概要
全長11メイル(約8.9メートル)。ビノンテン郊外の石英採掘場で発見された推定千年前の古代ゴゥレム。搭乗者、というよりクリシュナ軍の中で誰も操ることができず、唯一操れるのは『魔力無者(アン・ソーラサー)』であるライガット・アローただ1人(ただし、彼の弟であるレガッツを含めた他の『魔力無者』も操縦できるかどうかは不明)。本来の名称は不明で、発掘後にコードネームとして現在の名が付けられた。折れた剣の角等の外観から「壊れた刃」、「破壊を象徴する刃」などの意味で「ブレイクブレイド」と呼称される。
稼働時間が極端に短く、操縦は全て手動で行う。現在の最新型ゴゥレムですら及ばない驚異的な加速力や跳躍力を発揮できる。武装・装備は全て後付けされたもので、シギュン・エルステルが専属で設計している。その後の話の展開にあわせて機体の外観も大きく変化していく。
また高所から落下した際に搭乗者が不在でも自動で態勢を整えたり、アーレス将軍との戦闘中にライガットが意識を失った際には運用状態が初期設定「Lindy 01 プロトコル」というモードへと移行し、自身へ向ってくる存在を敵味方問わずに迎撃するなど自律行動機能が備わっている。
その他にも熱源探知機能や拡声器なども搭載されている。
OVAではデルフィングが製造された頃の時代や前搭乗者のストーリーが描写される予定であったが、OVA企画が中止となった為に詳細は不明。
作者である吉永裕ノ介氏がTwitterで公開した資料によると死の病が蔓延した世界で戦う男性の愛用機で、なんと本来のスタイルはロングガンナーである(実際、16巻のラフ集の中にも、デルフィングが使ってたであろうロングライフルらしきものがある)。
熱源探知機能や驚異的な跳躍力、自動姿勢制御などの機能はおそらく遠距離から敵を迎撃する為や射撃ポイントを狙撃後に素早く移動する等、ロングガンナーとしての力を十分発揮する為の物だったと思われる。
後述する形態の多さからパワーアップのインフレを遂げてるように思われるが実際のところは戦闘で負った本体のダメージについては古代の技術で出来た中身はあまり解明できていないので損傷箇所は手付かずでほとんど修復されておらずむしろ弱体化している。
以下の形態も実際のところは装甲や武装の後付とガン盛りといったようなレベルであり、元々の性能は高いとはいえライガットの技量がデルフィングを作中最強格足らしめている。
デルフィング第一形態
最初に発掘された際のデルフィング。外部装甲は腐食し、対人散弾でも貫通するほど脆い。武装は何も装備しておらず、ライガットもまだまともに操縦できなかったため、ゼスのエルテーミスに簡単にあしらわれた。
デルフィング第二形態
腐食した装甲の代わりに、軽装甲を施されたデルフィング。ゼスとの交渉にライガットが非武装で出撃して交渉決裂後、リィのエルテーミスと戦闘を行い、落ちていた超重量大剣とランスで撃破した。
デルフィング第三形態
多重装甲モードのデルフィング。ファブニルの装甲板から作られた急造多重装甲を装着し両腕部に多重盾、右腕に超重量大剣、左腕に長剣を装備しているが装甲装着中は使用不能で超重量を活かした突進・体当たりで敵を粉砕する。握力最大でパージ可能でパージ後も頭部、胸部、脚部の装甲は残る。
デルフィング第四形態
新多重装甲モードのデルフィング。専用武装と共に開発された新型多重装甲を装着する。装甲は三層で、急造品であった以前と違い全体的に改良され、装甲を装着したままでも格闘戦が可能となっている。
イーストシミター、三節棍、重長槍などの武装を持つ。
デルフィング第五形態
王都防衛用の多重装甲モードのデルフィング。
右手第二指喪失、背鰭破損、肘部衝撃吸収棒破裂などの損傷で機体性能が低下したデルフィングを再度戦闘可能にするため設計された。
装甲は上半身に集約され、正面の装甲は取り外して盾として使える。
武装は二つの巨大手裏剣スローイングブレイド、イーストシミター、ネイルダーツ、大剣を装備している。
原作ではこの形態で左手首を失うなどの損傷を受けながらもボルキュス打倒を果たした。
デルフィング第五形態(劇場版アニメオリジナル)
劇場版オリジナルのデルフィング。応急処置として頭部や左肩などに追加装甲を施され、左肩にネイルダーツボックスを装着している。
エルテーミス・ネオスから奪った特製ツルハシを使った後、シギュンから届けられた十文字型巨大投擲武器ライデを使用した。ライデは石英靱帯を縒り合わせたザイルによって変則的かつ、リーチのある攻撃を繰り返すことができる。また装甲の各部にスリットが入っており、これによって機体が冷却されやすくなっている為か、稼働時間が480分という驚異的な改善がなされている。
デルフィング第六形態
アッサム国立士官学校にてゼスとの再戦の際に登場したデルフィング。
ボルキュスとの戦闘の折に切り落とされた左手首にはフック状の義手が取り付けられており、それを隠すように左肩に外套を装備している。
武装はイーストシミターと鉈の状の短刀二振り、左腕部にはアームを介して肘関節を折る動きで弾を撃つ特殊な投石機が追加されている。
先の戦いで左手首を失い、性能も大きく低下したが、片手二刀流というデルフィングの性能をフルに活かした荒業でゼスを圧倒するなど、殆どハンデを感じさせない戦いぶりを見せている。
左腕の投石機はゼス戦後の退却時にプレデリカの射撃で破損。その後のステンナとの戦闘時には投石機の代わりに巨大なシールドを装備している。
(王妃救出作戦中ステンナ戦にかけて細部(後頭部、左肩、両膝、両爪先の装甲)も換装されていたりする)
デルフィング第七形態(仮称)
アテネス側とクリシュナ側のプレデリカの髪飾合同鑑定から始まる混戦時にミゾラム要塞から援軍として出撃した際のデルフィング。武装はイーストシミター、改造盾(近接用の鋭利な石英を付けたもの)、王都防衛戦時に使用し残っていた十字型のスローイングブレイドを装備している。第六形態と姿は似ているが細部(主に肩や腰部、膝)の装甲が換装されており、マントで確認し辛いが更に左肩に追加装甲とそれを介して先述のスローイングブレイドが備わっている。
鑑定時に追撃して来ていたへケラ将軍とその部隊を自身の部隊と共に撃破し、その後風波回廊でアーレス将軍率いる隊と遭遇戦になり、坑道にいた後詰め部隊をスローイングブレイドで土砂崩れを起こし生埋めにした。その後イーストシミターにてアーレス将軍と接戦を繰り広げ、勝利した。
デルフィング第八形態(仮称)
ティブガルにてアッサム独立派による市民の大量処刑を止める際のデルフィング。装備そのものの名称は「8型強行戦術装甲」。全体的に装甲が増加され、第六形態の投石機を更に強化したバリスタの様な遠距離武器を右肩に装備しており、備え付けの縄を引く事で巨大な杭を放つ事が可能でデルフィングの怪力も相まって通常のプレスガンとは桁違いの威力を誇る。また縄を引いて放つ構造上使わない際は右腕がフリーとなる為、実質的に手数が増えている。
左肩には肩から胸にかけて攻撃を防ぐ広範囲の装甲と巨大な鏃の様な武器が取り付けられており、この鏃とデルフィングの跳躍力を掛け合わせてティブガルの堅牢な城門を一撃で破壊するなど驚異的な破壊力を見せており、独立派の兵士は恐慌状態に陥れている。アッサム首都突入後はアッサム国王専用機プリンスダヴェドを駆るアッサムの正統派騎士にして剣戟の達人である「アッサムの星」と呼ばれる謎の軍人とイーストシミターにて死闘を繰り広げた。
デルフィング第九形態(仮称)
ゼスのミゾラム要塞強襲時にアッサムからデルフィング部隊と共に駆けつけた際のデルフィング。
確認出来る最期の姿で(確認出来る)装備はイーストシミター一振りのみで装甲も第六、第七の素の軽装に近いものとティブガルで失った左腕を補う様に外付けのフレームを介してシールドを装備している。(作者の公式同人誌:BREAK BLADE BOUNDにて描写)
ゼスの駆るエルテーミス・エレティコスと死闘を繰り広げ、最期はお互い胸部に刀身を突き立てエレティコスは右脚、デルフィングは頭部を切断された状態でお互い(おそらくゼスが相討ち・心中を狙って)大峡谷へ落下、谷底でデルフィングは左脚を膝下から(と胴体で確認出来ないがおそらく右腕も)さらに失いエレティコスと共に完全大破する。
落下中、ライガットはデルフィングの頭部破損のダメージがコックピットまで及び、自身の頭部に大怪我を負う中、エレティコスの腕部をデルフィングで掴んで助けようとしているので、死闘の中最後まで友への想いは変わらなかった模様。(その為かエレティコスは前述より目立った大きい損傷は増えていない)
ちなみにこの時ライガットは王都防衛線の時にも着ていた「形見分け」して貰ったジルグの軍服を着てたりする
デルフィング第0形態(仮称)
デルフィングが製造された当時の姿及び装備。
正式名称は「NM20561107-A02」(アーレス将軍戦で自律行動後に搭乗者への警告音声で呼称)。
先述の通り中止になってしまったOVAで描かれる予定だった姿で、企画ラフ集等で確認出来る物でメインにして唯一の武装は長銃身のロングガン。(まだ内燃機関を乗せたバイクが存在してる様なので、炸薬式の可能性もあり断言出来ないが、グリップ下から腕に伸びるコードがあるので機体から動力供給を受けて作動する当時のプレスガンの可能性もある) そしてロングガンにベルトを介して給弾されるマガジンが肩アーマーと腰部アーマーに二つずつ装着可能。(ラフ集では右側のみだったが左右対称部分なので反対側にも同様に装着可能と思われ、その場合8つのマガジンが携帯出来る。一対多数の戦闘運用が想定されていたと思われる)
本体の装備は第一形態に重ねる形で頭部と両肩アーマー、両大腿部前面と両膝に追加で装甲が装備されており、頭部左側のセンサースリッドには重なる形で追加のセンサーと思しきクリアパーツ(恐らくパイロットのヘッドマウントディスプレイに連動すると思われる)が装備されている。(マーキングで国連マーク及び頭文字であるUNに×印や斜線が入っている)
そして1番の特徴が胸部前面をジャケット状に覆い、それからパイプを介して繋がっている背びれを覆い隠す箱状の装備である外部メイン冷却炉(アニメ版だと外部メイン冷却システム)がある事で、これにより稼働時間に制限は無かったと思われるが、外部に露出していて大きさもある為大きな弱点の一つにもなってしまっている。
公開されている情報ではミャンマーを舞台に大型砲を装備した大型航空機によって運用されており、多数の戦車相手に数的に不利な戦闘を挑んでいく事になる模様。
同型機がもう一機、計二機がOVAで登場予定だったとの事。
ちなみに建造された当時ゴゥレムの事はNM(New Manipulator)と呼ばれていた様子。(アーレス将軍戦の自律行動中モニターに「対NM用自動行動中」の表記がある)
立体物
プラモデル
2010年にコトブキヤから「クロスフレーム(フレームアームズシリーズで使用されているフレームアーキテクトを内蔵したプラキット)」シリーズの一つとしてエルテーミスとファブニルと共に商品化。その後、2014年にフレームの新調と一部内容を変更したリニューアル版がエルテーミスと共に発売された。
2024年6月21日にはグッドスマイルカンパニーのホビーブランド・メカスマが展開する「MODEROID」シリーズの新作発表会「メカスマインパクト」にて第二形態と第三形態の商品化がアナウンスされた。発売時期は未定。
可動フィギュア
千値錬のRIOBOTシリーズで第二形態(2010年発売)と第三形態(2011年発売)が商品化。