概要
そば閻魔とは、北千住の民話である。不思議で優しいものであり、恩返し的な特徴がある。
出生
柴又の長屋で男の子が生まれた。名は、「熊次郎」。父も母もいたが、母は病で、父は酒の飲みすぎで亡くなった。「もう、どうしようもない・・・。」とさまよっていたら、ある声が引き止めた。
「まだ早い」と。
振り向いてみたらそこは閻魔堂。
そう。
閻魔がいなくなるのを引き止めてくれたのだ。
師匠との出会い。
思いとどまった熊次郎。だが、さまよってるうちに倒れてしまう。
それを助けてくれたのは屋台で蕎麦屋をしていた師匠だった。
そうして、蕎麦屋で働いていたが、その師匠も風邪こじらせてそちらも亡くなってしまった。
その後、閻魔堂でお参りしながら思った。
(そろそろ、店建てようかな?師匠の夢だったし・・・。)
すると、
「まだ早い」
そう聞こえた。熊次郎は思った。
「ああ。『焦らずもう少し頑張れ』ってことか。」と。
そして月日が流れた。
不思議な娘
そして、熊次郎は晴れて店を建てた。名は「柏屋」
もちろんとても繁盛していたが、1つ不思議事があった。
「綺麗な娘」が、たびたび食べてくるようになったのです。
それも毎晩毎晩。
スケベな客が見に来るほどでした。
そして、ついに、言われました。
「あの子可愛いけど、どこの子だ?探ってくれないか?熊次郎。」
そこで探ることにしました。
娘の正体
そして熊次郎は娘が出てすぐ後をつけました。すると近くの閻魔堂の前で消えました。
そう。
彼女の正体は、「閻魔」だったのです。
頼みと別れ
そうして眠りについたのですが、夢枕に閻魔が現れました。
「おい。熊次郎。」
「これはこれは、閻魔様。いつも助けて下さりありがとうございます。」
「これは、わしのセリフだ。お父さんが、お堂建て直してくれたお礼だ。」
「そうですか・・・・。」
「あと、頼みだが、また、閻魔堂に、蕎麦届けてくれないか?ついでに、『話』がある。」
「はい。もちろん!」
そして翌日。
「こんなにくえんぞ!まあ、他に分けるか。で、『話』だが最近わし、体調悪くてのう。診てもらったら『力の使いすぎ』だそうだ。あそこも繁盛してるし、もう来るの辞めていいか?」
そして熊次郎は泣きながら言った。
「閻魔様・・まだ早い・・・。」
余談
この店は実はまだ同じ所で営業はしてるものの、実質知られた善行を閻魔がやったのはこの話以降ない。きっと何処かで人に優しくしてることを願う。
余談②
別の文献だと、とあるイラストのように、閻魔大王は、
「唐辛子とネギを増し増し」にして食べていたそう。それもあってか、注目されていたそう。
まあ、本人は、「好かれたい」気持ちもあったかもしれないが・・・。