概要
NZ INDUSTRIALによって立ち上げられた、オリジナルのキャラクターモデル企画。第二次世界大戦の裏側で戦われた、アフリカに隠された地下世界、南極大陸、そして火星を舞台とする火星人との星間戦争をバックストーリーとして、人類側が対火星人用に開発した人型兵器「人型重機(リーゼンパンツァー)」のキット化を1/35スケールで進めている。
タイトルには『KAMPF RIESEN MARS』という表記揺れもある他、『人型重機 パンツァーフィーア』という別題も併用されている。
NZ INDUSTRIALのメンバーが学生時代に自主制作映画用として起こしたデザインを原点としており、2013年夏のワンダーフェスティバル出展を端緒としてレジンキットの展開が始まった。2017年には、キャビコ(エムアイモルデ)と共同でクラウドファンディングによる人型重機のプラモデル化企画を実施。これは目標金額を越える支援金を得て成功裏に終わり、2018年11月にはキャビコ販売のプラモデル第1弾となる「IV号人型重機」の一般販売が開始された。その後、2022年6月にはプラモデル第2弾となる「III号人型重機」が発売されている。
なお、レジンキットの展開も停止されたわけではなく、2024年夏にはプラモデル版III号人型重機を素体とするコンバージョンキットとして、生産型仕様とされる「VI号人型重機」が発売された。
プラモデルは、ガンプラで言うところのHGの枠に収まるサイズ。スナップフィットやポリキャップの採用、各関節やコクピットハッチの可動という現代のキャラクターモデルのデファクトスタンダードを踏襲してはいるが、成形色は単色が基本、小パーツや可動の要となる足首周りのパーツでは接着が推奨されるなど、スケールモデルに近い要素も併せ持っている。
なお、企画の展開に伴って各種の設定はたびたび変更されており、顕著な例としては、プラモデル化に併せて人型重機のサイズが縮小される形で設定し直されている。
これは、当初レジンキット版より小ぶりの1/48スケールを想定して開発されていたプラモデルが、コクピット内に1/35スケールのフィギュアを収めることができたため、急遽「このサイズで1/35スケールです」ということにされたためだという。
人型重機
頭頂高5 - 9m級の人型兵器。戦車に準じた防御力をもって歩兵を電撃戦戦術に対応させる「機械化歩兵」としてドイツ陸軍主導で開発が進められたものだが、開発計画の始動には、異なる思惑をもって火星人への備えを進める「百目」と「石切場の賢人達」の2つの秘密組織が関与しており、実際には火星人側の「巨人兵器」への対抗手段とすることが意図されたものだった。
そのため、火星や「石切場の賢人達」のルーツに由来するオーバーテクノロジーが導入されているが、戦闘単位としての能力自体は開発当時の現用兵器からかけ離れているわけではない。
円筒形を基調とする胴体に頭部と四肢が接続されているという構造は各機種で共通しており、コクピットは胴体に収められている。
主な動力源はフレームや胸部外装に使用された「ヒヒイロカネ」または「オリハルコン」と呼ばれる特殊金属で、これはパイロットの血液を吸収して駆動用のエネルギーに変換する能力を持つ。その性質上、失血によるパイロットの衰弱を考慮して、稼働時間には30 - 60分という制限が設けられている。補助動力としてガソリンエンジンと発電機を併用したガス・エレクトリック方式も採用されており、四肢には駆動用のモーターが備わっている。
なお、携行火器などの一部の装備品は同時期のドイツ軍装備から転用されている他、開発にハインケル社などの航空産業に携わるメーカーが関与していたことから、航空機的な設計がなされた部位もある。
第二次大戦前に締結された「ツングースカ条約」によって人型重機の使用が対火星人戦に限定されたこともあり、大戦中の運用は一般に知られることなく終わったが、条約を無視して人類同士の戦闘に用いられた、または投入が図られた事例も存在する。ドイツの同盟国であった日本に加えて、ツングースカ条約に基づいて少数機が連合国側にも供与・運用されており、後にはドイツ以外の国家・組織が独自に開発した人型重機も登場した。
なお、ドイツで開発された人型重機では、ドイツ軍の装甲戦闘車両に倣った命名則が採用されている。
製品ラインナップ
レジンキット
- IV号人型重機
- III号人型重機
- 88mm Flak 18/16/37-R(※1)
- マーダーI/250/R(※2)
- V号人型重機
- VI号人型重機(試作型)
- VI号人型重機(生産型)
プラモデル
- IV号人型重機(ロービジグレー)
- IV号人型重機 連合国仕様(ダークグリーン)
- IV号人型重機 特別仕様 ストレートブラックVer.
- IV号人型重機 特別仕様 グレーホワイトVer.
- IV号人型重機 後期生産仕様 ダークイエロー
- III号人型重機 末期生産仕様 オキサイドレッド
- III号人型重機 後期生産仕様 ダークイエロー
- III号人型重機 オリジナルコミック同梱キット(※3)
注釈
※1:ドイツ軍の8.8cm高射砲を人型重機の携行武装に改造したもの。後発のプラモデル版にも持たせることは可能。
※2:人型重機ではなく、火星上での運用を想定して開発された半装軌式自走砲。マーダーと名付けられた自走砲のうちの1車種という設定。
※3:コミック版の主役機である「シュルワッツ商会」の所有機を再現している。2025年時点ではシリーズ唯一の2色成形キット(ホワイトグレーとオーク)。
※:前掲の製品に加えて、NZ INDUSTRIALの許諾を得たサードパーティによって製作されたガレージキットも存在する。
メディアミックス
NZ INDUSTRIALの雪風摩耶氏によって、作品のストーリー展開を担う小説が執筆されている。ストーリーは冒険活劇的な『Kampme Riesen Mars 1941』と、架空戦記的な同『1945』および続編『戦後編』に二分されている。
かつては旧公式サイトを連載の場としていたが、公式サイトの移転を経た2025年現在はカクヨムに場所を移している。また、レジンキット付属のブックレットやクラウドファンディングの返礼品として上梓された解説本といった物理媒体にも掲載されている他、特別仕様のIV号人型重機プラモデルにも、書き下ろし短編を収めたブックレットが付属する。
2022年には『人型重機 パンツァーフィーア KAMPF RIESEN MARS 1941』のタイトルで、UMEGRAFIX氏の作画によるコミカライズ企画の展開が始まっている。ストーリーは小説版『1941』にリメイクを加えたもので、III号人型重機のオリジナルコミック同梱キットにて第1話が世に送り出されている。
関連タグ
イグザイン - キャビコが人型重機以前にキット化したオリジナルロボット。小説版『戦後編』にオマージュと思しき人型重機が登場する。
機神兵団 - 設定が類似していることが指摘されがちな作品。
フィスト・オブ・ウォー - 近い時期にキット展開が始まった、第二次大戦を題材としたオリジナルキャラクターモデルのシリーズ。
人型重機パンツァーフィーア - 別タイトル。