※この先『スロウスタート』の根幹に大きく関わるネタバレが含まれているので、先に単行本8巻を最後まで読んでから読むことをお勧めします。
果実「…あの あのね こんな事言われても困るかもしれないけど 今度はちゃんと言いたいから」
果実「一之瀬さん 私とお友達になっ」
花名「はひょい!!!」
概要
『スロウスタート』に登場する一之瀬花名と億果実のカップリング。
花名は、高校入試の前日に体調を崩し、病院でおたふく風邪と診断されたことにより公立・私立とも受験できず、中学浪人となってしまった経験を持つ、高校1年だが17歳の生徒。
果実は、8巻終盤の文化祭直前の話で初登場。昔から転勤が多い家で育ったことから、2桁以上の転校を繰り返していた高校2年の生徒である。
花名と果実が出会ったのは8巻終盤以降であり、アニメ版では果実が未登場であるため、このカップリングをアニメで見ることはできない。だが、単行本に収録されている話の中には、花名と果実が仲良く会話をしたり、一緒にお出掛けする話が多数存在しており、そのこともあって、花名と果実の仲の良さに注目しているファンも数多く存在している。
ここでは、最も花名と果実の関係が描かれている話である、8巻終盤、step.111(10巻収録)、step.127(11巻収録)の話を中心にして、花名と果実の関係を説明していく。
花名と果実の出会い(8巻終盤)
最初に花名と果実が出会ったのは8巻終盤の話である。
文化祭直前になったある日のこと、たまて達と一緒に会話をしていた花名を見た果実は、花名に声をかけた。
「あのっ ごめんなさい!! もしかして今泉中にいた一之瀬さんですか?」
「わたしっ、三年の時同じクラスだった億です!」
果実は花名達に向けて自己紹介をしたが、この時、花名は、彼女のことを知らなかったため、花名と果実はお互いに混乱状態になってしまった。
その後、果実はたまて達と一緒に会話をしていたが、それに対して花名は不安な表情になっていた。実は果実は、花名と同じ学年だと思い込んでいた(果実は高校2年生の生徒であるが、もし花名が中学浪人していなかったら、花名は果実と同じ高校2年生であった)ための発言(前述の発言が該当している)をしてしまい、それによって、一度中学浪人していたということがたまて達にバレそうになってしまったと感じていたのだ。それによって、花名はさらに大混乱してしまい、そのまま逃げだしてしまった。
つまり、果実は、花名との出会いがきっかけにより、たまて達に一度中学浪人していたということをバレてしまうきっかけを作ってしまった。
突然の状況によって困惑してしまった果実。その一方で、花名の異変を感じた栄依子は、たまてと冠に花名を捕まえるように言って、果実は栄依子と一緒に、花名を落ち着かせるための飲み物と学食のプリンを買うことになった。
そして、たまてと冠は花名を捕まえ、果実と栄依子は、飲み物と学食のプリンで花名を落ち着かせることにした。
そして、花名は一度中学浪人していたということを、果実やたまて達と一緒に聞くことになった。
花名が中学浪人をしていたということを聞いたたまて、栄依子、冠は、それぞれうまくフォローして花名を安心させた。また、花名のことを心配した果実も、花名に気安く声をかけたことによって、花名が中学浪人していたということをたまて達にバレてしまったという責任を感じて、すぐに謝罪した(この時、花名も彼女のことを覚えていなかったということで果実に謝罪をしている)。
花名と果実の過去の話(8巻終盤)
「あのね 話したのが私だって 一之瀬さんは知らないの 多分」
「私も その時はまだ 一之瀬さんがクラスメイトだって知らなかったから」
果実のことを覚えていなかった花名であったが、それに対して果実は、前述の発言を言った後、本編は果実の過去話へと移る。
前述の『概要』で説明したように、彼女は転勤が多い家族で育ったからなのか、何回も転勤を繰り返していた。そして、今泉中にいた頃の中三の三学期の時も転校することになった。転校が決まってから、ある日の放課後。果実は雪を見て感動するが、その瞬間、ポケットに入っていた鍵を落としてしまったということに気付いた。果実は、必死に鍵を探すが見つからない。そんな中、果実が出会ったのが、今泉中にいた花名だった。
その後、果実は花名と一緒に協力して鍵を発見した。花名と一緒に探した結果、鍵を発見したこともあって、果実は花名にお礼を言おうとしていた。しかし、花名は、結局何もしていない上に、なけなしの勇気がなかったため、そのまま去ってしまった。だが、花名は、果実に向けて、「大丈夫?」や「良かったね」と言ってくれた。そのことを果実はとても嬉しく思っていたのだった。
そして3月。果実は卒業式を待たずに彼女は転校。同じ頃、花名はおたふく風邪によって中学浪人することになった。
果実は、届いていた卒業アルバムのクラス名簿写真を見ていた。その時、彼女は気付いてしまった。
実は、一緒に鍵を探してくれた花名は、今泉中の同じクラスの同級生であったのだ。
話しかけることが出来たかもしれない。友達になれたかもしれない。そう思ってしまった果実は、そのまま号泣してしまった。
そして、文化祭直前(つまり、高校2年生の時)に花名達がいる高校へ転校してきた彼女は、花名と出会えるなんて思ってもいなかったと感じて、そのまま花名に声をかけたのだ。
ちなみに、花名は、三学期の転校生ということもあって、『幻の転校生のひと』だと思い込んでいた。
自身の過去話を話した果実は、こうして、前述の会話の後、ようやく再会した花名と(食い気味ではあるが)友達になったのだ。
二人が名前を呼び合うまで(10巻収録のstep.111)
中学三年の時以来に再会した花名と果実は、その後、二人とも仲良しの関係になり、9巻のとある話では、携帯電話アプリのキャラクターのことで会話をしていたり、文化祭の時では、メイド服を着た果実を見て可愛いと感じる場面があった。
そして、文化祭終了後の話となる、step.111(10巻に収録)では、文化祭の振り替え休日を利用して、花名と果実は一緒にお出掛けすることになった。
果実は、爽井沢に来て間がないという理由で、花名に観光案内してほしいと頼むが、花名は爽井沢の観光案内したことはなかった。それでも花名は、果実と一緒にジェラートのことで会話をするのだが、その際に花名は、果実が花名に向けて「一之瀬さん」と言っていることで違和感を感じていた。
そして、お洋服屋さんで洋服を選んでいた際に花名はあることを言った。
花名「億さん …呼び方」
花名「冠ちゃんとか たまちゃん って」
果実「あっ 一之瀬さんの呼び方につられちゃって ご、ごめんね 嫌だった?」
花名「えっ ちがっ あのっ そうじゃなくて!! そうじゃなくって わたしだけ 一之瀬さん で…」
それに気付いた果実は、花名に向けて名前で呼ぶことにした。そして、花名も果実に向けて名前で呼ぶことにする。
果実「え えっと はなちゃん?」
花名「はっ はいっ」
果実「そ、そしたら私の事も果実、 って」
花名「う、うんっ 言うよっ せーのっ かさね、 ちゃん」
果実「……ぅわ 2年越しの夢が叶ったみたいな気分です ありがと一之瀬さん」
花名「はなちゃん」
果実「あっ」
お洋服屋さんでお互いに名前を呼び合った二人は、それ以降、花名は果実に対して「果実ちゃん」、果実は花名に対して「花名ちゃん」と呼ぶようになった。
その後、花名と果実は、お互いに仲良く、おやきを食べながら、文化祭のことなどで会話をしていた。また、花名は、果実に、花名が住んでいるてまりハイツのことを勧める場面も存在していた(その際に果実は「お泊りっことかしちゃったり?」と期待している場面もあった)。
てまりハイツにご招待(11巻収録のstep.127)
その後、11巻収録のstep.127では、花名は果実をてまりハイツに招待した(なお、この時、栄依子は冠とその両親と一緒に、千石家のガレージに設置する工具棚を作っていた)。この時、花名は、果実のためにホットケーキのクッションを2枚重ねるいう特等席を用意したが、果実は普通の待遇にして欲しいと発言していた。また、その後、果実は、ホットケーキの海で溺れるかと思ったと感じていたようだ。
その後、果実は、花名の部屋を見て可愛いと感じ、花名も部屋を見て可愛いと感じる。そして、花名は、部屋が可愛くなった理由を果実に向けて話している。その際に、果実は「お花が咲くみたいに?」と発言し、花名が「お花が咲くみたいに!」と発言し、二人とも微笑んでいる表情になる場面が存在していた。その後、一人暮らしのことで花名と果実は一緒に会話をしていた。
果実「一人暮らしになったら 今のはななちゃんみたいににぎやかなお部屋にしたいなあ」
花名「あっ それなら 果実ちゃんが一人暮らしをはじめたら何かお部屋に飾るものをプレゼントしてもいいかな?」
果実「わああ!! 是非!!!」
その後、たまてからのメールで、花名の数学のノートをうっかり持って帰ってきてしまったということで、たまてが花名と果実がいる部屋に訪れるが、仲良しになっている花名と果実を見て、たまては「圧倒的PURE!!」と発言している。
なお、現時点で花名と果実のお泊り会については、前述の話で「お泊りっことかしちゃったり?」と発言しているものの、その話は12巻時点で登場していない。今後に期待しよう。
その他
なお、一部の話では、たまてが花名と果実がとても仲の良い光景を見た際に嫉妬してしまう場面も存在しているようだ(例えば12巻収録の冬の話など)。
体育祭の話では、生徒会リレーで腕章を受け取ろうとして、間違えて花名を受け取ってしまう果実の場面を見ることが出来る。
11巻に収録されている水着回では、花名と果実がお互いに水着姿を披露してくれる展開がある。また、その後、果実は、ギャルゲーでめっちゃ見るポーズの水着ギャルイベントスチルを花名と一緒に再現するという展開もあった。
12巻に収録されている冬の話では、果実の過去話を覚えていたのか、果実に向けて「鍵を落とさないように気をつけるように」ということを発言したことがある。
花名「あっ 果実ちゃん 雪に夢中になって鍵落とさないように気をつけないとね」
果実「ああ~もぉ~ 花名ちゃんの意地悪~☆」
まとめ
このように、現在では一緒にお出掛けしたり(10巻のstep.111)、てまりハイツに招待したり(11巻のstep.127)と、とても仲良しな関係になっている花名と果実。だが、8巻終盤で、文化祭直前のある日に最初に出会った際には、花名は果実のことを知らなかったということ、花名と同じ学年だと思い込んでいたための発言をしたことによって、浪人していたことを隠していた彼女の核心を突かれてしまった花名が混乱してしまったということもあり、ある意味、花名の運命を変えてしまいそう可能性もあった、『スロウスタート』の根幹に大きく関わる展開になっていた。
そんな二人だったが、ちょうど近くにいたたまて、栄依子、冠のフォローのおかげで、花名と果実はお互いに落ち着いて会話をすることが出来た。そして、中学時代での果実と花名の出会いが書かれた過去話や、お互いに友達になってほしいと感じた花名と果実の行動もあり、花名と果実は、お互いに仲良く会話をすることが出来るようになった。それ以降の話では、花名と果実が一緒に仲良く行動している場面も多くなった(前述のstep.111やstep.127以外にも、花名と果実が一緒に仲良く会話をしている場面が多数存在する)。
8巻終盤の展開は、前述の展開を見れば分かる通り、花名の核心に触れている内容であったこともあり、まさに一歩でも間違えたら『スロウスタート』の根幹はもちろんのこと、花名の運命が一気に変わってしまう可能性もあった(実際に、後に『スロウスタート』8巻終盤と似たような展開の話が、別の作品のとあるイベストでも登場したが、あちらの場合はスロウスタート8巻終盤とは完全に真逆の展開を迎えてしまった)ということを考えると、ある意味、仲間達のフォローや、核心を突かれてしまった花名のことを心配した果実の心優しさ、そして、花名と果実の過去話などのように、物語の展開が丁寧に描かれているということもあり、スロウスタートのシリアスな展開でよく見られる、感動を感じさせる丁寧な描写もあって、まるでハッピーエンドを感じさせるような展開になったとも言えるだろう(実際に8巻終盤の話のラストでは、果実やたまて、栄依子、冠の優しさによる安心と幸せを感じた花名が、座り込んで号泣する場面があり、その場面でも果実達の優しさを感じ取ることが出来る場面が存在する)。
物語の根幹に大きく関わる展開になっていた8巻終盤の展開を経て、今では花名と果実は(たまても稀に嫉妬するほど)とても仲良しな関係になっているということを考えると、ある意味、運命を乗り越えて仲良くなったカップリングかもしれないだろう。
余談
花名と果実の関係に対して魅力を感じる人も存在しているのか、一部のファンの中にはX(twitter)で「#はなかさはいいぞ」というハッシュタグを付けたポストも存在している。