概要
ヒュンケルとマァムは、お互いにアバンの使徒であり、兄妹弟子関係にあたる。
最初は敵と味方として出逢うが、彼は敵ではないというマァムの想いと行動から、
ヒュンケルがアバンの使徒として目覚めるきっかけを作った。
禁断の(?)敵ボスと仲間のヒロイン
気を失ったマァムを、アジト兼自宅に連れていくヒュンケル。完全に四面楚歌となったマァムと、地下の牢獄。なにも起こらないわけもなく…。
「あの娘が気になってるようじゃが?」
と言われ、否定しなかった辺り、やはり気になっている様子のヒュンケル。
マァムもヒュンケルが気になっているのか、悪の剣を振るうヒュンケルを必死で止めようとした。
マァムの膝枕で負けを認め、改心する。
ダイに倒され、そのダメージが心配だったのか、新アニメではその後、マァムはヒュンケルにベホイミをかけた。
王道ヒーローと戦うヒロイン
マァムのピンチに、颯爽と現れるヒュンケルのその姿は、まさにヒーローそのもの。お姫様抱っこで、マァムのピンチを救った。マァムもときめかないわけがない。
マァムもただ守られるだけではなく、後にヒュンケルを
お姫様抱っこして、彼のピンチを救った。
お互いに身を挺して、そのピンチを救っている。
二人の世界
戦闘中に抱き合ったり、生涯にかける誓いをしたり、人目もはばからない事もしばしば。
敵陣にあっても、ナチュラルにイch…もとい、(いやらしくない)ボディタッチをしている。物理的な距離の近さは、きっとみんな気付いている。
深い心と心の繋がり
自然体でボディタッチもするが、心の深い所で繋がっている。
清い関係性。慈しみ合い、自然とお互いを一番に考えている。
ヒュンケルの心の強さを信じるマァムと、自分を信じるマァムに応えようとするヒュンケル。
それに気付いているのは、ごく一部のキャラと、読者のみ。
詳細は下記にて。
以下ネタバレ注意。
(原作の描写に基づく推察や考察も含みます)
生い立ちと、出逢い
ヒュンケル
21歳、戦士。
旧魔王軍最強の騎士バルトスに拾われた養子であった。
魔王ハドラーの居城の地底魔城にて幼少期を過ごした。
勇者アバンが魔王ハドラーを討伐した際に、養父バルトスも命を落とす。
バルトスの命を奪ったのが、勇者アバンだと恨み、その強さと優しさに尊敬と憧れを抱きつつもそれを押し殺し、父の仇を討とうとアバンの元で修業しながら成長していく。
卒業の際アバンに復讐を試みるも、返り討ちにあい、生死不明となった。
その後ミストバーンに命を救われ、そのまま彼に師事し、暗黒闘気の使い方を学ぶ。
そして新生魔王軍結成の折、ヒュンケルは不死騎団の団長に命じられた。
ホルキア大陸攻略を命じられ、パプニカ王国を陥落する。そして、大魔王バーン直々に勇者ダイ打倒を命じられ、崩壊したパプニカ王国に潜伏し、ダイ達一行と出会う。
マァム
16歳、僧侶戦士。
勇者アバンの仲間であった戦士ロカを父に、僧侶レイラを母に持つ。
ロモス王国にある魔の森のネイル村にて、穏やかに育った。
父ロカ亡き後、ネイル村を魔物から守る為に戦っていた。
アバンに師事して回復魔法や戦闘技術を学んだ。
魔弾銃を授与する際のアバン曰く「あなたは本当に優しい人」。
男勝りでもあり、曲がった事は許せないという側面もある(※その為、クロコダイン戦において逃げ出そうとしたポップを激しく叱責する場面もあった)。
同じアバンの使徒であったダイ達の仲間となり、ロモス王国を侵攻していたクロコダインを退けた後、パプニカ王国に渡り、もう一人のアバンの使徒であるヒュンケルと出会う。
父を亡くし、怒りと孤独から悪の道に走ったヒュンケルと、同じく父を亡くして、その志を受け継ぎ、村を守る為に戦う事を決めた、心優しい少女、マァム。
ヒュンケルとマァムは生い立ちから既に敵同士だったとも言えるが、マァムは出会った当初から、ヒュンケルの哀しみを理解しようとする描写があった。
最終的に、マァムが地底魔城の隠し部屋から見つけた、
父バルトスが遺した遺言(魂の貝殻)で、バルトスを殺したのはハドラーであったという真実を知り、ダイが土壇場で生み出した必殺技、ライデインストラッシュによって敗れた。
無意識状態でヒュンケルに止めを刺そうとしたダイを止めたのも、マァムであった。
その際、マァムはヒュンケルに膝枕をし(詳細は後述)、ヒュンケルが投げ捨てたアバンのしるしを返している。
ヒュンケルがアバンの使徒として目覚めた瞬間である。
騎士と聖母
前述した通り、最初は敵同士として出会った。
アバンの使徒の一番弟子であるヒュンケルが悪の道に走った事を受け、マァムはアバンの使徒同士での戦いを止めようと、何度も説得を試みている。
「あなたはそれでも魔王軍に味方するの!?」(新装彩録版3巻71P)
説得を試みる理由は、「これ以上先生の力を悪に使わせない」(同83P)という意思から来ている。
しかし、アバンが父バルトスの仇だというヒュンケルの告白からは、ヒュンケルの哀しみと怒りに対しての理解を示している。
「あなたの気持ちはわかるわ…でも先生は…!」(同104P)
マァムの言葉に対して、ヒュンケルは
「正義そのものが俺の敵だ!」と一蹴しているが、マァムは剣を捨てるよう迫り、武力解除を試みている。
その後マァムは、魔弾銃によるマヌーサからの殴打攻撃を仕掛けるも、一撃で気絶させられてしまい、その後は地底魔城へと連れ去られる。
「女を殺すなど性に合わん」(同94P)というヒュンケルのセリフと矛盾しているようにも思えるが、後に語られる「たとえ敵でも女は殺すな。武人として最低の礼儀だ」(同202P)として、「殺さない」為に早急にマァムの戦線離脱を図ったものである。
この「武人として最低の礼儀」はバルトスから教わったものであり、その教えは現実世界における騎士道精神に通じるものがある。
騎士道精神には「神への献身」「貴婦人への愛」というものがあり(他にもあるが上記のみ抜粋)、後者は現在におけるレディーファーストとも言うべき概念である。
「武人として最低の礼儀」=「騎士道」を尊んだヒュンケルであるから、改心後、自分に対して深い愛情を与えたマァムに対し、「聖母」(同307P) という言葉で表したのだろう。
光を選ぶ男の物語
前述のとおりヒュンケルは一度は悪に堕ちた戦士であったが、マァムによって目を覚まされ、その罪を償う為、自分の為に涙を流してくれた獣王クロコダインとマァムの為に、アバンの使徒として、正義の戦士として、戦うようになる。
ヒュンケルに悪の力(=暗黒闘気)での戦い方を教えたのは、魔影参謀ミストバーンであり、彼はヒュンケルにとっての闇の師ともいえる。
原作単行本16巻において、ミストバーンはヒュンケルに
「暗黒闘気の力が弱まったお前には、以前ほどの力はない。正義と悪という相反する両方の力を持っていたからこそ、究極の戦士と呼べた」という内容の事を告げている。
そんな中、闘魔滅砕陣によって仲間たちはピンチに陥り、
ミストバーンは暗黒の力=悪の力を使わないと滅砕陣を破れない、とヒュンケルをけしかける。
その際マァムは、ヒュンケルが暗黒の力を使わないとミストバーンに勝てない、というヒュンケルの考えに理解を示しつつも、
「もう二度と、あなたの昔みたいにすさんだ目を見たくないの」
「戦うなら正義の力だけで戦って!あなたなら必ず勝てるわ!」(同80P~81P) と、涙を浮かべながらヒュンケルを諭す。
その言葉によって、ヒュンケルは暗黒の力での反撃を諦め、光の力によって滅砕陣を破り、反撃に転じた。
その時の技がアバン流槍殺法・虚空閃であり、ヒュンケルがアバン流の「空」の技に目覚めたのであった。
反撃の後、ヒュンケルはマァムに
「たとえ死しても、最期のその一瞬まで、正義の意思を貫くこと」(同89P) を誓っている。
終盤、大魔王バーンと対峙し敗れた後、ヒュンケルはクロコダインと共に魔王軍に捕らえられてしまう。
裏切り者の軍団長として処刑宣告を受けるが、ミストバーンの
「暗黒闘気を再び受け入れ、配下に戻れ」(単行本24巻33P)という勧告を受け、「考えさせてくれ」と返答している。
これはクロコダインとの「ダイたちに迷惑をかけるくらいなら、死んだ方がマシだ」(同30P)という会話の直後なので、暗黒闘気を受け入れる(=悪の力を受け入れてでも生き延びる)という意味になる(クロコダインも「こんなドタン場で裏切られるとは思わなかった」と激昂している)。
しかしこれはヒュンケルの作戦であり、一度はクロコダインを処刑しようとするも、ヒュンケルの中の光の闘気が暗黒闘気を打ち破ろうと逆に強くなり、暗黒闘気を打破して、窮地を脱するのであった。
ヒュンケルが暗黒闘気のグラスを飲み干した直後、周囲に潜んでいたアバンの使徒以外の仲間たちは、慌てて飛び出そうとするも、ダイたちが彼らを救出してから飛び出すという作戦であった為、相当ハラハラしつつも、飛び出すのを耐えた。
ロン・ベルク曰く、「ダイたちが出てこないのは、ヒュンケルという男を知り抜いているからだ」(単行本25巻100P)。
ダイは、ヒュンケルの中の光の闘気が強くなるのがわかったと言っており、マァムは「ヒュンケルが勝算もなく悪の闘気を受け入れることは考えられない。もう少しだけ彼を信じて様子を見て」(同130P) と言っていた模様。
16巻で誓った言葉を、マァムも疑うことなく信じていたのであった。
その後もヒュンケルは、最後まで光の力で戦い抜いた。
光と愛の戦士
「勇者アバンと獄炎の魔王」についての若干のネタバレが含まれます。ご注意ください。
地獄の騎士バルトスに育てられたヒュンケルは、素直で純粋な少年として幼少期を過ごした。
バルトスとヒュンケルの間に生まれた親子の愛情は、幼少期のヒュンケルの眩しい笑顔にも現れている。
(ブラスを見送る際に、駆け寄って笑顔で手を振っている)
旧魔王軍の本拠地であった地底魔城で育ちながらも、ヒュンケルのその本質は暗黒にはなく、むしろ光であったと察する事ができるシーンであると言える。
(ネタバレ終わり)
不死騎団長時代のヒュンケルの執事であったモルグは、ヒュンケルを「お優しいお方」(新装彩録版3巻174P)と表している。
バルトスに育てられ、素直に育ったヒュンケルの本質は、絶望と憎悪の中にあっても、部下であったモルグには「優しい」と伝わっていたのだろう。
バルトスを亡くし、絶望と憎悪に飲み込まれたのも、バルトスへの愛情の裏返しである。
ヒュンケルというキャラクターの本質は、クールで寡黙であることからわかりにくいものではあるが、愛情深く、素直で優しいものであった。
だからこそ、不死騎団長としてパプニカ王国を滅ぼした事や、アバンやアバンの使徒の弟弟子たちに剣を向けた事を後悔し、苦しみながらもその罪を償おうとしていた(単行本21巻「戦火の告白」にて、その苦悩を告白している)。
罪の意識は根深く、「人を幸せにはできない」と思う程である。
その為、単行本27巻「想いよ走れ…!!」の話において、ポップへの気持ちに悩むマァムを後押しして見送った後、モノローグにてマァムの幸せを祈りつつも、「俺ではお前を幸せにできない…」(単行本27巻22P) と、初めてマァムへの想いを独白している。
この「俺ではお前を幸せにはできない」という言葉は、ヒュンケル自身の罪の意識から来るものではあるが、マァムに幸せになってもらいたいという想いがなければ出てこない言葉である。
この段階で、ヒュンケルにとってマァムは大事な人だという事が窺える。
なお、マァムに誓った「正義の意思を貫く」という言葉と、自身の罪を命を懸けて贖おうとしている描写と、マァムを大事に想っているものの、罪の意識から「幸せにできない」と独白する描写から、ヒュンケルはマァムを幸せにする為の禊を、戦いの中で行っているとも読み取れる。
自身の罪を正義(=光)の力だけで戦い、償った先に、初めてマァムを幸せにする資格を得る事ができると考えたかもしれない。
ハドラー親衛騎団のヒムと、バーンパレスにて対峙し勝利した後、ヒュンケルとヒムは、オリハルコン戦士のキング・マキシマムに襲われる。
その際マキシマムは、ヒュンケルとの戦いでダメージを受け倒れていたヒムを、超高空であったその場から投げ落とそうとした。
ヒュンケルはヒムを救おうと手を差しだし、マキシマムに背中を見せ、攻撃されるという事態に陥った。
仲間を見捨てられないというヒュンケルの心に付け込んだ卑劣な戦略であり、同時に戦士としては致命的な弱点でもあった。
その弱点が芽生えたのは、「仲間たちの情けやら愛やらに触れたお陰」(単行本30巻102P)だと指摘される。
仲間を人質に取られるという手段は、新装彩録版7巻、竜騎衆戦においても行われている。
海戦騎ボラホーンがポップを人質に取って、ヒュンケルを殺そうとしたもの。マキシマムはこの出来事から、ヒュンケルの弱点を見出した。
敵であったヒムを身を挺して助けようとした事は、マァムがヒュンケルにした事と同じであり、ヒュンケル自身の中にマァムと同じ性質の愛が存在していた事を、自覚する一幕であった。
「情けや愛の心で敵に敗れるのなら、俺にはむしろ誇らしい」(単行本30巻104P)とヒュンケルは言っているので、マァムと同じ心を持っていた事を彼は誇りに思っているという意味になる。
光の力と、愛をもって、ヒュンケルはマァムと同じく、他者を救ったのである。
マキシマムがラーハルトによって倒された後、ヒュンケルは非常に清々しい表情で眠りについた。
再起不能に陥るまで戦い、ダイを守る戦士としての役目をラーハルトに引き継ぎ、マァムと同じ心をもってヒムを救った事が、ヒュンケルにとっての禊(罪の償い)になった為であろう。
単行本34巻にてミストをヒュンケルの体内で消滅させた後、マァムの「先生がやっつけてくれたんですね」とのアバンへの問いに、ヒュンケルは人差し指を口元に当て(「内緒」のジェスチャー)、言わないように合図した。
これはミストという闇(悪)の力が再びヒュンケルの中に入り込んだ事を、ミストとの黒い絆を、ヒュンケルの光(正義)の力を信じているマァムには知らせたくない、不要な心配をかけたくないという想いからであった。
ヒュンケルのしぐさを見て、アバンは「あなたにとって、マァムがいかに大切な存在であるかが、よくわかりますよ」(同88P)と独白した。
マァムを取り巻く恋と愛
マァムには様々な「恋」にまつわるエピソードがある。
基本的に他者に優しく、非常に愛情深いマァムではあるが、自分がどう思われているのか、自分がどう思っているのかわからない、と終盤にて自覚する事となる。
きっかけとなったのは、ヒュンケルに恋心を抱いていたエイミの、公然での告白であった。
ヒュンケルとクロコダインが魔王軍に捕らわれている際、ロン・ベルクが修復した武器を誰が預かるかという展開になり、マァムは「槍(ヒュンケルの鎧の魔槍)と杖(ポップのブラックロッド)は私が…」(単行本25巻24P)と手を伸ばしたが、エイミが「私に渡させて。この手で、愛するあの人に」(同25P) と、先に手に取る事になる。
その時に初めてエイミのヒュンケルへの恋心を知り、じゃあ自分の気持ちはどうなのか、とマァムは激しく動揺する。
この場面でマァムは初めて、自分のヒュンケルへの気持ちを考えるのであった。
その直後、マァムはその気持ちについての相談をすべく、ポップの元に訪れる。
物語序盤からマァムに恋心を抱いているポップは、マァムが
「ヒュンケルの事を男性として好きなのかどうかわからない」(同37P)という相談内容を、
「てめえにわからない事が俺にわかるわけねぇだろ!」
「てめえがヒュンケルを好きだろうがなんだろうが、俺には関係ねぇ!」(同39P)と、嫉妬もあって、最悪の返答をしてしまう(なお、この時のポップは、アバンのしるしが光らず、自分は半端者=仲間である資格がないかもしれないと深刻に悩んでいた為、タイミングとしても気の毒なくらいに最悪であった)。
その後、バーンパレスの下でミナカトールを発動させる際、ザボエラに狙われたポップを庇って、メルルが瀕死の重傷を負う。
その時にマァムは、命をかけてポップを助けようとしたメルルの気持ちと、物語序盤からのポップの気持ちを知る事になる。
物語が進み、マァムはアルビナスを、ポップはシグマを倒したのち、改めてポップはマァムに告白する。
その際の返答は「好き」「手のかかる弟みたいな感じ」であるとしている(単行本27巻75P)。
なお、「お前、ヒュンケルが好きだったんだろう?」というポップの問いには、「ヒュンケルも好きよ…強くて、でもとても孤独で…ものすごく気になる人…」と返答している。
ただし、マァムは「男の人の求愛に答えを返すことはできない。そんな資格はないと思う」(同77P)とも返答している。
今まで他の人をどう見ているかも、どう見られているかもわからず、エイミやメルルやアルビナスのような、命まで投げ出して愛する人の為に尽くそうとする程の激しい気持ちを持つ事ができるのか、という気持ちからである。
ポップへの返事を保留としたのも、 「愛という気持ちがわからない」為であり、そんな状態でポップの気持ちを受け入れるのも、想いに応えないのも、誠実な返事とは言えないからという気持ちと、戦いの後、「(今はわからない)愛というものが理解できるかもしれない」、という未来志向の前向きな気持ちからである。
「一人の男性として、あなたを見ていけるようになると思う」(同78P)という言葉は、「ヒュンケルの方を愛しているかもしれない」(同79P)にも繋がっており、27巻の段階ではまだ本人はわかっていない(最終話でのポップ・メルル・マァムでの三人旅は、戦いが終わった後、数週間後程度のものである為、まだ答えが出ていない可能性も高い事も、補足しておく)。
慈愛の天使のその気持ち
マァムは慈愛の魂の持ち主であり、基本的に誰にでも平等に優しく接する少女である。
しかしヒュンケルに対しては、最初から最後まで一貫して、献身的に支えようとしている描写が多々見受けられる。
新装彩録版3巻の膝枕(304P)においては、ヒュンケルが今まさにダイに討たれようとしている最中での出来事で、ダイが正気に戻らなかったら、マァムもろとも斬られていたかもしれない状況であった(なお旧アニメ版では、ダイが正気に戻ってからの膝枕であったが、新アニメに関しては更にベホイミも付いてくる)。
新装彩録版4巻においては、「彼の悲しそうな目を見ていたら、なにか力になってあげたい…そばにいてあげたい…そんな気になったの」(9P)とも話している。
その後、生きて再会したヒュンケルの生存を涙ながらに喜び、ハドラーと対峙するヒュンケルに対して、心配している描写もある。
ヒュンケルが無事に生きていた事に涙を浮かべて喜ぶシーンは、単行本32巻にも存在している。
単行本16巻では、鬼岩城上空からミストバーンによって落とされそうになっているヒュンケルを、逆お姫様抱っこによって受け止めている(66P)。
鎧を着込んだ成人男性があの高度から落とされた際にかかる重力は相当なものだったと推察され、受け止めるマァムにも相当なダメージが入る事は想像に難くない。
この行動に関しては、マァムは自身へのダメージよりも,ただヒュンケルを助けたいという無意識の気持ちから、考えるより先にそう行動させたものである。
更にその直後の、闇の力の誘惑に傾きかけたヒュンケルを呼び覚ますシーン(80P)においては、ヒュンケルに闇の力を選ばせない事で、彼の心を闇から守るという描写になっている。
ミストバーンの真の力はいわゆるラスボス並み(というかラスボスそのもの)であるが、実力の差を考えずに「ヒュンケルに手出しはさせない!私が相手よ!」(同73P)とヒュンケルの前に立ったのも、闇の師であるミストバーン相手に、ヒュンケルの心を守ろうとした故の事であろう。
25巻での「武器を誰が預かるか」という展開でも、マァムは最初にヒュンケルの鎧の魔槍を預かろうとしてい(もしその場にポップがいたら、もしくはロン・ベルクがポップの武器を作っていなければ、恐らく槍だけを預かろうとした流れである)。
単行本32巻以降は、戦士として再起不能の重傷を負ったヒュンケルに寄り添い、体を支えている姿が多くある。
以上の事から、マァムは序盤からずっと、無意識的にヒュンケルを優先し、ヒュンケルに対しては非常に献身的に接している。
身を挺してでも彼を助けようとしている所もある。
命を捧げてでもその人を守りたいという、メルルやアルビナスの姿を見て、それを「愛と呼ぶもの」(単行本26巻)と理解している以上、マァム自身がヒュンケルに対して献身的に接してきた事は、愛ゆえであったと悟っていた可能性が高い。
メルルやアルビナスの献身的な「愛」は、誰にでも分け隔てなく与えられる「慈愛」ではなく、激しく強い、“人が愛と呼ぶもの”なのだから。
余談
2022年、クロスブレイドの総選挙の「夢の連携必殺技部門」でこの組み合わせが1位にランクインし超3弾にて両者が描かれたカードが2枚実装。
そして連携必殺技に「エアリアルバースト」も実装された。
2023年9月21日~9月24日に幕張メッセで開催された東京ゲームショウに、ヒュンケルとマァムに扮したコスプレキャストが、撮影スポットに登壇した。
(一般公開日である9月23日と9月24日のみ)
ヒュンケル:スタンミ氏
マァム:篠崎こころ氏(23日)、茉夏氏(24日)、えなこ氏(24日・ステージでのフォトセッション)