詳細
ロックマンエグゼ3に登場した、人間の脳波をデータ化し電脳世界に送り込むシステム。
脳波が一種の電気信号であることを利用し、人間の頭部に脳波とやり取りする機器を装着することで、その精神データを電脳世界に作り出す。
人間を電脳世界に送り込む行為を「パルスイン」と呼び、パルスインした人間の精神データは電脳世界において、現実世界における肉体を精密に再現した姿で現れる。
この状態では互いにデータ同士のためネットナビと融合することでフルシンクロを容易に行うことができ、これによりその能力は数倍に跳ね上がる。
しかし、このシステムには大きなリスクもあり、一度パルスインすると通常のプラグアウトにあたる行為ができず、パルスインした場所に徒歩で向かう必要がある。
更に、電脳世界に送りこまれた人間の精神データは現実世界の肉体と常に連動するため、電脳世界で精神データやフルシンクロしたナビが受けたダメージは現実世界の人間にも反映され、特にデリートされるとそのダメージは計り知れないものになる。
生きた人間を直接 電脳世界に送り込めるこのシステムは、かつての科学省で開発されたものだったが、あまりに危険であるため開発中止になった。
だが、当時の科学省にいたDr.ワイリーがこのシステムを一から作り上げ、無人戦車による防衛を任せた構成員達にパルスインさせ、自身もサーバー上でプロトと接触するためにパルスイン。
一方でコサックはフォルテを説得するため、光熱斗は最終決戦のためパルスインした。
上記の通りパルスインには重大なリスクが伴い、実際に熱斗以外に作中でパルスインした者は電脳上で負傷し、現実で昏睡状態に陥っている。
コサックはフォルテのアースブレイカーを食らい(作中ではフレイムマンを木っ端みじんに消し飛ばし、ゲーム上も無強化だと即死する威力)病院送りに。
WWW幹部達はフルシンクロした持ちナビごとデリート、ワイリーはプロトに捕食された上、彼らはすぐ治療を受けたコサックと異なり、崩壊したプロトのジャンクデータから精神データを回収されるまでに最大4ヵ月かかっている。
(「4か月」が本編から4か月経ったEDでの後語りの時期という意味なのか、本当の意味でWWW団員の精神データが発見された時なのかは曖昧で不明瞭であるが、少なくともデモンズ海域及びプロトにオフィシャルが捜査/調査に入るまで放置されていたのは間違いなく、それまで肉体の方は昏睡したまま入院し続けていたと思われる)
しかし、いずれも辛うじて一命を取り留めており、死に至った事例は見られない。特にワイリーと火野ケンイチの二名は後の様子を見る限り、目立った後遺症もない模様。
ただし、光正は、プロトの電脳世界に入っている間に肉体が死亡してしまったらしい。
別作品において
なお、後々のシリーズでパルストランスミッションシステムの危険性がより明確になる出来事が発生している。
エグゼシリーズの200年後が舞台となる流星のロックマン3で、生身の人間が敵の手でデータ(電波)化され、さらにバラバラにされてしまうという衝撃的な事件が発生。この際「データとしてバラバラにされた人間を完全な形で復元・再構築するのは、奇跡でも起きていなければ極めて難しい」事がヨイリー博士によって語られている(ちなみにこの時バラバラにされてしまったのは『OSS』にも登場した彼女で、この時は数々の『奇跡』が起きて無事完全に復元する事ができた)。
あちらは人間の脳波どころか肉体・服装に至るまで全てデータとして断片化されてしまったという決定的違いこそあれど、熱斗が『6』のEDで「人間はプログラムじゃない(から感情を切ったり捨てたりできない)」と語ったように、人間は復元の過程で欠落・破損してしまった部分を新しいデータで補えばいいプログラムとは違うのだ。
結果、人間の脳波をデータ化した存在であり、作中では(現実のネット社会で言うアバターやスキンなどではなく)本人そのものという扱いを受けている精神データも、本来はデリート等でデータが破損・欠損してしまえばよほどの事がない限り二度と完全な形で復元できない可能性が極めて高い…という事になってしまう。
これを踏まえれば、ワイリーやヒノケンが無事でいられたのは奇跡としか言いようがないだろう。
データが破損した結果人格が変わってしまうのか等の色々恐ろしい憶測も成り立つが…これ以上は考えないでおこう。
見方を変えてみれば、ワイリーはパルストランスミッションシステムを再び作り上げる際に、開発中止になった所以たる「電脳世界で精神データがデリートされると現実世界の人間も死亡する」というリスクを「計り知れないダメージを追うが、死亡することはない」レベルに留めることができる仕様への改良にも成功していたのかもしれない。(アニメ版のネットナビの「ログアウト」のように、一定以上のダメージを受けた場合にはナビと強制分離させるといった方法。これならば、精神データがバラバラになってしまうよりも前に、一定の形のデータを維持した塊のまま、特定の領域内に避難させることで保存させられるかもしれない。上記の説明内では、プロトのジャンクデータと本人達の精神データが混ざってしまったらしき文面は無く、「発見された」と説明されているからである。どのみち、憶測の域に過ぎないが。)
(それを考慮すると、『5』クリア当時は単なる妄想だとされた祐一朗のココロネットワークとワイリーの件をリーガルへ語ったことも説得力があるかもしれない。)
漫画版
鷹岬版の漫画ではドリームウイルス戦の直後にサイコ・トランスミッションシステムの名で類似のシステムが登場し、インターネット上に漂うロックマンのデータを回収するために光熱斗が使用した。精神データがデリートされたら現実の人間は死亡すると説明されており、パルスインよりもリスクが高く設定されていた。(というよりも、時間軸が『2』以前という事もあるが。)
人間を電脳世界に送りこむという意味ではゲーム版よりも先行して登場した形だが、一方で物語が『3』の時間軸になった頃にはパルス・トランスミッションシステムも登場しており、それぞれ異なる技術であるようだ(名人がパルスインしてロックマンの前に現れた際、熱斗は「サイコ・トランスミッションか!?」と名人に問い、名人は「似たような物を使ったのさ」と答えている。また以降はパルスインのみが登場し、サイコ・トランスミッションは使われていない)。
関連タグ
和泉ユキ…ヘブンバーンズレッドに登場するキャラ。こちらはオーキッドというハッカー集団に在籍していた際に似たようなシステムを利用し、電脳世界を行き来していた。