概要
シタン・ウヅキは偽名であり、地上を裏から支配する神聖帝国ソラリスに所属する人間である。
特務遂行官「守護天使」。
ソラリスの頂点に君臨する天帝カインの命を受けて地上に降り、フェイを『監視』していた。
要するに敵サイドのキャラクターであり、序盤からエリィにソラリス人である事を打ち明けたり、天帝カインと連絡を取る描写があった事から、プレイヤーからは「裏切るに違いない」と警戒を抱かれていた。
トドメになったのが、ソラリスに潜入したフェイ一行が対面する「ソイレントシステム」での忌まわしい出来事だった。
シタンの正体に不信感を抱いたエリィが問いただそうとするが、彼は姿を消し、フェイは捕らえられてしまう。
そこで明かされた事実は、衝撃的なものだった。
シタンは肉体を失った原初のヒト達、ソラリスの意思決定機関「ガゼル法院」に相応しい肉体を探す任務についていたのだ。
アニマの器と同調できる強いアニムス因子を持つ者が候補であり、それこそがフェイとその仲間達だった。
後に自分を助けに来たシタンに激しく突っかかるフェイ。
しかし、彼と天帝カインの目的は、ガゼル法院のそれとはまったく異なっていた。
それは、「接触者」フェイの力を見極めること。
今から1万年前、星間戦略兵器「デウス」の構成部品となるべく、この惑星に「ヒト」が誕生。だがカインは部品としてしか存在できない自分達の運命に疑問を抱いていた。
カインは「神(デウス)に仇なすもの」──『事象変移機関ゾハル』に接触した「アベル」、その転生者であるフェイがデウスシステムを破壊し、ヒトの運命を変える事が出来るかも知れないと考える。
その命を受け、ヒュウガ・リクドウはシタン・ウヅキとしてフェイに接触、彼の旅路に同行したのである。
シタンがフェイ達をソラリスに連れてきたのは、ソラリスに対して地上人が逆らえないように施された「刻印(リミッター)」を解除する為だった。
更に、フェイに宿る第二の人格「イド」の特性を見極めるという目的もあった。
これ以後、シタンはガゼル法院とその背後にあるもの、ひいてはソラリスからも離脱。
終盤では封印していた剣術を解禁、凄まじい戦闘能力を発揮するのである。
また「ヘイムダル」に代わり、守護天使時代に拝領したギア・バーラー「E・フェンリル」を解禁。こちらはチートスペックを誇るゼノギアスに次ぐ高性能機である。
経歴
「働き蜂」と揶揄される第3級市民層の出身で、生粋のソラリス人ではない。
設定集によるとリクドウ家の第9子として生まれ、祖父のキッカ・リクドウから剣術を修得し、剣術と学問を修めた万能の神童としてもてはやされた。
しかし12歳の時、細菌実験により3級市民層に疫病が蔓延、家族全員が死亡する。当時研究職にあったヒュウガが犯人だとあらぬ噂が立てられ、彼は迫害を受けるようになった。
後に帝室特設外務庁「ゲブラー」総司令官となる若き俊英、カーラン・ラムサスはこれを聞きつけ、ヒュウガをスカウト。ラムサスの取り成しによって、ソラリスの士官学校・ユーゲントに入学したヒュウガは見る間に頭角をあらわし、精鋭部隊「エレメンツ」の初代メンバーになった。
この頃シグルド・ハーコートやジェサイア・ブランシュと出会い、共にエレメンツ創立に立ち会う事となる。
ヒュウガは人種や肩書に捕らわれず、『能力主義』を掲げるラムサスに、ソラリス変革の希望を見出だしていた。
だが時が経つにつれ、『能力主義』は『人種主義』と本質的には変わらない事に気づき、ソラリスを出奔。『シタン・ウヅキ』と名前を変えて生きる事を選んだ。
……というのは後付けの理由で、実際には「守護天使」の任務を果たす為に作り上げたものである。
ただしラムサスに対する恩義や思い入れは嘘ではなく、黒幕から使い捨てられて自暴自棄になった彼と対峙した時は張り手をかまし、エレメンツの後輩達と共に再起を促している。
その他
ただでさえ強いヒュウガだが、それに輪をかけた面妖な変態技術者である。
ソラリス製のギアにほぼ何かしらに「趣味半分」で関与しており、ラムサスが搭乗する「ワイバーン」のほか、エアッドシステムといった兵器の開発も行っている。
一方で人間をコックピットごと砲弾にする兵器「バントライン」やら、特に意味もなく合体する「G・エレメンツ」やら、明らかに方向性がアレだったりする。
妻のユイとは、ソラリス所属時代に参加した第三次シェバト侵攻で出会った。
彼女の祖父は三賢者の一人にして武術の達人であるガスパール。ゲリラ部隊を率いてソラリスの前に立つ彼と戦い、お互い引かずに長期戦にもつれ込んだ。
その際、祖父に同行していたユイを見初め、部隊の損耗を口実に撤退。ユイ目当てでこっそりシェバトに出入りしてハートをつかむと結婚、自ら剣を封印してガスパールに武術を教わっている。そしてミドリが生まれた後、天帝カインから前述の任務を受け、家族と共に地上に降りた。
ちなみにユイ自身、「素手なら夫と互角に戦える」というとんでもない御仁である。
なおミドリが父に懐かないのは、彼女が持つ『心を感じ取る』という能力が、彼の背負うものを感知したからである。