フォルクスワーゲン カルマン・ギア(Volkswagen Karmann Ghia)はかつてフォルクスワーゲンが製造 販売していたスポーツ車。
概要
ノーズ テールが長く真ん中に2ドアの小柄なキャビンが収まる伸びやでスポーティなスタイルである。エンジンなどの駆動系はタイプ1(ビートル)の物がほぼそのまま使われている。
当然、それほど速い車でもなかったわけだが、それでも安価で容姿端麗であった為人気のモデルとなった。
モデルの企画はドイツのコーチビルダーのカルマン。車体のデザインは、イタリアのこれもコーチビルダーのカロッツェリア・ギア。
モデル名は両者の社名からとったもので、カロッツェリア・ギアは後にマセラティ ギブリやいすゞ 117、デ・トマソ・パンテーラなどを手がける事になる名門コーチビルダーである。
カルマンギア タイプ1
1955年に登場した初代モデル。
2+2の一般的なクーペ(1200クーペ)のほか、1957年からはカブリオレ(1200カブリオレ)が追加された。
ベースモデルのマイナーチェンジとともに排気量が増え、最初は1.2L 30PSだったエンジンは、1965年に1.3L、翌年には1.5Lへと変化している。
後述のタイプ3シリーズが登場したあとも生産が続けられ、皮肉にも後輩の生産終了を見届けた後の1973年に生産終了。
カルマンギア タイプ3
フォルクスワーゲン タイプ3をベースとした新型モデル。1962年登場。
デザインは概ねタイプ1のものを継承したが、フロントフォグランプの辺りから後方に至るまで、車体を囲むエッジの効いたプレスラインが加えられ、シャープな印象のデザインに変化した。
一方で、ベースとなったタイプ3はさほど人気が出ず早々に引退の憂き目に遭ったため、本モデルも1969年に消滅している。
カルマンギアTC
1970年からフォルクスワーゲンのブラジル法人で独自に生産されたモデル。
ファストバックボディで、丸い飛び出たヘッドライトも相俟って(フロントグリルさえ見えなければ)ポルシェ911っぽく見える… 気もする。
生産終了は、カルマンギアシリーズで最も遅い1975年。
生まれ故郷から遠く離れた南米で有終の美を飾ったモデルとなった。
余談
- 1967年に、ポルシェが本車と同じくフォルクスワーゲン タイプ1のエンジンを使った914を発表している。
- 「フォルクスワーゲンの主力の小型乗用車のコンポーネントを流用したスポーティモデル」という意味での後継車は、『ゴルフ』のコンポーネントを活用した『シロッコ』がこれに当たる。