竹本泉作の漫画。
概要
天下無敵の女子高生、村上百合子はある日突然、猫の世界に召喚される。そこは、進化して2本足で歩く、言語能力を得た猫たちが、地球から姿を消してしまった人間に変わって人間の文明を維持し、人間の帰還を待っているという世界だった。
百合子が召喚されたのは、この世界で約5000年前に亜光速宇宙船のテストパイロットとして飛び立ち、ウラシマ効果で猫の世界となった地球に降り立ったという猫嫌いの宇宙飛行士ヘンリヒ・マイヤーが、人間時代の遺跡である図書館を占拠してしまい、人間時代の資料を得ることができなくなってしまったためだった。
その後、百合子はシマシマやクロフをはじめとする猫たちに呼び出されては、ヘンリヒを矯正したり、猫達が人間の文化を真似ようとしてやらかす事件に巻き込まれたりする生活が始まったのだった。
1991年に最初の作品が掲載されたが、当初は宙出版刊行のマンガ誌「アップルミステリー」の増刊、「アップルファンタジー」に掲載された読み切り作品であった。後にアップルミステリー本誌に移して不定期の読み切り連作として続けられたが、1998年に同誌の休刊後は竹本泉特集誌「ねこめ~わく……とか、いろいろ」1回、新創刊の「ねこミックス」で3回掲載されたが、「ねこミックス」もわずか3号で休刊。その後朝日ソノラマのWebコミック「夢幻館」へと移動し、変則連載が続けられている。「夢幻館」の事業はその後朝日新聞を経てハーレクインに譲渡されている。
こうした経緯を経つつも、現在に至るまで実に20年以上にわたる作者のライフワーク的作品である。
コミックスは旧版全8巻、新版『ねこめ(〜わく)』7巻。旧版と新版は連続した作品である。というのも、書店の書籍管理電子化の途上で、本来の書き方と『ねこめーわく』記述が混在して検索できないという事態になったことから、出版社を変えての新版移行の際に“ねこめ”の部分一致検索ができるように変更したもの。
登場人物
村上百合子(むらかみ ゆりこ)
天下無敵の女子高生。ある日「どんどこどんどこ」という音とともにいきなり猫の世界に呼び出される。猫たちの行動を何かと気にかけているが、呼び出しがしょっちゅうあるため、遂に浪人生となってしまった。現在は大学の教育学部にいる。呼び出しはヘンリヒが猫たちを困らせているときか、猫たちが何かをやらかしたときが多い。ドラマCDでの声優は平松晶子。
ヘンリヒ・マイヤー
宇宙飛行士。亜光速宇宙船のテストパイロット1号として帰ってきたらウラシマ効果で猫の世界に降り立つことになってしまった。普段は図書館にこもっていたが、後に戸建てに移動。連載当初は猫アレルギーがあって猫を近づけたがらず、その後百合子のハーブ療法でアレルギーは改善されるも、基本的に猫(特に進化させられた猫たち)を嫌っている。ドラマCDでの声優は塩沢兼人。
オスカ・ヨーリス
ヘンリヒの同僚の宇宙飛行士。同じく亜光速宇宙船のテストパイロットで、彼もウラシマ効果で猫の世界に降り立つことになてしまった。彼自身は猫好きなのだが、構いすぎる傾向があって一部の猫から警戒されている。
マデリン・エンダゼン
ヘンリヒがテスト飛行に出た後に配属された女性宇宙飛行士。彼女も同じくテストパイロットとして出た結果ウラシマ効果で猫の世界に降り立つことになってしまう。飛行試験以前に入籍しており、旧姓はコモン。しかしその時には既に消息不明となっていたオスカと婚約していた時期もあり、後にオスカとよりを戻した。猫が苦手だが、ヘンリヒの様に積極的に毛嫌いはしていない。
登場猫物
シマシマ・ハヤカワ
百合子を呼び出すグループの猫の代表者的存在のトラネコ。本来真面目な性格だが、人間を神聖視する傾向が特に強く、猫たちがやらかすときはだいたいその先陣をきっている。本業は弁護士。バツイチ。
クロフ・J・カーター
シマシマとコンビを組んで活動している猫の1匹。白と黒のツートーン。シマシマとは対照的にややすれた性格をしていて、この世界の猫にしては珍しく、人間をそれほど絶対視していない。本業は株式仲買人。連載当初は独身だったが、後にマーコと結婚し子持ちとなる。
マーコ・カー
アグレッシブな性格の女性新聞記者。三毛猫。後にクロフと結婚する。