概要
1969年にアメリカのコルト・ファイヤーアームズ社がマークIIIシリーズの1機種として開発した。名前のローマン(Lawman)は法執行人を意味し、その名の通りに警察等の法執行機関向けに発売されていた。比較的小型ながら、強力な.357マグナム弾を発射でき、銃身の肉厚も従来のコルトリボルバーよりも増している。同社のパイソンとは異なり低価格であるが、内部にセーフティコネクタと呼ばれる新型の安全装置を備えており安全性は高め。また、マークIIIシリーズ(ローマン、トルーパー、オフィシャルポリス)は、従来のコルトリボルバーのリメイク版と言った立ち位置の製品群であり、トルーパーとオフィシャルポリスにはマークIII以前のベースになったモデルが存在するが、ローマンだけにはそれがなく、マークIIIオリジナルモデルの模様。
後継銃として「コルト・キングコブラ」や「コルト・アナコンダ」が登場している。
MGC ローマン
上記の後継銃が数年後に登場した事やコルト社の経営が悪化していた影響もあってか本国アメリカでの知名度は低い。しかしながら日本においてはモデルガンメーカーであるMGCが本銃をモデルとして1975年に発売した強化プラスチック(ABS樹脂)製モデルガンが作られ、「太陽にほえろ!」で"スコッチ"こと滝隆一を演じた沖雅也が撮影用に2インチモデルを使用したのを皮切りに、1970〜80年代の刑事ドラマなどで頻繁に使用されていたために、ある程度知名度は高い。
このMGCローマンがメディアで多用されたのは、当時主に用いられていた同社製のM27ハイウェイパトロールマンより小型でシンプルな外観だった(主に2インチモデルは私服警官、4インチモデルは制服警官向けに用いられた)ことや、当時の同社の製品の中でもピカイチな発火性能(但しダブルアクションでのトリガープルが重く、作品によっては発火機能を電気着火式に改造したプロップガンも見られた)と耐久性を有していたためであり、事実ドラマ「あぶない刑事」の第二シーズン、「もっとあぶない刑事」にて大下勇次を演じる柴田恭兵は同社のコルトパイソン(2.5インチモデル)を使用していたが、発砲シーンだけはローマンと基本設計が共通の兄弟モデルであるトルーパーのフレームにパイソンの銃身を組み込んだカスタムガン(通称トルパイ、トルーソン)を使っていた。
しかし、このような撮影現場での実績を持つMGCのコルトローマンであるが、外観に関しては少々リアリティに欠ける製品である。実銃との形状の相違点は主に以下の通り。
・グリップフレーム(銃身の長さによって異なる形状をグリップ本体で区別化していた。)
・サイドプレートの分割ライン
・マズルフェイス(銃口。これに関しては異なるのは後期型のみ。)
まあ、当時はインターネットなどというものはなく実銃の姿を日本人が見ることなど専門誌などを除けばそれこそ皆無に等しかったであろうし、上記のドラマを見て育った世代にとってはMGCのものこそ「本物のコルト・ローマン」であると言えるのかもしれない。
また、ローマンのモデルガンはMGC以外にも国際産業(コクサイ)やハドソン産業からも(コクサイは強化プラスチック(ABS樹脂)製と金属(亜鉛合金)製の2種、ハドソンは金属(亜鉛合金)製が)モデル化されており、現在はMGCから金型を引き継いだクラフトアップル(CAW)~マイズファクトリーからリバイバル発売がなされている。