曖昧さ回避
- ポケモンの技の方はジャイロボール(ポケモン)参照。
- 『メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』はダメジャー参照
概要
投球の回転軸が進行方向とほぼ一致している球種を言う。回転が前ではなく横にかかっているので空気抵抗が少ないのが特徴。掻い摘んで言えば、ドリルのように空気抵抗を抉り穿ちながら飛んでいく。
創作では漫画「MAJOR」に登場する茂野吾郎、眉村健、榎本直樹が投げる魔球として有名。
更にはゲーム「八月のシンデレラナイン」でも野崎夕姫の決め球としても使用されている。(恐らく元ネタは上記だと思われる。ちなみに類似する球種で1990年に漫画「名門!第三野球部」の檜あすなろの『弾丸ボール』と呼ばれるストレートがある。詳細はこちら。)
実在選手では松坂大輔が投げた事があると言われている。
日本の野球用語の大半は和製英語だが、ジャイロボールは海外でもGyro ballと呼ばれている。
「魔球と言ったな。あれはウソだ」(意訳)
専門書も刊行され、みんなに夢を見せてくれた「ジャイロボール」であったが、なんと2011年5月27日、当の松坂がダルビッシュ有とのTwitterのやりとりで「ジャイロボール?ないない、あれは単なるスライダーのすっぽ抜け」と告白。ダルビッシュも「ぜひ1度見てみたいものです」とさらりと返し、ジャイロボールはあっけなくその存在を否定されてしまった。更にはメジャーの作者まで「ジャイロボールはウソ」と明言してしまっており、ジャイロボールに夢を見ていた野球少年たちは涙目である。
「ジャイロカッター」(※)も投げたことあるのにひどいよダルビッシュ。
※2010年のオールスターでー阿部慎之助相手に投じているのだが、初見にもかかわらずバットに当てられてしまい、以後投じていない。
「ジャイロ回転する球種」
茂野吾郎、眉村健、榎本直樹が投げるような伸びるストレートとしてジャイロボールを投げる投手はいないが、「球の回転軸が進行方向を向いている球種」が実在するのは事実である(縦のスライダーやスプリット・フィンガード・ファスト・ボールなど)。
特に、上手投げのスライダーはほとんどがジャイロ回転している。
また、球界の通説の一つに「サイド・アンダーの140km/hはオーバーの150km/hに匹敵する」というのがある。サイドスローやアンダースローの直球は綺麗なバックスピンがかけにくく、見た目はまっすぐでも回転軸が捻れた球になりやすいため、「ジャイロ回転のストレート」が現出しやすいのである。
近年では、千賀滉大の代名詞とも言える「お化けフォーク」は回転軸が進行方向を向いており、プロでも魔球として扱われている。
本人もTVインタビューで「トップスピンかジャイロ回転になるように意識して投げている」と証言しており、これなら「ジャイロフォーク」と呼ぶことができるかもしれない。実際千賀に限らず鋭く高速で落ちるフォークを投げるピッチャーの中にはジャイロ回転が確認できるものがいる。
伸びるストレートとしてのジャイロボールは上記で否定されたが、実際の投てき実験でもジャイロ回転がバックスピンに比べて抵抗が小さいのは確認されており、実際終速もより維持されたものとなっている。ジャイロボールにバックスピン成分を混ぜた場合「スピードを維持しつつバックスピンによるノビと浮き上がりも適度に維持される」結果が期待できるかもしれない。
そもそもバックスピンよりもオチ幅が大きいジャイロがなぜ浮き上がる錯覚を得るとされていたかと言うと、「経験上ストレートが落ち始めてからの降下曲線を予測していると、その予測よりも落ちないため」なのだ。フォークボールが急激に落ちるように見えるのはある程度高さを維持したところから抵抗を受けるとともに重力に従って落ちていくためである。ジャイロボールはもともと放物線運動に近い投球がされるため、バックスピンのように高さを維持する瞬間がない。そのため落ち始めてからの降下がゆっくりに見え、予想よりも高いところを弾が通過するのだ。
ストレート成分が混ざったジャイロボールを似たような球筋のチェンジアップに混ぜて投げれば、本当に相手に浮き上がる球の錯覚を与えられるかもしれない。