必要なだけ影を呑むよ。
自由で公平な社会のために
概要
ウェーブの長い金髪で、褐色肌の華奢な痩身を細いベルトや純金の装飾品で着飾った15歳くらいの少女
救済条件は『自分のテリトリー(現在は橋架結社)』
基本的な戦闘スタイルは全身武装。
逸話
エジプト神話に登場する女神ムトの名を冠する。
ハゲワシを象徴とする女性形の軍神。漠然とした死後の世界の幸せを約束する他の神と違い、実際に地上で戦って敵国から民を守るために存在する『物理的な女神』具体的にテーベという古代都市を外敵から防衛すると言われていた
子を守る母の様々な機能の一つとして、そう信じられていた
ムトは女神でありながら、古代エジプトの王様ファラオの妻でもあるとされる特別な存在。
厳密には、お妃様とムトが同一視されており、代々の妻が全員ムトと同じ事になるため男性のファラオ側から見るとムトは母であり妻であり娘でもある。
最高神アメンには妻が必要だとして、後から創られた女神という疑惑もある存在。
戦闘能力
矮小液体
一つのバインダーでX字に束ねた無数の投げ槍の形をした霊装。
対超絶者特化の霊装であり、それ以外の標的にはさほど甚大な破壊は引き起こせない。
それぞれの槍の全長は150cm程、穂先はガラス製で、得体の知れない蛍光ピンクの液体が中で揺れている。
また、柄の部分には『不思議の国のアリス』に由来する『Drink_me』の文字が刻まれている。
絵本の中では体を小さくさせる飲み物であったように、超絶者から力を奪って弱体化させる効果を持つ。
『橋架結社』を裏切ったアンナ=シュプレンゲルを処罰するため、アリスの力によって用意された霊装である。
対超絶者としては、そのまま投げ槍として投擲することで効果を発揮する。毒々しい液体が体内を侵蝕していき、その超絶者を死亡させる。
この毒は一度入り込むと「アリスの力を一部貸与されているから、旧き善きマリアの『復活』でも回復できない。序列が噛み合わない」とのこと。
そのまま手で持ち運ぶ必要はなく、ムト=テーベは「(自身の術式により)マッチ箱よりも小さくしてどこにでも隠せる」と述べていた。
白い影
『自分の影』と接触した兵器の影を取り込み、その兵器を展開する術式。
取り込んだ兵器は腕・肩・太もも等の体の外側から展開され、白い影のようなシルエットとなる。
自分の影と兵器の影が接触さえすればいいため、兵器に自ら触れる、兵器の攻撃が自分の肌に当たる、空中の兵器の影に掌をかざす、といった方法でも条件を満たすことができる。
アラディア曰く「対象に合わせた刑罰の方法を、自力で調達できる超絶者」とのこと。
自分の影はより具体的には「地肌が作る影」である必要がある。
上条の独白にもある通り、強大な力を持つ魔術サイドの人物は肌の露出が多い傾向にあるがムト=テーベはその格好にも明確な意味を持つ珍しい魔術師である。
以下に作中で展開した兵器の一例を記載する。
- HsMCV-08『プレデターオクトパス』
学園都市が開発した次世代機動戦闘車。砲塔から120mmの戦車砲を発射する。その砲弾はただの鉛の塊ではなく、内部には信管があり、接触反応があれば炸薬が起爆する設定となっている。
- 安定脚
『プレデターオクトパス』の砲身を大量に展開した自重でよろめいたために使用。体を支えるために太ももから展開した。
- 自動車
アンナ達の『プレデターオクトパス』を追跡する際に使用。腰の左右から車輪とサスペンションを展開して走行した。
- ミサイル
攻撃ヘリ・HsAFH-11『六枚羽』に対して使用。背中からミサイル発射ポッドを展開して大量のミサイルを発射し撃墜した。
- 照明弾
術式の起点である影を潰すために夜の街灯を破壊された際に使用。右手を頭上にかざして小さなパラシュート付きの照明弾を放ち、周囲の影を自身の元まで延ばした。
- ワイヤーリール
アンナ達の『プレデターオクトパス』を攻撃する際に使用。親指より太いリールをまとめ、巨大な棍棒のように右腕から展開して横殴りに薙ぎ払った。
- 複合装甲
『プレデターオクトパス』の砲撃を受けた際に使用。その砲撃でふっ飛びはしたものの傷一つ受けなかった。
また、これによるものだと明確に描かれてはいないが、以下のように何らかの攻撃を生身で受け止めても無傷なシーンが度々見られる。
その割には上条の『幻想殺し』はまともに喰らったため、少なくとも何らかの防護魔術は使用していると思われる。
・120mmの戦車砲を片手で受け止める
・その直後に目の前で炸薬が起爆する
・アンナ=キングスフォードに脇腹から突っ込まれて吹き飛び、別の機体にめり込む
・コロンゾンの力を借りたアレイスターの攻撃を何度も受ける
- HsAWACS-05
頭に大きな皿を乗せた大型旅客機のような『早期警戒管制機』。皿のようなレドーム一つで半径1000km程をカバーし、1500機以上の機体を追尾し、内500機はロックオン情報を共有して味方に攻撃させることも可能。
アンナ達を見失った際に使用。背中から巨大なレドームを展開し、マイクロ波のレーダーを広範囲に照射して居場所を特定した。
この際、防空巡洋艦に匹敵する大出力レーダーを高度0mの地上で広範囲に照射していたため、アンナから「表の人間は片っ端から火傷くらいはするわよ、下手したら失明もありえる」と言われており、周辺の機材が電磁波の影響で誘爆したりもしていた。
ドラム缶型警備ロボット
学園都市内によく見られるドラム缶型警備ロボット。足周りを強化するために使用し、滑るような挙動で走行した。
- エアバッグ
アレイスターとの戦闘の末、バンジージャンプの高台に半身が埋められるほど吹き飛ばされた際に使用。自身の体を守ることに成功した。
HsB-AD-CVA01『ふがく』
全長300m、総排水量10万6000トンの次世代航空戦艦。
合計10隻を展開した際には、ムト=テーベを中心として、ロングスカートのような五本脚、左右に大きく広げるような二枚ずつの翼、さらに鳥の胴体や尾羽のように後ろにも流れているような、極めて巨大な白色の鳥を表した姿となる。
その『翼』を広げれば600mを超え、その大きさから航空戦艦の真ん中辺りを無理やり折り曲げて脚のようにしている。
この状態になると、一例として以下のような攻撃・兵器の使用が行える。
・300mの翼を横殴りに振るう
・その翼を振るった余波による暴風
・直径35cmの砲口から無数に放たれる艦砲
・その砲口から散弾のように飛び出す『矮小液体』
・大型巡航ミサイル
・レーザー迎撃ユニット
・艦載ステルス機、HsF/A-49『シャープフレイム』によるクラスター爆弾
・艦内スピーカーから発声する
・艦内の相手の位置や音声を傍受する
・艦内を飛行する45cmの使い捨て自爆飛行ドローン
・航空戦艦を切り離して足場にする(切り離している状態でも航空戦艦のコントロールは可能)
- スクリュー
上条との戦闘で使用。肩口から放った、直径3m近くの材木切断用の丸鋸を大型化させたような八枚羽のスクリュー。
- ボイラー
上条との戦闘で使用。背中一面に展開した、装甲に包まれたカタツムリのような塊から炎を放つ。炎を打ち消した後も黒い煙が残り、視界を遮る等の役割を果たす。
さらにその後、燃焼され尽くした酸欠空気が充満し、並の人間を昏倒させる空間が出来上がる。
ムト=テーベ曰く、「大気中の酸素含有量はおよそ21%。これを半分に減らすだけで、人間を確定で昏倒させる死の気体が完成する」とのこと。
- ウォータージェット補助動力
上条との戦闘で使用。航空戦艦の艦橋を根元から切り飛ばすほどの超高水圧の刃を放つ。
- 接地銅板
上条との戦闘で使用。左右の掌から、艦内で作った莫大な余剰電力を海水へ逃がすためのアース線を展開し、紫電を放つ。
ムト=テーベ曰く「艦で使われる流体力学発電は交流の周波数60ヘルツで出力45万キロワット。原子力空母とか軽く超えているし、人間なんか一発喰らったら肉が弾け飛ぶ計算」とのこと。
欠点として、以下のようなものが挙げられる。
影がなければ『白い影』として取り込めない。具体的には、街灯を破壊されるなどして影がなくなると術式を行使できない。
地肌が作る影でなければ『白い影』として取り込めない。具体的には、衣服やダクトテープ等で体を隠され、帽子やヘルメット等で顔の地肌を隠されると術式を行使できない。
航空戦艦を展開している時やそれを足場としている時、外から錨を下ろされることで、脚の部分が崩されて潰れたり、揺れによって戦闘に支障が出ることもある。
航空戦艦を維持しながら移動する場合、走ったり跳んだりすることができず、歩くことしかできない。これは、元々航空戦艦は陸地用に作られておらず、無理に大きく動かすと自重で潰れてしまうため。
人域離脱
「人域離脱、リスク4。生と死、清と濁、静と騒、聖と悪、正と誤、二種の封印突破。速やかに起動せよ『デッドフェニックス』」
自身の存在を人の領域から繰り上げ、『白い影』の自由度を向上させる術式。
具体的には、兵器のサイズを現物大から変える、兵器の影からその知識を取り込む、といったことができるようになる。
その状態は『デッドフェニックス』モードと呼称されている。
作中では、航空戦艦の設備を攻撃に用いるにはサイズが大きすぎるため、適切なサイズに変更した。
また、それまで航空戦艦など科学側の知識が足りていないため雑に振るっていた攻撃を、管理マニュアル等から知識を吸い上げて酸欠などの多角的な攻撃に転化した。
なお、この直前に「必殺技とか叫んだ方が良い?」と問いかけており、口上は必ずしも必要ではない模様。
H・T・トリスメギストスの場合でも、感情が昂った際に口上を述べずに『人域離脱』している描写が時折見られる。
また、他の超絶者とは口上の形式が微妙に異なる。