イリーナ(アルスラーン戦記)
あるすらーんせんきのいりーな
旧マルヤム王国の内親王。父はマルヤム国王ニコラオス四世、母は王妃エレノア。姉にミリッツァがいる。
白く秀麗な顔立ちに黄銅色の髪が特徴的な美しい姫君だが、眼病によって視力を失っているため、瞼は固く閉ざされている。
過去に交流したヒルメスを慕い続け、亡国マルヤムを逃れた後はわずかな供とともにパルス国内を旅する。
イリーナは不治の病によって視力を失い、恐らく厄介者として隔離されながらマルヤムの首都・イラクリオンにある王宮の離宮で暮らしていた。あるときイリーナは、その離宮でひとりの少年と出会う。彼こそは火事で焼死したと公表されていた隣国パルスのヒルメス王子そのひとであった。密かな交流のなかでしだいにヒルメスに惹かれていくイリーナだったが、やがてヒルメスを外交上の火種と見なしたニコラオス四世は彼をイラクリオンから追放した。イリーナは嘆き、彼女のささやかな恋は潰えたかのように思われた。
マルヤムはもともとイアルダボート教国であるが、教義のちがいを理由に、パルスに先んじてルシタニアの侵攻を受けた。混乱の中、イリーナの両親にあたるマルヤム国王夫妻はジャン・ボダンと聖堂騎士団によって焼殺される(パルス暦319年)。イリーナは姉ミリッツァに伴われて、ダルバンド内海に面したアクレイア城で二年もの間籠城するが、やがて味方の裏切りにより落城。ミリッツァは妹に女官長ジョヴァンナらをつけて内海へ逃がし、自らは投身自殺した。
イリーナの乗った船はダルバンド内海をさまよい、パルス暦321年4月にはパルス国ダイラム地方に漂着。イリーナはここで出会ったゾット族の若者メルレインを護衛に加え、かつての想い人ヒルメスを探してパルスをさまよう。
紆余曲折を経てヒルメスと再会し保護された彼女は、アルスラーンやアンドラゴラス三世との王位争いに敗れてすべてを失ったヒルメスとともに流浪の旅に出る。それはイリーナにとってはささやかな幸福の日々であり、ヒルメスにとっては野望に疲れた心身を癒す雌伏のときとなった。
「イリーナどの、あなたの髪にはさぞ黄金の冠がふさわしかっただろうに」「ヒルメスさま、わたしは王冠などいりませぬ。そのようなものが必要ないほど、いまは幸福でございますから」(7巻5章6節)
日5アニメ版「アルスラーン戦記」において、イリーナは第二期「アルスラーン戦記 風塵乱舞」の第3章「征馬孤影」で初登場。原作小説でもわずかしか描かれていなかった少年時代のヒルメスとの間に繰り広げられた淡い恋模様が回想シーンで描かれたが、設定や時系列が原作と異なる。
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※TVアニメ風塵乱舞第3話準拠 ※各キャラの人称や口調は原則としてアニメ寄りにしてありますが、メルレインの対イリーナの口調は原作沿いとしています(どうしてもアニメの口調がなじまなかったので許して……) ※原作小説ネタを織り込んでいますが、原作小説を読んでいなくても問題ない内容です ※表紙画像はImageBase氏の著作物を改変して使わせていただいております→ http://free-images.gatag.net/2011/10/12/020000.html4,851文字pixiv小説作品