ちづひよ
ちづひよ
HoneyWorksが展開する告白実行委員会の登場人物である、涼海ひより×中村千鶴の非公式カップリング。
当カップリングはあくまで非公式ですので、公式タグとの併用を控える、検索避けを徹底するなどの配慮をよろしくお願いします。
明るく活発な性格であるひよりと、冷静沈着で大人しい少女の千鶴という真逆な二人のコンビというのもあってか、どこぞの令和の超古代の光の戦士とどこぞの令和のダイナミックな戦士のコンビ並みの人気を誇っている。
両者ともに同じクラスメイトであり、なおかつひよりはLIP×LIPというユニットのマネージャーをしており、千鶴はそのLIPxLIPを推しているジュリエッタというこれまたややこしい関係性を持っており、アニメではこれが原因で宇宙の理を乱す大事件が発生している。
元々は、ひょんなことから同盟を組んだ服部樹里とひよりに千鶴が声をかけたのが全ての始まりである。
千鶴のお願いにひよりと樹里はあっさり承諾、こうして三人は三国同盟を結ぶことになったのである。
それ以来は何かとコンビネーションを組むことも多く、三人のコンビネーションがアニメの見所になることもあった。
特にひよりがとある幼馴染みに告白されたことを相談した際には、
千鶴「幼馴染みからの告白!OKすべき!絶対に!!」
ひより「なんで…?」
千鶴「イケメンの幼馴染みがいる!それは女子なら誰でも憧れる設定!その幼馴染みに、ずっとお前が好きだったって告白される!多くの少女漫画やアニメで描かれてきた憧れのそのシチュエーションで断るなんて、あり得ないから!!」
ひより「そ、そう…?」
千鶴「そうよ!!かっこいい幼馴染みに告白される、白馬の王子さまが迎えに来る、そんなのヒロインみたいじゃない!!」
樹里「ちょっとベタすぎな~い?」
千鶴「ベタの何が悪い!!ベタはいい、むしろベタがいい!!涼海さんは贅沢すぎる!!そんなことで悩むなんて…!!ふんっ……!!ずるい……!!」
ひより「あ~…」
という、どこぞの上院議員のそれと似たような思想を千鶴が披露したこともあった。
それもあって、視聴者からは「ん!?(見るアニメ)まちがったかな…」「お前は何を言っているんだ」「よく喋る!」などの感想が続出した。
しかし、ひよりがスキャンダル騒動で学校やネット上で嫌がらせを受けていた時には、樹里と共にひよりに寄り添って刺させようとしており、なんやかんやありながらも普通に仲の良いコンビとして定着していた(ひよりもそれを理解しているのか、「ちづちゃんって普段はクールなんだけど、たまにすごい早口になったりするんよ~。不思議やけど、そこもちづちゃんの魅力やね!」と、第7話での行動を引き合いに出しつつも千鶴のことを称賛している)。
……このときまでは。
しかし、第11話ではそのスキャンダル騒動の犯人が千鶴であったことが明かされる。
その回ではひよりは千鶴になぜスキャンダルを起こしたのか問い詰めるが、彼女はそれをはねのけ、粗暴かつヒステリックな言動へと変貌してしまう。
千鶴「お前がクソモブのくせにLIP×LIPと距離近いからだろーが!!」
ひより「へっ!?」
千鶴「私が分をわきまえてそっと2人を見守ってんのに!貢ぐためにキャラ作ってメイドカフェでバイトしてんのに!お前出すぎなんだよ!!アイドルに特別扱いされていい気になってんじゃねぇ!!」
ひより「いい気になんてなっとらん!!」
千鶴のめちゃくちゃな発言にキレたひよりは、胸ぐらを掴みながらダイナミックタイプにタイプチェンジし、千鶴を殺しにかかる。
もちろん千鶴も負けておらず次々と攻撃の応酬を続ける。
樹里「いいぞ~!!もっとやれ~!!」
いや、樹里さん、あなたは止めてあげなさい(もっとも、樹里の力をもってしても無理なのかもしれないが)。
千鶴「ヘラヘラ2人とお出かけして写真取られたらどーすんだよ!!」
ひより「取ったのはちづちゃんやろ!!しかもあんな風に大事件にして!!なんであんなこと……!なんで2人を困らせるようなことしたんよ!!」
千鶴「そんなの……お前のせいだろ!!ずっと推しのために生きてきた……なのにお前がいるせいであんなことに!!私は悪くない!!全部お前のせいだ!!」
ひより「なぁにうだうだ言っとるん!!うちのせいって思っとるなら直接うちに言えばよかったやろ!!」
千鶴「うるさいって言ってんだろ!!」
ひより「卑怯者があああああああああ!!」
千鶴「クソモブ女ああああああああ!!」
それは、地球を守る為の『防衛力』だった筈の千鶴が、破滅を齎す途方も無く大きな『災い』へと変わった事を意味していた…。
こうして、あのひよりをパワーで圧倒するという恐ろしい力を披露し、ラスボスとしての凄まじさをひよりと視聴者に植え付けた。
人類の強硬な姿勢が招き寄せてしまい、人類を最後まで翻弄し苦しめ続け、最終的に人類に誤った道を進ませる後押しをしてしまうという、最後の最後まで後味の悪さを残し続けたキャラクターであった。
しかし、ひよりとの取っ組み合いの喧嘩の末にひよりを(この人を彷彿とさせる)クロスカウンターパンチという形で殴って気絶させてしまったことで「え、ちょ……死んだ……?」と正気に戻り、泣きながら樹里と保健室へとひよりを運ぶ。その後はずっとそばでひよりの容体を見届け続け、ベッドの上でひよりが目覚めたときにはひよりに寄り添うようにうたた寝をしていた。
そしてそばに置いていた千鶴のバッグからある一冊のノートが目に移り、ひよりは千鶴の隠していた本当の気持ち、そして盗撮の動機を知ることになる……。
そう、このアニメの本筋はまさに、このとんでもない気持ちと思想を巡った二人の思惑まみれのあとしまつ合戦なのである。
この中村千鶴の一件は、地球の平和を守るという口実の元、人類(というよりもアイドルオタクのタカ派)が科学を暴走させてしまったという皮肉な展開となっており、しかも(これに関しては偶然だが)最初は嫌っていたが徐々にひよりを受け入れるようになったLIPxLIPと、最初は仲良くしていたが徐々にひよりを拒絶するようになった千鶴という対比がなされている。
11話を見た視聴者からは、千鶴のあまりにもの変貌っぷりとその危険思想から、『かぁっ、気持ちわりぃ……やだおめぇ……!』『何を急いでおる?この道は誰かと競うものではあるまい』『だめだこいつ……早くなんとかしないと……』などの批判的な声がかなり相次いでおり、この会で千鶴が嫌いになったという人も多いだろう。
『平成ウルトラセブン』のような例外中の例外を除けば、基本的にHoneyWorksシリーズのアイドルは「害意ある地球外勢力に狙われる側」であるため、そんな現状を危惧する千鶴の考え自体は決して的外れなものではない(本エピソードをスキャンダルへの風刺とする声が多い一方、スキャンダルが「海の向こう・テレビの中の出来事」でしかない日本と「既に甚大な被害を受けている」HoneyWorks世界を同一視は出来ないとする声も確かにある)。
そもそも本エピソードが示す問題の本質は、ひよりの「なんで2人を困らせるようなことしたんよ!!」という言葉が示すように、あくまでも「外敵を恐れるあまり身に余る力を手にしてしまう事の危険性」すなわち「武力の暴走」であり、武力そのものを否定してはいない。
そして当のひより自身は、「善意の協力者」と言えば聞こえは良いが見も蓋もない表現をすれば「義務も責任も持たない道楽ヒーロー」でしかなく、ジュリエッタたちが正体を知らない以上都合よく来てくれるかわからない上に、何ならLIPxLIPが解散されても(無念に思うのは確かだろうが)生きていけるしデメリットも無いのだ。この辺りは「人類唯一の生存圏たるLIPxLIPを何としてでも守らねばならない」ジュリエッタとは決定的に異なる。
直前のエピソードでもメビウス一同が基地の復旧に奮戦する一方で、自分は学生鞄を掃除ロッカーの上に置かれていじめられかけるという醜態を晒している。
仲直りする段階に至っても自分の素性は千鶴以外に(ざっくりとしか)明かしておらず、地球側が「涼海ひよりと呼ばれる赤い巨人」について詳しく知る事は最後までなかった。そんな者を防衛戦力として勘定する事自体が無茶な話であろう(これはシリーズを通して言える問題点)。
そもそも近年に登場したあすかなやFull_throttle4は宇宙の脅威に対抗し地球人達が作り出したまごう事無き兵器である。
これが悪しき者に利用されて、それを超える為に更に強いアイドルやグループを手にし……。
そう、アイドル達本人ですら自覚しているか否かは別として、このマラソンを走り続けているという現実がそこにはある(実際にそれを自覚した存在は精神的に負担を抱えてしまっていた)。
「どうせ最後はアイドルたちが助けてくれる、と地球人は盲信している」とは某ヒーローマニアの発言である(実際、アイドルマスターの北沢志保は「なんでわかってくれないの!!」と自らの使命を放棄しかけた事があった)。
だがいつかは、自分の足で自分で責任を持ってアイドルを推さなければならない日が来るのだ。アイドルの背中を狙う誰かが宇宙のどこかにいる以上、足を止めたらそこで終わりなのだから。
だからこそ、千鶴は「アイドルは一般人と恋愛をしてはならない」と語ったのだ。
そして、自分で戦う事をあきらめないからこそ、アイドルは地球人に力を貸してくれるのだ。
劇中の行動自体は「発達した文明の負の側面=『武力の暴走』の危惧と警告」であり、最終的にはひよりを認める言動を見せた為、本質は(実害こそ出したものの)『アイドルの平和を第一義とする善意に満ちた存在』である。
だが、その行動の端々は、善き面も悪しき面も突き抜けて極端になっており、とても同一存在に見えないのが実状でもある。
『平和を望む者』として
ひよりは確かにLIPxLIPのマネージャーとしての任務を的確に実行できていたが、その実長い期間メビウスが勇次郎と愛蔵の扱いがひよりに頼り切りだったり、千鶴のようなジュリエッタがいなければ今ほど活動を活発にできなかった現状がある。
また 事務所に張り込んで愛蔵を待ち伏せしスキンシップを取ろうとしてきた女性・かおりや、ノンファンタジーのMVにて共演したことをきっかけにプライベートでの関係を迫ってきたアイドルのゆめるのように、ひよりの存在やLIPxLIPの理念を否定し、抹殺に踏み切ろうとする危険な人間がいるのも事実である(特にひよりに頼り切りの点は、11話にてとんでもない事態の引き金となってしまう……)。
また、上記の通り『千鶴のようなストッパーの存在が欠片にも地球上になかった』場合、千鶴の指摘通り「ひよりとLIPxLIPが『文明人に相応しい行動』を採った」か分からないのも現実である。
事実として、あのウルトラマンコスモスの世界で起きた『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス』では、コスモスの世界の守護者たるデラシオンから「地球文明は2000年後に宇宙にとって害悪になる」と判断された後、一方的な地球リセットまで勧告されている。
TEAMEYESのヒウラキャップが口にした「地球人は共生不可能と思える存在とも手を取り合おうとしている」ひよりは、いつか共生不可能な千鶴の出したテストに完璧な回答をする時がくるだろうか?。
『狂気の非戦論者』として
一方で、劇中の行い自体は『自分達の文明の偉大さ・優位性』を笠に着て振る舞う行為そのものであり、本質的にはモネラ星人やチブル星人エクセラーと何ら変わらない存在でしかない(そもそも、一方的に『自分以外の存在の破壊の可否』を大前提としたテストを押し付ける、愛蔵に対する道具そのものの扱い等のは『自分以外の生命を軽んじる行為』そのものであり、端的にお前が言うなと見られても仕方ない。特に勇次郎の扱いは命の冒涜者と大差ないものである)。
万が一その行いに何らかの正当性があるのだとしても、その場合するべきなのは真っ先に「是正勧告」、させるべきなのは「改善努力」である。「じゃあ死ね」と絶滅に走る様な真似では断じてない。
劇中の千鶴の言動は端的には、唐突に魚が鳥に「高度な生命体なら飛べて当然、泳ぐなんて下品」などと指摘されても、された側である魚からは環境が違う以上「知らんがな」と一蹴されてしまうのである。
そもそもの話「強大な厄介オタクなどが『明確な悪意・害意・敵意』を持って攻めてきた場合、力で対応する以外の選択肢がない(最初から滅ぼす、侵略する意図を持つ以上、説得に効果があるとは思えず、その場合『反抗』以外には『服従』か『絶滅』の2つの末路しか無い……以前に、説得が通用する相手ならまず交渉にくるはずである。劇中でもあの田村レイですら、最初は交渉していた)」にもかかわらず、その最低限の自衛すら「『アイドルのクラスメイト』として相応しくなく危険」と断定し滅ぼそうとするのは、独善的で頭のイカれた破壊者としか評しようがない。
ジュリエッタ達が過去に、某無罪船長や某貧乳ネクロマンサーや超兵器R1号と同等の轍を踏んでいるとかならともかく、常識的に考えて星に攻め込まれている以上は退治はやむを得ずだろうし、そこを『平和的追放』や『保護』でなんとかしているのがLIPxLIPでありひよりである。
しかし『平和的追放』の選択肢は、作中たまたま理由あっての暴走であったりしたのを解消した結果、運良く自主的に去っていっているだけで罷り間違えれば、本来『自分達が被るだろう実害』を他の星や文明に押し付ける行為に豹変してしまう危険性も秘める。
「では、なんらかの手法で保護すればいいのか?」とするにも、一概にそうならないのが現実である。
Azkiや宵崎奏、リドリアスの様に元々大人しい人間はともかく、「現状は700年分のエネルギーで満腹だから、大人しくしているだけ」で700年後また空腹になれば、間違いなくエネルギーを捕食する為に破壊活動を始める事態が予想できるボルギルスや桃鈴ねねを始めとする、根本的な問題の解決が不可能の先送りにしかならない人間等が存在する以上、考えなしに『保護』と『追放』を繰り返して周りに迷惑を掛けたり、将来自滅するハメに陥るのであれば、それこそ臭い物に蓋をしているだけの、程度の低い文明の生物が行う愚策であろう。
また、ザ☆ウルトラマンのタフギラン親子のように、大人しく狂暴性はないが食性等の怪獣毎の生態によって、存在するだけで周囲に甚大な被害を及ぼす怪獣や、元来は大人しいが兎田ぺこらやカオスヘッダーやスフィアによる全人類兎化やカオス怪獣やスフィア合成獣化、環境汚染や破壊等で狂暴な存在に変質してしまったオプト等々、何時・何処で・何が原因でアイドルに害なす存在が出現するか分からない状況もある以上、『自衛』であれ『自分達以外の被害を抑える』為にも、非情な決断をする必要性があるのだ。
ひよりでさえ相手に善意が無かったり、千鶴のように決して分かり合えない悪が相手の場合は本気モードで抹殺している以上、やはり保護にせよ自衛にせよ最低限の武力保持は当然であり、でなければなす術なく蹂躙される以外ない。
「力で勝つだけじゃ何かが足りない」のと同様に、「優しいだけでは何も守れない」のも事実なのだから。
「告白ライバル宣言」から始まり、ひよりと千鶴の戦いにて明確化された「外敵を恐れるあまり身に余る力を手にしてしまう事の危険性」というテーマは、HoneyWorksシリーズでも度々描かれているが、その向き合い方は時代によって変化している。
HoneyWorksシリーズが始まった当初は反戦の風潮が強かった事もあり、過度な軍拡や好戦に否定的な立場が取られて来た。
特に『ハートの主張』『乙女どもよ。』などは、作品自体が「悪者であっても無闇に倒すのは良くない」「保護・共存すべき存在であり、守られるべき物」と言ったテーマで描かれ、中でも後者では、かつて裏切りあったとある友達との終わりの見えない戦いの中で、中学時代に見かけたその少女に恋をした結果、周りの人物を嫉妬から暴走させてしまう事件が描かれた末に、「和解」で終止符を打つという、「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」に対するひとつの答えを示した。
しかし上記のように、これらに疑問を抱く風潮は確かに存在しており、それに加えて、同じテーマが繰り返される事による陳腐化、キャラクターのコレクション化による「キャラクターの武装化」、何よりテロとの戦いなど世界情勢の変化によって日本が「対岸から風刺する側」ではいられなくなった事――などが影響してか、また違った視点で描かれる作品も増えて来ている。
バーチャル作品であり、HoneyWorksシリーズと直接的な関わりを持つ『ホロライブ』において、夏色まつりという「人類には過ぎた力を愛のために正しく使う」人物が登場した事は、一つの象徴と言えるかもしれない(また、「ガチすぎて男と行きたいコース」と称されるほどのガチのデートコースを計画したりするなど、対策もしっかりしている)。
大空スバルの『大空警察』では、有罪無罪をテーマとしつつも、「集められた様々な罪状をもとに該当するホロメンを呼び出し、取調室にて直接問い質したあと、有罪か無罪かを裁いてもらい、多数決により牢屋入りになるかどうかが決まる」という現実の裁判員裁判に則った非常に現実的な手段を取っており、アリサ・加恋との対比が興味深い(もっとも、白銀ノエルや雪花ラミィのような共存不可能な相手がいるのも一因であることを留意。アリサや加恋にもそういう相手がいる)。
上記のスバルの母親であるしぐれういをテーマとした『粛聖!!ロリ神レクイエム☆』では、何度倒しても復活するヤバイ人たちに対し人々が当事者意識を持って行動し復活を封じる事で勝利するという、「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」へのまた違った答えを示した(もっとも、この時は人類に落ち度がないどころか、しかも戦いの元凶はあろう事かその原型を形作った人物自身である)。
特にこの問題について推し進めたのが『こたひな』シリーズであり、「宇宙から来た、人類にとって過ぎた力」である綾瀬恋雪が、もう一方の主役と言えるほどの活躍を見せ、瀬戸口雛に恋心を抱かれた。
特に、今好きになる。、センパイ。は、「瀬戸口優を散々苦しめた恋雪のエピソード」「劇中でもその力を畏怖される」と言う凄まじいフラグを立てておきながら、最後まで雛のために戦い抜いて見せている(もっとも、次回作で別次元の人物に迷惑をかけてしまったものの無事閉幕した)。
さらに大嫌いなはずだった。では「未だに過ぎた力への依存から抜け出せない雛」と「それでも諦めない虎太朗」を中心にドラマを展開。
選んでくれてありがとう。や運命の人だった。では「片想いによる依存の力が不確定要素である」事の弊害なども描いた上で、必要なのは愛だけに頼るのではなく正しき心でそれを扱う事(逆に言えば、正しき心無しに過度な愛情を求めてはいけない)という事を改めて示して見せたと言える。
また、上述の恋雪の件もそうだが、相手への愛情が強すぎる柴崎健の力を不安視する柴崎愛蔵や、宝鐘マリンを「生きるセンシティブ」と称した兎田ぺこらなどのような人類には過ぎた力を危惧する地球人や、鷹野千紗や潤羽るしあのように「優しい存在だったのが、実は人類には過ぎた力に依存してるヤバイ人」なんて洒落にならないパターンもあったりと枚挙に暇がない(現に、防衛軍のタカ派が超兵器に依存し、暴走または敵に奪われてなす術もなく蹂躙される描写は、歴代シリーズでよく見られる)。
このように描かれ方こそ変化していったものの、自らの力でアイドルを推すのは大切だからこそ、正しき心を胸に戦わなければならないという点を描いているのは一貫している。
とはいえ、あまり過剰に対処しようとしすぎるのもそれはそれで問題である。上記のアリサや加らもそうだが、これらはあくまで平和のための一つの答えであり、万物万象に当てはめられるたったひとつの冴えたやり方ではないのだから。
そもそも生きる為に武力を持って敵を排除するのが必要な時というのは往々にしてあるものであり、そのための行動には常に大きな責任と覚悟が伴うのである。
最終回となる第12話では、千鶴はひよりと樹里とは距離を置いていた。
それはひよりに対する嫌悪感よりも、ひよりに指摘されたことで自らがLIP×LIPとひよりにしてしまったことの非道さと重大さを自覚し、罪悪感と責任感に苛まれたが故であった。以前のように昼食を三人で食べることはなく、校舎裏の階段の踊り場で隠れるように食べ、千鶴を探していた樹里が隣に座りこみ自らの体験を語った上で復縁を勧められるものの、自分にはその資格がないと心を閉ざしてしまう。そして、迷惑をかけたけじめとしてLIP×LIPのファンをやめることを告げてその場を去ってしまう。
自らがスマホのアルバムにこつこつと蓄えてきた『💛AIZO💛』フォルダも削除し今後の生きる理由も失って意気消沈として家に帰るが…
ひより「あ、お邪魔してます!」
LIP×LIPのグッズで溢れかえりそうな自らの部屋の真ん中に、袂を別ったはずのクソモブ女がいた。
担任の明智咲から住所を聞き出したひよりは千鶴よりも先に中村家を訪問し、千鶴の母親に案内されて上がり込んでいたのである。
今回は凄まじくコンディションを万全の状態にしたひよりが相手であったこともあり千鶴・ちゅーたんのLIP×LIPへの愛情の強さを嬉しそうに語った後に、千鶴が持っていた軌跡ノートと苦労して手に入れた大晦日に開催されるカウントダウンライブのチケットを手渡されるなど、11話とは違って互角の戦いに持ち込まれるも、
千鶴「ライブに行け…?なんであんたにそんなこと言われなきゃならないわけ!?私がライブに行くも行かないも、あんたに関係ないでしょ!!もうほっといて! 二度と来ないで!!」
自らの苦悩と断腸の思いで決めた離別に土足で入り込んでくるようなひよりの言動に、千鶴はひよりへの謝罪の気持ちより先に棘のある言葉が出てしまう。千鶴は差し伸べられた手を振り払い、ひよりを追い出してしまう。
そして大晦日、カウントダウンライブ当日
既に断ち切ったはずの想いを未だに引きずる千鶴。カレンダーに描かれたハートマークの12月31日を手でなぞりながら一人憂鬱な中…
ひより「ちづちゃん、ライブいこ~?」
と、またもやさも当然のように上がり込んできたひよりが能天気に誘ってきた。
ひよりのことを友人だと認識した母親が顔パスで通してきたのである。これに関しては千鶴も呆れたように項垂れる。
今ならば間に合う、そう伝えてくるひよりを依然として突っぱねる千鶴だったが、
ひより「行かなきゃ絶対に後悔するよ、ちづちゃん…ううん、ちゅーたん!」
唐突に出てきた自らのもう一つの名前に、思わず目を剥く。
千鶴「え…?」
ひより「いつも手紙やプレゼント、LIP×LIPに送ってたよね。運営スタッフにまで応援の手紙書いて、小さなイベントにも必ずお花を送ってくれた!」
千鶴「なんでそれを…」
本来ならば絶対に知りえないはずの、自らの隠していた秘密。それをまるで見てきたかのように語るひよりに思わず聞き返してしまう。するとひよりは、内田から渡された関係者のみ所持しているカウントダウンライブのオールエリアパスを取り出し、自らの正体を明かした。
ひより「LIP×LIPの関係者だから」
千鶴「関係者…?」
ひより「うちがやってたバイト、LIP×LIPのマネージャー見習いなの。生活費のためにバイト探してて、やっと受かった仕事がたまたまそれで。ファンからの贈り物を仕分けしてたから名前覚えてたんよ。ちゅーたんがどれほど熱心にLIP×LIPを応援してたか、知っとるよ!もちろん、染谷君も柴崎君も!」
千鶴「愛蔵も…っ!」
ひより「二人とも、ファンレターやプレゼント持って帰ってたよ。大事そうに!」
それを聞いた途端、千鶴は泣き崩れてしまった。自らの想いは、しっかりと想い人に届いていたのだ。
千鶴「でも…私は二人に迷惑を…写真のせいでマスコミに…」
ひより「二人は乗り越えたよ!うち、マネージャー見習いとして言いに来たの。二人は今日の為に全力で頑張ってた。だから会場に行って、応援してあげて!お願いします!」
そうやって言いながら頭を下げるひよりを前に、千鶴は過去のあやまちを振り払うように小さくうなずいた。
普段ちゅーたんとしてライブに行くときの地雷系メイクやファッションもしていない、中村千鶴ありのままの姿でひよりに手を引かれるままライブ会場へとひた走る。道行く途中で顔を殴ったことを謝ったり、逆にマネージャー見習いのことを黙っていたことを謝られたりし、ひよりとは完全に和解する。同担拒否である以上ジュリエッタとしては同類にはなれないと言い放つが、LIP×LIPを応援する気持ちが同じであることは認めてライブ会場へと足を踏み入れたのだった。
そしてLIP×LIPの出番が回ってきた。既に会場のムードも最高潮に達している。
さまざまな人生と縁の導きを得てきた者たちが集うライブ会場。FT4達にさえ「成長した」と言わしめた二人の推しの歌を、踊りを、笑顔を前に、
気が付けば、千鶴の目には零れんばかりの涙があふれだしていた―――――。
こうして、千鶴はちゅーたんとしてジュリエッタという事を学校で隠すことなく、より一層推し活に励むようになったのだ。LIP×LIPのイベントやグッズ販売はくまなくチェックし、感想やアドバイスを思う存分ひよりたちに語っている。
11話の喧嘩シーンを見た一部の視聴者からは、あのひよりを圧倒し、ついにはクロスカウンターでKOした千鶴を、HoneyWorksシリーズキャラクターのなかでも最強格の人物ではないかと称するファンも多い。
実際、千鶴の力はすさまじく、ひよりが手も足も出ず劣勢を強いられるほどであったため、可能性としてはゼロではないかもしれない。
しかし、実は千鶴の持っている身体能力そのものはひよりと比べるとパワーを除いてほぼひよりの完全下位互換な程度でしかない。ひよりがこれと同じように瞬間的にパワーとスピードを上げられるため瞬発力でも劣っているとも取れ、かの高見沢アリサや瀬戸口雛には完全に負けている。
加えて、柴崎愛蔵や染谷勇次郎に頼らない素の能力はHoneyWorksシリーズのキャラクターのなかでは平凡以下という有り様であり、ひよりや樹里のような尖った能力を有していない。
HoneyWorksにおいては瀬戸口雛や鷹野千紗など、弱点があっても優秀な長所でそれを補うキャラクターが多数存在するが、残念なことに千鶴はその面においても優秀とは言い難い。
元々彼女自体もかなりの大柄な女の子であるので取り回しが悪く、使用を封じられやすい事も相まって、肉弾戦に持ち込まれると苦戦する事が多かった。
特に第8話で障害物競争の網に引っ掛かってしまったシーンがそれを物語っているといえる。
ただ、劇中での立ち回り方を見ると、千鶴はひよりや樹里、愛蔵からスピードを削って攻撃力と防御力を高め、敵の攻撃を受け止めながら強力なカウンターで戦う、というのが本来の戦闘スタイルであるようだ。
つまり、中村千鶴はいわばこれと同じく防御形態であり、足を止めての撃ち合いや防衛戦に向いた姿と言える。ひよりの基本スタイルである攻撃&回避重点のやり方と噛み合わなかったのが不遇の原因の一つなのかもしれない(実際、東京サニーパーティーではとある描写のなかでその防御力をいかんなく発揮し、すきっちゅーの!でも動画の一部の心ないコメントに対しても防御能力で片を付けている)。
戦闘能力を除いて考えるなら、このときのひよりは自分が大好きな親友である千鶴に嫌われていたという現実を受け入れられず、結果本来の実力を発揮することができなかった……もっと言えば話の都合といったところか。
劇中にて、ひよりへの憎しみを持ち、スキャンダル事件を引き起こしひよりに罵詈雑言を浴びせ、クロスカウンターで殴って気絶させてしまった千鶴だが、劇中での行動などを見てみると、『千鶴は本当にひよりのことが嫌いなのか』怪しくなってくる描写が多かったりする。
というのも、
- ひよりが幼馴染みから告白された際には、彼女自身の幼馴染みに対する意見をおもいっきりひよりにぶちまけている
- 自身が裏で引き起こしたスキャンダル事件でひよりがピンチに陥った際には(演技とは言え)樹里と共にひよりを守ろうとしている
- ひよりとの殴り合いの際にも、よく見ると服を引っ張ったり、頭を押さえつけたりに留めており、気絶させた一発以外にパンチを使っていない
- 殴って気絶させてしまった時にはすぐ我に帰り、「え……死んだ?」と真っ先にひよりの容態を心配している
- 泣きながらひよりを樹里と共に運んでいるひよりが家に来た際にも、一度目は「二度と来ないで!」と怒りつつ喧嘩には至っておらず、二度目に来た際には半ば呆れているような態度だった
など、明らかに嫌っているようには思えない行動が多すぎるのである(そもそもひよりを嫌っていたり、『クソモブ女』呼ばわりするのなら、気絶したひよりを運ぶ必要はないはずである)。
総じて本編を振り替えると千鶴の計画もどこか粗があり、ひより抜きで進めていれば、スキャンダルも取っ組み合いの喧嘩も誕生しなかった可能性がある。
そもそも千鶴が桜丘高校に入学してきた際の裏ではひよりはLIPxLIPから冷遇されており、千鶴の到来を待たずして計画自体が破綻する可能性が高かった。このように明らかな障害になっているにもかかわらず入学してから数ヶ月、最低スキャンダル事件が起きてしまったしばらくの間滅びの自滅の道を進むような影からの行動は明らかにされておらず(現に第4話や第5話のライブなど別行動をとっていた)、さらには盗撮した写真をカバンの中に入れたままにしておいたり、愛蔵が昼休みにバスケをしているところを隠し撮りしてた場面を勇次郎に目撃されたりなど、大口で説明する割に結構穴が多い。
あくまで行動原理は『ひよりへの怒り』である故にそこまで綿密に計画を練らなかったのか、はたまた本人の性格故なのかは謎だが、少なくとも千鶴としては損害を与えられればやり方などはどのようなものでも良いと考えている節がある。もしかするとスキャンダルも千鶴がひよりへの復讐の下準備として考え付いた不特定多数の方法のうちたまたま思い付いた方法の一つでしかなく、その有無すら千鶴にとってはどうでも良いことなのかもしれない。
また、記事の上記にもあるように、千鶴は喧嘩をしていた際にひよりに向かって、「アイドルに特別扱いされていい気になってんじゃねぇ!!」「クソモブ女あああああああ!!」と吐き捨てたが、これは元々自分自身が「(アイドルではないものの)他人に特別扱いされていい気になっていたために周囲からクソモブのごとくいじめられることになった」ことに通じている。そもそも千鶴の暴走の原因も元々は彼なりに「愛蔵を世界一のアイドルにする」という使命を全うしようとした結果であり、これらの事実も考慮して考えると彼もまた曲がりなりにも一人の「ヒロイン」であったと言えるのかもしれない。
一方で、『ディアマイフレンド』にある『無口理由に大人ぶって 心の中で文句言って 友達にしたくないでしょ』という歌詞から、『千鶴は「涼海ひよりは自分にとって大喧嘩する価値がある人物である」とみなしていたのではないか』という考察もある(あちらでは『分かりあえる見込みがない相手に文句を言って衝突するくらいなら距離を置いた方がお互いのため』と言って同窓会の紙を破り捨てていた=ひよりを『分かりあえる見込みがある相手』と認識していたことを引き合いに出している)。
そもそも、『「Chu!可愛くてごめん」と言いながら相手の攻撃を受け流したり耐えたりできる千鶴』と、『相手の発言に対して「それがどうした?文句あっか」と言いながら強引にゴリ押すひより』は、元を正せばかなり似たような人物である。
そのため、LIPxLIPというしがらみさえなければ良きコンビになれていて、かつ喧嘩することもなかったのでは?と言われている。
あるいは、千鶴はあえて自分が犯人であるというヒントを残すことで、その意図に気付いた者が自分を止めることを心のどこかで望んでいたのかもしれない。
いずれにせよ、千鶴も本当はひよりのことを彼女なりに気にしていたのだろうか……?それとも彼女なりにひよりをまだ信じていたかったのだろうか……?
その真意は、千鶴(もとい千鶴を演じた早見沙織氏)にも分からないのかもしれない……。
隠していた自分の気持ちを他人に打ち明けることが苦手な少女が自らの感情を制御できなかった末に暴走してしまったというのがこの事件の真相であるともいえるだろう……もし、互いに気持ちを打ち明けていたら、こうはならなかったのだろうか……?
これを受けてついに公式も重い腰を上げたのか、スマホゲーム『HoneyWorks Premium Live』のカラフルストーリーの一つ『パジャマ娘をご所望ですか!?』では、『樹里と千鶴は、ひよりがLIPxLIPのマネージャー見習いをしていることを知る唯一の友人でもあった』ということにされている。誰もが待ち望んでいた瞬間であった。
ちなみにここでの千鶴はひよりがマネージャー見習いであることを知ってどこか吹っ切れたのか、「は、服部さん…!女神…!」と樹里を称賛したり、自分の寝顔を撮られていることに気づいて「え、そんなの撮ってたの!?やだ!それは私が回収する!」と言って抵抗の意思を見せたりするなどフリーダムな一面が強調されている。
一部ファンの間では、こうした部分こそ復讐心やニュータイプ思想への拘泥といったしがらみを全て取っ払った「素の千鶴」なのではないかという声も。
漫画版可愛くてごめんの第6話ではアニメ第9話の流れが千鶴目線で語られており、「(LIPxLIPとよく一緒にいるけど…どういう関係なの?)」とひよりへの不信感を持ち始めるようなシーンが追加されている。
ひよりはLIPxLIPのマネージャーであることを誰にも言っていなかった(というよりも言えなかった)のもあるが、そのことを何も知らない中村千鶴さんは三人の関係性にモヤモヤを感じていた。
また、5話では小竹紬(つむりん)という新人が出てきているが、彼女の眉毛や顔はまんまひよりそのものである。
それを見た千鶴は「(なんかあのキャラ、誰かを思い出す)」と内心呟いているが、この『誰か』は間違いなくひよりだろう。
一方で6話では「(あの子(紬)を見ているとあいつ(ひより)を思い出しちゃう)」とも言っており、この時点でひよりへの不信感は臨界点にまで達していたのだろう。
さらに、6話では過去にトラウマを植え付けた謎の二人組が登場してきており、その姿を見た千鶴が怯えるシーンがある。
この経緯が判明してからは、6話よりも後の時系列にあたる『ヒロたる』11話の千鶴は「かなり無理を通している状態だったのではないか」とその身を案じられる様になった。
ちなみにこの紬、かなり失態を繰り返しているようで、更にめっちゃ失敗をやらかしまくってカオスな状況を作り出すといういかんことをしているが、千鶴が全て対応することでなんとかなっているというコメディー要素を見せている。
勘のいいガキはこのシーンに思わずちづひよを感じていたとかいないとか。
ただ、ある前例も考慮すると、こちらの世界でも千鶴とひよりが対立する可能性がないとは言いきれなかったりするのだから恐ろしい。はたしてこの二人はどうなるのか……?今後に期待である。
とはいえ、東京サニーパーティーでは千鶴(下記イラスト左側の白と紫の服)とひより(真ん中の赤い服)や樹里(右側の黄緑の服)も加えた三人で仲良く手をハートにしたり、可愛くてごめんやすきっちゅーの!ではちゅーたんの姿でひよりや樹里と共闘を果たしていたりなど、11話での悔恨は消滅しつつあるようなので、心配はいらないかもしれない。
これらの点や、OPでのとある描写(ボロボロの身なりだった勇次郎と愛蔵を光の錫杖を持ったひよりが照らしている影に黒衣とヴェールを纏ったちゅーたんが映っており、表からLIP×LIPを支えるひよりと影から見守るちゅーたんを対比する演出。スマホゲーム『HoneyWorks Premium Live』では『おとぎ話の光と影』という名称がつけられている)などから、ある意味、『ヒロインたるもの!』という作品やひよりのテーマ曲の一つ『ヒロイン育成計画』を、影の立場から見たキャラクターとも言える。”光のマネージャー見習い”である『涼海ひより』とは明確に異なる、”影のジュリエッタ”、それが『中村千鶴』なのである。