概要
漫画「シャドーハウス」のメインヒロインである生き人形のエミリコと、シャドー家のパトリック・シャドーの組み合わせを指す。劇中では、エミリコとの交流でパトリックの心境に変化が起きたことからこの組み合わせができるに至った。
パトリックはケイトの同期であり、彼の生き人形であるリッキーはエミリコと同期である。「お披露目」前に館の大掃除の際にエミリコを見かけていたリッキーは彼女を「お花畑」と見下し、その顔で主人であるパトリックに報告。リッキーを信頼しているパトリックもこの時は自分以外のシャドーを見下しており、「お花畑」な生き人形の事も同様に思っていた。
しかし、「お披露目」の庭園迷路の試練で彼は狭い箱の中に閉じ込められてしまい、リッキーが助けに来てくれるのを待ちながらもその繊細な心はだんだん不安に侵食されてパニックに陥ってしまう。
…が、その時。
「その声はパトリック様ですね?」
外から聞こえてきた声はリッキーではなく、たまたま通りかかったエミリコだった。ケイトを探していたエミリコは先に見つけたパトリックも助けようとしたがパトリックはこれを拒否。エミリコも彼を助けるのはリッキーでなくてはならない事、自身はケイトを優先しなくてはならない事を改めて確認したものの、本来なら競い合ってる筈のリッキーの主人たるパトリックに持っていたお花やオレンジを差し入れ、彼に優しく言葉をかけてからその場を去っていった。
彼女のマイペースぶりに呆れつつも、つい先程まで恐慌状態の一歩手前まできていたパトリックは一輪の花を手にして落ち着きを取り戻し、リッキーが助けに来るまで大人しく待ち続けた。
禁忌の感情
「お披露目」も終盤、リッキーに箱から出してもらい出口を目指す道すがら、今度はケイトを助けようとするエミリコと遭遇する。ケイトの檻が落ちる前に茨を切って駆けつけなければならない彼女の手には、頼りない糸切り鋏のみ。一方、リッキーはルウからもらった大型の鋏がある。リッキーは焦るエミリコを見やりながらも、主人を連れてゴールする方を優先しようとしたがここでパトリックが予想外の行動を取る。
「エミリコに鋏を渡してやってくれ───借りがあるんだ」
…こうしてエミリコはケイトと合流し、タイムアウトぎりぎりのところでゴールすることができた。エミリコの奮闘やケイトの能力は勿論だが、檻からの救出の為には障害となる茨を刈る事は必須条件だったために、鋏を渡すようパトリックが従者に頭を下げて申し出るという、貴族社会のシャドーハウスの人間としてはあるまじき行為をしなければエミリコ達が合格に至る事は出来なかっただろう。それも、その前にエミリコがパトリックに優しく接した経緯があってこその結果。
自分以外の者を蹴落とそうと目論んでいたパトリックは、「お花畑」と嘲笑っていた生き人形の少女に特別な感情を抱く事になり、その思いは「お披露目」後にさらに大きくなっていく。
本来ならケイト・シャドーの「顔」でしかない生き人形に存在していない(してはならない)筈の「ケイトとは全く別の“エミリコ”という一個人」を認める事はシャドーハウスの思想にあってはならないと理解しつつも捨てきれず、他者…特にリッキーには主人としての立場から彼に気づかれないよう胸の内に秘めたままでいようと固く誓っている。
そしてリッキーもまたルウに特別な感情を寄せている事をパトリックにひた隠しにしている為、信頼し合う主従関係ではあるものの思い馳せる先は別々に分かれている。シャドーハウスの中にいる以上はどちらも伝える事も明かす事も叶わない想いである。
余談だが、「お披露目」でエミリコから差し入れられた事がきっかけでパトリックは花に興味を持ち、後に園芸を趣味に持つようになった。
ネタバレ注意
単行本12巻
単行本12巻 133話の最後のページにて
パトリックの部屋に突然エミリコがやってき、パトリックはびっくりしてよろけてしまった。
パトリック様!
とエミリコが言い、パトリックの手を掴むと…
わああ!(ドタッ)
一緒に倒れてしまい、ゼロ距離になってしまう。(パトリックは「!?」がコマから飛び出るほど焦ってしまう)
パトリックは混乱をしすぎてすすを出しまくってしまいます。
そしたら…
ぽわん
と、ハート型のすすが出てきた。
パトリック様それは…
ここで単行本12巻は終わっている。