1/35
さんじゅうごぶんのいち
「1/35スケール」として、プラモデルをはじめとする模型で用いられる縮尺のひとつ。スケールモデルにおける国際標準スケールとして扱われている。
Pixiv上では、当該スケールのプラモデルの写真や製作記、ボックスアートを模した作品などにこのタグが付けられている。
日本発祥のスケールであり、田宮模型(タミヤ)が1961年に発売した「パンサータンク」で用いられたのが最初。なお、このキットで1/35スケールが採用されたのは「電動走行用のギミックを組み込むのに丁度良いサイズになるため」だったという。
その後、タミヤが1/35スケールのAFVキットをシリーズ化し、非可動の「ミリタリーミニチュアシリーズ」(MMシリーズ)へと移行しつつラインナップを拡充させていくと同時に、それまでは1/30などの近似スケールを用いていた国内の他メーカーも追随して1/35のAFVキットを展開し始めたことにより、国内におけるAFV・軍用車両キットの標準スケールとして扱われるようになった。
これはタミヤ製キットなどの輸出を受けていた海外にも影響を及ぼし、1972年にイタリアのイタレリが「マーダーⅢ」を皮切りに1/35スケールのAFVに参入したのを端緒として、それまで確固たる標準スケールのないまま近似スケールを用いてきた海外メーカーも1/35でのキット化を行うようになった。
また、兵士を中心とする人物のプラモデルにおいても、1/35が国際標準スケールのひとつとして用いられている。
これもタミヤのMMシリーズの兵士フィギュアを発端としており、主となる軍用車両のキットと同時にシリーズ展開されるケースが多いが、ドイツのプライザーやウクライナのマスターボックスのように人物のキットを主力商品としているメーカーも存在する。
また、近現代のみならず戦国武者や赤穂浪士、メイド喫茶のメイドさんなどがキット化されるケースもある。
人間以外の生物としては、地味に恐竜のプラモデルでも使われることが多く、タミヤや学研などが1/35の恐竜キットを発売している。
ただし、航空機のプラモデルにおいては、ヤード・ポンド法を基準とした近似する国際標準スケールである1/32の勢力が強い。
タミヤのパンサータンクと同時期には、大滝製作所(オオタキ)の「ゼロ戦」など航空機キットでも1/35スケールを採用したものが出現しているが、標準スケールとして定着することなく終わっており、現在ではヘリコプターや観測機など、AFVと密接に関わることの多い機種が1/35でキット化されるケースがある程度となっている。
同様に、軍用車両以外の車のプラモデル(カーモデル)も1/32スケールの独壇場であり、1/35スケールのキットは軍民双方で用いられている車両などでわずかに見られる程度である。また、鉄道模型においても1/32スケールの「1番ゲージ」が欧米圏を中心に普及している。
なお、軍用車両のプラモデルでも1/32スケールが用いられるケースはあり、主に1/35スケールが定着する以前の海外キットや、航空機とともに用いられることが多いケッテンクラートのような車両のキットで採用されている。
その他の近似スケールとして、1960年代~70年代にかけて日本模型(ニチモ)やフジミ模型、バンダイなどといった複数のメーカーが軍用車両やカーモデルなどに1/30スケールを採用したこともあったが、これは国際的な標準スケールとして定着するには至らず、1/35や1/32に置き換えられる形で駆逐されている。
なお、建築模型の分野では1/30は標準スケールのひとつとして用いられている。
キャラクターモデルにおいても、主に人間とのサイズ差が比較的小さいリアルロボットのキットなどで1/35スケールが用いられることが多い。
具体例としては、ガンプラをはじめ『装甲騎兵ボトムズ』『聖戦士ダンバイン』『ガンヘッド』『機動警察パトレイバー』『ガサラキ』『攻殻機動隊』『コードギアス』『OBSOLETE』『重装機兵ヴァルケン』『サクラ大戦』などのキットがあるほか、『マシーネンクリーガー』や『メカトロウィーゴ』などのプラモデル主導の作品でも用いられたケースがある。