概要
右投手が投げた場合に右打者の身体側に食い込むような変化をする球種。特に木製バットを用いるプロや社会人野球で有効な球種で、名投手の一人・西本聖が「マスター出来れば2桁勝利は容易い」と豪語するほどである。特に、かつて大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)で活躍した秋山登・平松政次の投げるシュートは、直球に近いスピードで鋭く変化したことから「カミソリシュート」の異名で他球団の打者たちから恐れられた。あの長嶋茂雄も平松のシュートに苦しめられた一人であり、25打数無安打に抑えられたことすらある。
なお、金属バットだと、当たり損ねが絶妙な場所に飛んでヒットになったりするなど報われにくい。
現代では、このシュートとツーシームファストボールはほぼ同義語であり、親指側に強く捻る投げ方は肘の負担や変化がわかり易すぎて打者に見逃されてしまうという観点から推奨されない。
投げ方は、いずれもボールの縫い目に縦に沿うように人差し指と中指をかけ、そのまま直球と同じ要領で投げる。その際、親指と人差し指で「ボールを潰す」ようにリリースすることで変化させる(『Nanda!?』での西本の証言)。「投げる瞬間、中指を浮かせることで変化させる(『ハマの番長』三浦大輔)」やり方もある。
わかりにくさが重要視される現代野球では変化量はわずかでよく、投球に巧みに混ぜることで凡打・併殺打を誘うことが出来る。