バックアタッカー)の黒魔道士。男性。
冒険者ギルド
アリナの後輩で新人受付嬢。処刑人に好意を抱いている。腕に魔法陣が刻まれている。
処刑人様推しで、ついには自作の処刑人様人形を寝床に持ち込むまでになってしまった。
現冒険者ギルドマスター。
後述のスキルによって最強冒険者の名をほしいままにしていたが、S級ダンジョン〈灰の迷宮〉を攻略と引き換えに仲間(=当時の〈白銀の剣〉)をすべて失い、それを機に冒険者を引退した哀しき過去をもつ。
能力は超域スキル〈時の観測者(シグルス・クロノス)〉による時間停止能力。
時間停止中は自分以外の事象が固定化され羽ペン一つ動かせなくなる。「時を止めれば、残務を片付けつつ定時で帰ることもできるんじゃ!?」…なんて小賢しい真似はできないが、代わりに周囲の空間で過去に起きた出来事を映像として再生することが可能。変装していても仮面をつけなければじっくり顔を覗き込まれて正体がバレてしまう。
シェリー
冒険者ギルドの研究員。艶やかな髪を一つに纏めた二十代前半の器量良し。巨乳。
遺物研究の第一人者であり、技術を解析・応用した次世代の道具の数々を生み出した。
しかしながら、この手のキャラのお約束違わぬマッドサイエンティスト気質。
【四聖】(四代目)
200年前にヘルカシア大陸に入植した【四聖】の子孫。
冒険者ギルドが仕切るこの大陸の事実上の王。その立場はギルドマスターよりも上。
普段は運営をギルマスに一任し、大陸の歴史を〈四聖書(リブリ)〉に記録している。
【剣聖】
穏やかな目と長い白髪を持つ初老の男。
【聖母】
10歳にも満たない幼い少女。
【守護者】
おっとりとした声の青年。
【大賢者】
本編の十数年前に失踪して以来生死不明。
その他
シュラウド
幼少期のアリナと仲が良かった冒険者の男性。攻撃役。当時の年齢は23歳だが、アリナからは「シュラウドおじちゃん」と呼ばれていた。元は冒険者志望だったアリナに受付嬢の仕事を勧めた張本人。クエストで敗れて死亡した。
イレイザ・クローバー
アリナの母。四つ葉亭という酒場を経営している。
アシュリー・クローバー
アリナの弟。15歳。姉とは正反対で物静かな性格。