俺はこれほどまでに美しい女を見たことがない
骸の山で女は気味の悪い笑顔を浮かべていた
不気味なほど美しかった
概要
その着せ替え人形は恋をするの劇中作である「天命」の登場キャラクター。
天界に突如現れた「悪魔」に恋い焦がれ、神に対する信仰を失ったことから神の怒りを買い、天界から追放された「天使」。
地上では多くの人間に慈悲を請われるも、連れている「二匹の白い古代魚」と共に次々と人を殺している様子が描かれている。
原作者の司波刻央曰く「(人が)跪くように書いた」、友人作家である溝上将護曰くコンセプトは「愛する奴(悪魔)に手が届かなかった哀れな女(天使)」。
ちなみに、本作の敵である「天使」は基本的に「神の命により出現する」のに対し、ハニエルは「神に逆らって地上に追放された」という点でも、「天使」の中でも異色の存在と言える。
「天命」の登場は13巻のみだが、コアな人気を持つキャラクター。
喜多川海夢は単行本の裏表紙に描かれていた彼女を見た時に衝撃を受け、髪をロングに伸ばすようになった。
本編では
「棺」のコスプレ撮影終了後、次は何のコスプレをするかを問われた際、海夢が答えたのがハニエルであった。
五条新菜も裏表紙の絵を見たときに衝撃を受け、半ば強引に次の目標をハニエルに定める。
着々と準備を進める中、アウターとなる「黒い衣」の素材選びが難航。各種パーツの造形を進めながらも生地を探し続けるが、「一目で格の違いが分かるような生地」という難題にしっくりくるものがどうしても見つからず、苦悩する。
己の見聞の狭さ、無力さに打ちのめされながらも、今の自分が持てる限りの知識を総動員し、必死に生地を探し続け、足掻いた末に「アンティーク着物」という探し求めた素材を見つけ、遂に衣装を完成させる。
当日、新菜は「自分のために挑みたかった」と本心を吐露し、理想のハニエルのために海夢に「悪魔以外には無表情に微笑む」表情をオーダー。
海夢はその要求に応えられるか不安であったが、真摯な新菜の頼みに応えることを決意。
そして冬コミに乗り込んだ二人は防災広場で撮影を始めようとするが、冬コミに参加していた数人のカメラマンに呼び止められ、撮影を求められる。
スタッフの計らいで列ではなく「囲み」で撮影を始めるのだが、そこで見せた海夢…「ハニエル」の表情にカメラマン達は釘付けになる。
最初は数人だった「囲み」はSNSや現場の噂を通じて徐々に大きくなり、涼香たちが到着した時には巨大な「囲み」となっていた。
さらに「ハニエル」を間近で見た緒方旭が「姫えええええええええええ」と汚い声で叫んだことを皮切りに、目線を求めるカメラマンから「姫」コールが飛び出すようになって、「囲み」がさらに巨大化。
収集が付かなくなるかと思われたが、最後は涼香のコールによって撮影終了の合図が出され、どうにか撮影は終了。
念願のハニエルを完成させた新菜だったが、多くの人の撮影に囲まれる海夢を見て何かに気づいた後は、終始俯いた表情を見せており、帰った新菜は顔を布で覆い、横たわっていた。
ハニエルのコスプレをした海夢も、誰より喜んでほしかった新菜が俯いている事に気付いてしまい、帰りでは新菜と話すでもなく憂いを帯びた表情となるなど、二人にとって影を落とすコスプレとなってしまった。
のちに新菜が自身の表情の真意を海夢に語ったことで和解はするのだが、それにはしばらくの時間が必要となった。
一方、世間における「ハニエル」の反響は凄まじく、海外のSNS利用者も巻き込んで大晦日のSNSでは午後のトレンドを独占。
「ハニエル」は原作者である司波刻央の目にも届き、これまで誰にもなびかなかった司波刻央から「見事だ」と認める言葉を引き出して見せた。(13巻巻末のおまけによると、これでも精一杯の感想だった模様)
様々な要因が重なったとはいえ、新菜と海夢の合作である「ハニエル」は12月を支配し、雲の上の存在にまで届いて見せたのだった。
なお、「ハニエルが何者なのか」という疑問も出てきているが、告知もしてなかった上に化粧も濃かった事も相まって、現状『「ハニエル」=海夢』とは気づかれていない。