概要
南インドのケーララ州で崇拝されるアイヤッパンの英雄譚に登場する水牛の女魔神で、サバリーの森に住んでおり、この森に入ったものは生きては帰れないと恐れられていた。
アイヤッパンはシヴァ神と、美女モーヒニーに化身したヴィシュヌ神という男神同士から生まれたという特異な存在であった。
生まれてすぐに金の鐘を首につけられてパンパ川に置き去りにされ、そこへ狩りに来ていたパーンディヤ朝のラージャーセーカラ王に拾われた。
王に「マニカンダン(首から下げた鐘)」と名付けられ、優秀な少年としてすくすく育ったが、自分の子に王位継承をさせたい妃の陰謀で、サバリーの森に入って虎(もしくは豹)の母乳を手に入れなければならなくなった。
森に侵入したマニカンダンにマヒーシーは襲いかかったが、2柱の神の力を引き継ぐ彼の敵ではなく、たやすく打ち倒されたという。
マニカンダン改めアイヤッパンは、デーヴァの王であるデーヴェンドラの化身の雌虎にまたがって王宮に凱旋し、神々の子であることに気づいた王と妃に懇願され、この地にとどまり崇拝されるようになった。
なおマヒーシーは、インド神話でドゥルガーに退治されたアスラ王・マヒシャの伝承のバリエーションの一つであるともいう。