概要
東京・上野の国立科学博物館の研究チームが、アルゼンチンの国立自然科学博物館と研究員達の合同調査で、アルゼンチン南部にある白亜紀後期マーストリヒト期のチョリロ層(Chorrillo Formation)から化石を発見し、2022年に新種としてマイプ・マクロトラクスと命名した。属名はパタゴニアの先住民族テウェルチェ族の神話に登場する、冷風を操って人を凍死させる悪霊の名に由来する。種小名は後述する特徴に因み「大きな胴体」を意味する。
メガラプトルと同じくメガラプトル科に分類され、発見された部位は軸椎、胴椎および尾椎、頸肋および胸肋、腹肋、左烏口骨、断片的な肩甲骨、部分的な右恥骨、部分的な中足骨等。
これらを基に推定すると、全長約9m・体重5t前後と、メガラプトラの中でも最大級の体躯を誇る。また、見つかった化石は亜成体の可能性があり、成体はさらに大きくなったかもしれない。
種小名のとおり、肋骨から推測される胴体の幅は1.2mにもなり、比較的がっしりした体型をしていた。
この巨体を武器に、当時の南米南部の生態系における頂点捕食者として君臨していたと推測されるが、頭部など未発見の部位も多いため一概には言い切れず、今後の研究が待たれる。