CV:篠原侑
人物
本作の主人公であり、もう一人の主人公であるシャドー家のケイトに仕える生き人形の少女。
明るく前向きな性格。食いしん坊で、屋敷から支給される質素な食事でも美味しそうに食べるが、シャドー家用に配給されるパンをケイトからもらった際には「おいしすぎるパン」として感激のあまり全身で喜びを表した。
容姿
他の生き人形達に比べて見た目は幼げ。髪は長い金髪を黒色のリボンでツーサイドアップにしている。
瞳の色は、やや紫がかった碧眼。
同期の中では、ラムと並んで一番背が低い。
性格
天真爛漫そのもので常に前向きな姿勢を崩さず、何より「諦めない」気持ちが誰よりも強い。そんな彼女の在り方は多くの登場人物に多大なる影響を与えている。エミリコ自身は初めから他人は信用するタイプであり、疑心や警戒心を持つのは苦手。それでも一度信じたら最後まで信じ抜くひたむきさは変わらず、その最たるは主のケイトである。彼女の為なら掃除を始めとした雑務も請け負い、苦楽を共にすることを心から喜んでいる。
行動や思考に関しては子供ゆえの発展途上からかややおっちょこちょいなところはあるが、同時に既成概念にとらわれない柔軟な思考や発想も持ち合わせている為、それがトラブルの突破口や解決に繋がっている。だが基本的にはシャドーハウスに忠誠を誓う事が絶対的な生き人形としては個性が強いため、上述の性格もあって彼女を快く思わない者からは「お花畑」と揶揄されている。
口調は誰に対しても敬語だが、素直すぎて思った事は良くも悪くもそのまま口にしがち。だがその発言内容はかなり核心をついたものが多く、物覚えや知識は他の生き人形に比べてまだまだではあるものの彼女の地頭は悪くなく、むしろ飲み込みや理解力はかなり早い方。独自の言い回しをするジョンの言葉もすぐに把握、本来の従者であるショーンが羨ましがるほどだった。
自身曰く、「『丈夫』な生き人形」。実際、劇中では2階以上の高所から何度か落下しているが、擦り傷を作る程度で捻挫や骨折はしておらず五体満足で助かっている。身体能力も高く、遠くを見るために細い手摺を足場に立ったり、箒でこびりつき相手に奮闘したり重い荷車を押したり、ありあまる元気も彼女のパワーの源である。
能力
上述の身体能力に加えて、手先が器用。自身のミスでケイトのぬいぐるみを台無しにしてしまった際は綿の入れ替えから縫製まで全て完璧に行った(足りない替えの綿は代用品を使うなど機転も効く)。この時、余った材料等で手作りしたぬいぐるみを“パンちゃん”と名付けて友達にしている。裁縫に留まらず、その発想力から工作も得意とし、「お披露目」では荷車とそれに集めた様々な材料を組み合わせて多くのアイテムを作り出す。それらは「お披露目」において全て役に立つことになった。
ケイトとの関係
使えるべき主人として一番に思い、彼女の為に何事も率先して行動している。時にはケイトを怒らせたりして涙することもあるが、彼女の“顔”としての矜持は幼いながらも持ち合わせており、表情が見えない故にその心を理解しようと努めている。
性格は物静かなケイトと真反対のため、シャドーハウス内においてはお影様と“顔”の表情や感情が剥離していると取られている。が、エミリコ一人の時はともかく、ケイトと共に行動している際の彼女の普段の“顔”は概ねケイトの感情を表すことが自然とできている。
そして当のケイトはエミリコの「個」を尊重しているのでエミリコ自身の“表情”をとる事やその発言は咎めることなくむしろ推奨しており、シャドーハウスのルールに則る必要がなければ両者の相性はとてもよい。まだ子供な面が良くも悪くも見えるエミリコを冷静且つ微笑ましく見守るケイトの様子は「危なっかしい子を見守る母親」「世話焼きなお姉さんと元気な妹」のような関係に見えるだろう。
関連イラスト
関連タグ
【主人】
【同期】
【その他関わりのある者達】
ネタバレ注意
「お兄ちゃん あの子 すごいね!」
その出自は、シャドーハウスが存在する島ではない、外部のサーカス団の団員である。元は孤児であり、居場所を転々とした経緯を経てサーカス団に拾われた。その頃から「名前」というものを持っていなかったために呼び名は定まっておらず、サーカス団に至っては、団長からは「綱渡り」や「雑用」と呼ばれる有様であった。
綱渡りやジャグリングなどが得意であり、雑用係として身に着けた裁縫技術を持っている。先述の『頑丈さ』『運動神経』『器用さ』はこれらの経緯からきている。ただし学校教育は受けていないために文字の読み書きや一般常識は会得しきれておらず、これもシャドーハウス生活序盤に他の生き人形達から一歩出遅れている要因となっている。
最後の興行で訪れたのがシャドーハウスに最も近い町・ミラーサイドであったが、この公演中にミスをしてしまった事でサーカス団を追い出されてしまう。行く宛がなくなりかけた所を、公演を見に来ていた少年少女達に見つかり、友情を育んだ彼らの提案によってシャドーハウスへ導かれる事になった。
また、このシャドーハウスへの入館の前日譚には後の仲間との出会いだけでなく、後の主人となるケイトとの出会いも並行して語られた。一度は公演前に「顔のない人物」として遭遇し、一時は噂話から怖がっていたものの、二度目の再会時には話し合いで打ち解け合う。ケイトから、シャドーハウス侵入に必要な黒布とケイトを模した人形を提供した代わりに、彼女が着ていた刺繍入りの上等な衣服をもらう。シャドーハウスに入る為の試験を受ける為の候補者リストに名前を書き加える際は、自身に名前が無かった事から刺繍されていた「ケイト」の名を記入した。これが結果的に別ルートで正体を隠して侵入したケイトに本来の名を取り戻させることとなる。
そして少女はまた新たに名を与えられる事になる。ケイトが人間として暮らしていた時期に、彼女を家族同然に育ててくれた老女「エミリー」の名をもじった、「エミリコ」という初めての「自分の名前」を。