概要
江戸時代の妖怪を主題とした版本『異魔話武可誌』や絵師・十返舎一九著の『列国怪談聞書帖』に記載される妖怪。
漢字表記では弭已介牟御坊と表され、びいがんこ坊とも表記される。
竹藪から出現して人や動物を驚かせる法師姿をした巨大な頭の化け物で、『列国怪談聞書帖』に掲載されている話によれば、その正体は無実の罪で処刑された弭已介牟という名の僧が河内国今木に建てた寺の西の藪に棲む性悪な古狸で、夜な夜な化け物の姿に化けて人を驚かせて様々な風評被害をもたらし、遂には死者まで出てしまった。
このことを憂いた弭已の弟子である明清はこれは狐狸の仕業だと思い、寺近くの山や林にある狐狸たちの巣穴を尽く封じたが、全く無関係であった狐達はたまったものではない。
怒り心頭の狐達は仲間で申し合わせて、件の古狸を処罰すると明清の夢に現れ自分たちの無実を訴えた。
翌日、狐達の話通りに首を絞められ絶命した狸の死骸を見付けた明清は狐達の言い分が正しかったことを悟ると早計な自分の行いを嘆じ、直ちに狐達の巣穴から石を取り除いて封印を解いたという。
余談
「びいがん御坊」は「大かむろ」の異形ともされている。
大御所は大かむろをモデルに「たんたん坊」を生み出したといわれている。