概要
チェコの民話に登場する食人木の怪物、あるいはそれを下敷にして作製された映画の名称。それぞれの解説は次の通り。
民話のオテサーネク
子供を授かりたいと常日頃から願っている貧しい夫婦の夫が、近くの森の切り株を掘り起こしていた時に見つけた人間の赤ちゃんそっくりの形をした切り株に命が宿った存在。
元々は本当にただの切り株だったが、夫婦でこの切り株に名前を付けておままごとを始めている内に、やがて子供を授かりたいと願う夫婦の強い思いや執念が切り株に命を与えてしまったのか、やがてそれは動き出し『なにかたべたいよ‼』と言い出すようになった。
夫婦は最初驚きはしたものの妻は大変喜び、早速オテサーネクに次から次へと食べ物を与えるが、オテサーネクは全く満足することは無く、やがて夫婦を飲み込み、空腹を持たすために家から出ると出会ったものを手当たり次第に飲み込んで行き、それに比例するようにその体も段々と大きくなっていった。
そして最後に出会ったキャベツ畑で働いていたお婆さんも調子に乗って食べようと襲い掛かるが、キャベツ畑を荒らされ怒り心頭のお婆さんの振り下ろした鍬で退治された。
そして裂かれた腹かの中からオテサーネクが今までのみ込まれたものたちは無事に帰って行き、オテサーネクを生み出してしまった夫婦も無事に助かった。
なお、この事件以来、夫婦は二度と子供が欲しいとは言わなくなったという。
映画のオテサーネク
正式名称は『オテサーネク 妄想の子供』。2000年のチェコとイギリスの合作映画。
ジャンルはホラー・ファンタジー。監督はヤン・シュヴァンクマイエル。
上述したチェコの民話を下敷に作成された現代の寓話作品で、大まかなあらすじは民話と同様だが、所々現代風にアレンジされている部分や、オリジナル要素が入った作品となっている。
あらすじ
不妊に悩んでいるホラークフ夫妻は、ある日、アパートの隣人であるシュタードレル氏からの勧めで購入した別荘へとやって来た。夫のカレルは別荘の庭で赤ん坊の様な形をした切り株を見付けると、子宝に恵まれず、ノイローゼ状態の妻ボジェナを慰めようと切り株の形を赤ん坊の形に整えてプレゼントする事にした。
しかし夫人は切り株を本当の息子のように可愛がり、オティークと名付けて生きた子供の様に溺愛するようになってしまった。
そして彼女の念が宿ったかのように、ある出来事を引き金としてオティークは命を宿し、異常な食欲を見せ始める。
その様子を見ていた隣家に棲んでいるシュタードレル夫妻の娘・アルジュビェトカは民話『オテサーネク』を連想し、やがて起こるであろう惨劇を予想する。
キャスト/登場人物
- オティーク:切り株の作られた人形。原作のオテサーネクに当たる存在で、後に命が宿るとその異常な食欲を満たすために手当たり次第に獲物を飲み込むようになって行く。
- アルジュビェトカ(演: クリスティーナ・アダムコヴァ):シュタードレル夫妻の1人娘。オティークの存在に気付いており、後に夫妻に変わって実の弟のように可愛がるようになって行き…。
- カレル・ホラーク(演:ヤン・ハルトゥル):ボジェナの夫。
- ボジェナ・ホラーク(演:ヴェロニカ・ジルコヴァ) :カレルの妻。子供が出来ない事を悩んでいる。その反動で夫がプレゼントしてくれた切り株の人形に異常なまでの愛情を注ぐようになり、その思いが通じたのかの様に人形に命が宿ると更にその行動はエスカレートして行くが…。
- シュタードレル氏(演: パヴェル・ノヴィー) :ホラーク夫妻の隣人。夫妻に別荘の購入を進めるが。これが後に事件の引き金を作る事に…。
- シュタードレル夫人(演: ヤロスラヴァ・クレチュメロヴァ):ホラーク夫妻の隣人。
- アパートの管理人(演:ダグマル・ストリブルナ):アパートの庭でキャベツを栽培している老婆。一見するとただのモブキャラの様に見えるが、物語に置いてある重要な役割を持つ。
スタッフ
監督・脚本 - ヤン・シュヴァンクマイエル
製作-ヤロミール・カリスタ/キース・グリフィス/ヤン・シュヴァンクマイエル
撮影-ユライ・ガルヴァーネク
編集-マリエ・ゼマノヴァー
製作国-チェコ/イギリス
言語-チェコ語
関連タグ
民話関連
※映画も共通
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