概要
イサック(マンガ)とは、『月刊アフタヌーン』で連載されている漫画である。
原作を真刈信二が、作画をDOUBLE-Sが担当している。既刊16巻(2023年11月現在)。
17世紀の神聖ローマ帝国を舞台に、仇討ちのために傭兵として三十年戦争に参加した日本人傭兵・イサックの活躍を描く歴史活劇作品。
あらすじ
カトリックとプロテスタントの二つの勢力に別れ、後に三十年戦争と呼ばれる激しい戦いの最中にあった、17世紀の神聖ローマ帝国。
1620年9月、落城寸前のブックスブルク城にたった一人の援軍として現れたのは、「イサック」と名乗る男だった。彼は日本から仇を追ってヨーロッパに渡って来たという。
自らの使命を果たすため、一人の日本人は神聖ローマ帝国を舞台に孤独な戦いを開始する。
主な登場人物
主人公。仇討ちのため日本からヨーロッパへと渡って来た日本人傭兵。総髪と切れ長の目が特徴。日本名は猪左久(いさく)。
日本から持ってきた「尽」という名の火縄銃を操り戦う。銃の扱いだけではなく日本刀を用いた剣技にも長ける他、戦略や戦術にも精通している。
何よりも「恩」を重要視しており、それが彼の主な行動原理となっている。オランダと傭兵契約してヨーロッパに渡り、仇討ちをしようとしているのも育ての親である親方の恩に報いるため。
「仇」であるロレンツォを追う傍ら、プロテスタント側の傭兵として数多くの戦いで八面六臂の活躍を見せる。
- ロレンツォ
ヨーロッパ各国で戦乱を巻き起こすことを目的とする、イサックの「仇」。日本名は錬蔵(れんぞう)。
イサック同様火縄銃の扱いに長けており、カトリック側の傭兵としてイサックの前に何度も立ちはだかる。
戦乱と殺戮の中で生きることを望んでおり、そのためなら手段を選ばない男。また、嫌がる女子を抱くことと、死ぬかもしれない刹那を味わうことを「この身を貫くほどの随喜」と語るなど、常人では理解し難い嗜好の持ち主でもある。後にイサックとの戦闘で「尽」の銃を奪おうとした際に右脚を負傷し、追ってきたイサックから逃げ切るため自ら右脚を切り落とした。以降は義足を着用している。
元々イサックとは堺の鉄砲鍛冶の相弟子という間柄であったが、親方を殺し「信」の銃を奪って行方を晦ます。大坂夏の陣で豊臣方として参陣した後、対峙したイサックに「南蛮国に大戦乱を巻き起こしてみせる」と言い残し、スペインと傭兵契約をしてヨーロッパへと渡った。そして野望成就のため各地の戦場で暗躍する。
- ゼッタ
カトリック軍による迫害を受け、鍛冶職人の祖父と共にプファルツ選帝侯領まで逃れてきた、プロテスタントの少女。バイエルンからの道中で暴漢に襲われていたところをイサックに助けられ、以後は彼を慕い祖父共々同行するようになる。
天気を読むことを得意としており、それがイサック達の助けとなることも多い。
神聖ローマ帝国選帝侯・フリードリヒ五世の庶弟。
その立場上、敵味方問わずプリンツの敬称で呼ばれることが多いが、彼自身は母親の身分が低いため宮廷には入らず、戦場に身を置き武勲を立てることに拘っている。勇猛で毅然とした性格の持ち主で、部下からの信頼は厚い。
当初はイサックを一傭兵として受け入れるも、共に戦っていくうちに強い信頼と固い友情で結ばれるようになる。
- スピノラ
「城攻めの悪魔」と畏れられるカトリック側の傭兵隊長。スペイン軍と契約を結んでいる。天才的な戦術家であり、高い人望を持つ。また、彼の部隊は統制が取れた強い軍隊としても知られている。
大軍勢を率いてフックスブルグ城を攻めるが……
用語
尽・信
イサックとロレンツォの親方である堺の鉄砲鍛冶が、徳川家康の命令によって創り上げた二挺の火縄銃。尽の銃をイサックが、信の銃をロレンツォが所有する。
一般的な火縄銃と比べて軽く、多量の火薬に耐えるため高威力で射程距離も長い。銃と使い手が渾然一体となると銃は真価を発揮し、やがて神技に至るという。
銃身には日本語で製法が刻み込まれており、二挺を合わせると量産が可能となるため、百挺、千挺と揃えれば理論上ではあらゆる戦に勝てるようになる。