概要
イタリアの自動車メーカー、「パガーニ・アウトモビリ」(Pagani Automobili)によって製造されたスーパーカー。
1999年にデビューし、2010年まで製造。生産は終了したが、個人のオーダーを聞いたワンオフモデルは生産終了後も継続している。
車名はアルゼンチンのアンデス地方から吹き下ろす風の名前が由来。デザインはパガーニ創始者であるオラシオ・パガーニ(Horacio Pagani)氏によるもの(オラチオ・パガーニはアルゼンチン出身)。
元々は「ファンジオF1」となる予定だったが、由来となった人物が1995年に死去したため、名前は「ゾンダ」となった。
日本への輸入は、かつては保安基準の関係で日本には正規輸入はされておらず、ディーラー等もない為、日本以外のディーラーから購入し輸入するといった、二次販売の形態で少数が上陸していた。
現在ではビンゴスポーツという輸入車専門店がパガーニの正規ディーラーとなっている。
同じイタリア出身のスーパーカーのフェラーリ(Ferrari)やランボルギーニ(Lamborghini)がスーパーカーとして有名である為、本車や後継のウアイラ(Huayra)はマイナー故にお目にかかる機会は少ないが東京では首都高や一般道でもお目にかかれることがある。
2010年には限定モデルである「ゾンダ R」(後述参照)がニュルブルクリンクで当時の市販車最速タイムを記録した。
バリエーション(デビュー順)
全部紹介したいのだがその中にワンオフモデルが多すぎる為、ワンオフモデルを除外して記述する。
メインモデル
C12 (1999)
EL VIENT DE LOS ANDES
(アンデスの風)
ゾンダの原点はこのC12から始まった。本モデルは1999年、ジュネーヴショーで発表。
メルセデス・ベンツ製M120型6L(厳密には5987cc) V12エンジンが搭載されている。
5台のみの生産となる。
先述のエンジンは450psを発生させる。また、トランスミッションは6速MT。ツインプレートクラッチを装備する。
C12 S (2000)
AMGによってチューンされたM120型7L(厳密には7010cc) V12エンジンを搭載。
エンジンは550psを発生し、0-100km/h加速は3.7秒を記録する。
S 7.3 (2002)
Outside, aggressive design and wild sound. Inside, everything changers.
(外見は、アグレッシブなデザイン、ワイルドなサウンド。内部は、全てが変わる。)
更にチューニングされた7.3L(厳密には7291cc)の555馬力エンジンを搭載。
TCS(トラクションコントロール、トラコン)とABSが装備された。
トランスミッションは6速MT。同じくツインプレートクラッチを装備する。
Roadster (ロードスター)
The essence of a dream is the desire to achieve it.
(夢の本質は、それを実現しようとする気持ちである。)
S 7.3のロードスターモデル。
エンジンや駆動系はクーペモデルと同じ。
40台の限定生産。
F (ファンジオ) (2005)
"F" like Fangio
(ファンジオの様な「F」)
上記のモデルを前期型と見た時に後期型と見る事が出来るモデル。25台限定の生産。
フェンダーミラーなど大幅な改良が施され、本シリーズの1つの到達点と言えるモデル。
冒頭でも名前が出ていたが、Fとはアドバイザーのファンジオの頭文字である。
AMG製7.3L(7291cc) V12 DOHCエンジンを搭載。最高出力、最大トルクはそれぞれ602ps/4000rpm、760Nm/4000rpm。乾燥重量1230kg。乾燥重量の時のパワーウエイトレシオは2.04kg/psを記録する。駆動系は従来のものに同じ。
0-100km/h加速は3.6秒。最高速度は345km/h。
安全装置としてABS、TCSが装備。また、インテリアにはカーボンファイバーのロールバーが入る。
F Clubsport(クラブスポーツ)
Fにオプションのスポーツエキゾーストなどを装着し650psにパワーアップしたモデル。ニュルブルクリンクで7分27秒82を記録し、当時の市販車最速記録を更新して話題を呼んだ。
同じく25台限定生産。
F Roadster
F Clubsportと同じく650psにパワーアップしたエンジンを搭載する。ルーフはカーボンファイバー製でいつでも脱着可能。
同じく25台限定生産。
F Clubsport Roadster Final Edition
F Roadsterの24番目の個体。
特別モデル
GR
C12 Sをベースにしたレース車両。ル・マン24時間レースの他アメリカン・ル・マン・シリーズ等にプライベーターチームからスポット参戦したが、目立った結果を出せずに終わっている。最高出力600ps、車重1100kg。0-100km/h加速は3.3秒。
R (2009)
Not just "a" supercar, it's "the" supercar.
(ただの「1つの」スーパーカーではなく、「その」スーパーカーである。)
サーキット走行専用車。15台限定で生産された。レース用のメルセデス・ベンツ・CLK-GTRのユニットをベースにしたメルセデス・ベンツ・AMG製M120型V12エンジンも750psにまでパワーアップ。パーツの90%を新開発。トランスミッションはパドルシフト付の6速シーケンシャルAT。本シリーズでは初のパドルシフトである。乾燥重量1070kg、0-100km/h加速は2.7秒以下、最高速度は350km/h。
TCSは12段階で調整可能。ブレーキはカーボンセラミック製を搭載する。
2010年6月30日、ニュルブルクリンクで6分47秒50の当時の最速記録を達成した。
本モデルについてはパガーニよりYouTubeに動画が投稿されている為そちらも参照されたい。
Cinque (チンクエ) (2009)
From the Racetrack to Road.
(レーストラックから一般道へ。)
香港のパガーニ・ディーラーであるSPSの要望により生産された5台限定モデルで、2009年のジュネーヴショーで発表された。
チンクエはイタリア語で5を意味する。
Fをベースとしながらも、随所にRで得られたデザインやノウハウが取り込まれている。カーボンやチタン、マグネシウムを惜しむ事なく使用して軽量化を図っている。その努力は乾燥重量1210㎏というかなりの軽さを実現した。
AMG製678psエンジンを搭載し、パドルシフト付き6速シーケンシャルミッションを装備している。0-100km/h加速は3.4秒。
ルーフやリアフェンダー上にはRと同じくエアインテークが、またリアディフューザーも装備されている。1台はオラチオ・パガーニ自身が所有し、残る4台はSPSに納車された。
ちなみに、2010年発売のNFSシリーズ「NEED FOR SPEED Hot Pursuit」(及びリメイク版の「NEED FOR SPEED Hot Pursuit Remastered」)にて本モデル(及び後述のロードスターモデル)がパッケージを飾っており、また、NFSHPへの登場を祝した動画がある。
Cinque Roadster (2009)
The perfect combination of art and science.
(美術と科学の完璧なコンビネーション。)
Cinqueのロードスターモデル。同じく5台限定生産。
ルーフを着脱可能とする為、エアインテークが大幅に短縮されている。
Tricolore (トリコローリ) (2010)
Like an arrow flying through the air.
(空を矢が飛ぶ様に。)
ジュネーブモーターショーで公開。
イタリア空軍のアクロバット飛行チーム「フレッチェ・トリコローリ」創立50周年を記念して生産された限定モデル。
最高出力、最大トルクはそれぞれ670ps、780Nm。
ボディは専用のクリアブルーのフレッチェトリコローリと同様のストライプが施され、ヘッドライト下部には発光ダイオードのポジショニングライトが組み込まれている。後に2台が追加生産された。売り上げの一部はフレッチェトリコローリに寄付された。
R Evo (2012)
2012年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで公開された。
Rを進化させたモデルである。
最高出力はRより20ps高い770ps。カナードが追加され、リアウィングは2段になっている。
Rではブラックだったボディカラーがホワイトを基調とする2色になっている。
Revolution (2012)
The evolutuion of the species, the revolution in the concept of art applied to pure speed.
(種の進化、純粋なスピードに準じる芸術という概念の革命。)
R Evoをもとに5台限定で市販されたモデル。
6L(5987cc) V12エンジンの最高出力は800ps/8000rpm、最大トルクは730Nm/5300rpmとなり、ウイングにはDRSが搭載された。0-100km/h加速は2.6秒、最高速度は350km/h。
Rと同じく12段階調整のTCSが装備されている。ブレーキもカーボンセラミック製を継承する。
HP Barchetta(オラチオ・パガーニ バルケッタ) (2017)
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2017年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスにて発表された。
オラチオ・パガーニ氏の60歳を記念したモデルであり、HPは頭文字が由来となっている。
Huayra(ウアイラ) BCとHuayra Roadster(2台ともウアイラのページを参照)の技術が取り込まれており、最高出力は789ps、トランスミッションは6速MTとなっている。
価格は1750万ユーロ(およそ25億円)とされており、車の値段の歴史に関しては最高額だという(そしてちゃっかりそれを保持しているとか)。
3台のうち1台はオラチオ氏本人が所有している。
余談
名称に関しては「ゾンダ」と呼ばれるのが一般的だが、ゲーム「グランツーリスモ」シリーズでは初登場の3から一貫して「ゾンタ」と呼ばれている。
「ゾンタ」が誤表記なのかと言われればそうでもなく、メディアによっては「ゾンタ」とも呼ばれているため決して間違いではない様である。
関連タグ
ウアイラ(Huayra)→ゾンダの後継
外部リンク
以下Pagani公式: