概要
古代インドの女性名であり、「良い素性」という意味を持つ。
狭義には、苦行の果てに疲労困憊していた釈迦に乳粥を差し出し、その命を救ったとされる女性を指す。
スジャーターはかねてより、ニグローダ樹に「自分が良い家に嫁ぐことが出来たら、毎年百千金の祭祀を施します」と祈りを奉げていた。後年彼女は現実に良家に嫁ぐことが出来たため、この祈りの通り祭祀を施していたという。
一方釈迦は悟りを得るために生死の境を彷徨うような熾烈な苦行を行っていたが、得られた答えは「苦行では悟りを得られない」というものであった。そのため樹木の下(これが菩提樹とされているが誤りである)で体を休めていた所、前出のスジャータの使用人が彼を発見、樹木の神であると思いスジャーターにその事実を伝えたという。
スジャーターは喜んで釈迦に乳粥を供養した。釈迦はこの乳粥で体を癒した後、菩提樹の下で悟りを開いたと言われている。
仏教では現代でも、宗派によってはスジャーターを最初の優婆夷(女性在家信者)であると定義している。また、インドのブッダガヤにはスジャータ村があり、彼女を記念している。
なお、日本語では乳粥と訳されているパーヤサ(キール)であるが、これは米の粥に牛乳や蜜などを加えたもの(ライスプディングのように粥そのものを牛乳で炊くレシピもある)であり、粥というよりは菓子に近い。
日本では最後の所の長音を省略して「スジャータ」と呼ばれることが多い。最後の長音は女性形であることを表わす。
実際「スジャータ」は男性名として用いられている。