ボロニイサキュバス
ぼろにいさきゅばす
「へえそうかの。でもそなた、ちょーっと同じ超絶者のわらわをナメまくりばい?」
淫らなサキュバスだけをかき集めて作った娼館を経営した罪、という「馬鹿馬鹿しい(ボロニイ)」死刑判決に登場する女悪魔。その名を持ったサキュバスの女性。
今のところ判明している『橋架結社』の中では比較的まともな感性や道徳を持つ超絶者で、意外と気配りが出来たり、サキュバスのくせに年頃の少年の裸を見て頬を赤めるという初心な一面もある。
禁書目録の登場人物らしい独特な口調で話す彼女だが(上条曰く「純国産ババア口調」)、これは下記の共通トーン作成に失敗した結果らしい。あの女狐のように変な日本語を覚えて喋っているのではなく、『いくつかの基本的な音』を重ねて組み合わせた音の塊を発している。
ボロニイサキュバス本人は、大雑把な意思さえ通じるなら細部はどうでも良い模様。
彼女が『橋架結社』にいる理由は、あらゆる冤罪被害者の名誉を回復するため。
ゆえに、たとえ『結社』の不穏分子である上条当麻であろうと、それが「不条理な冤罪」で殺されようとしているのなら救出する。
たとえ一時は簡単に扇動されて罪を犯そうとした者であっても、それが冤罪であるのならば、敵に操られている者の命だって見捨てない。
そんな彼女の馬鹿馬鹿しさを、上条は好きになった。
飛行
背中の翼を動かして自在に空を飛行する。空中での制止はもちろん、弾丸ほどの速度で放たれる攻撃すら容易に回避できるくらいの制御まで可能。
魔術というよりは純粋に肉体の性能によるものだと思われるが詳細は不明。
共通トーン作成
機械的な合成音声と同じく、『いくつかの基本的な音』を重ねて組み合わせた音の塊を発する技術(?)
操る言語が違う相手でも、頭の中で人の言葉に置き換える事で会話を可能にする。日本人の上条相手には、極東圏海上域とアルタイ語族の併用から日本語を再現していた。……なお、その口調は上条曰く「純国産ババア口調」であり少なくとも自然なものとは呼べない。
ボロニイサキュバス本人が動揺したりした場合、変換された声にノイズが走る模様。
『コールドミストレス』
大昔の宗教裁判には、インキュバスやサキュバスと寝た罪人の話がよく出てくる。実際は拷問で無理矢理言わされた捏造なのだが、その時に記録された証言には大体二つのパターンが確認されている。一つは、この世のものは思えないほど気持ち良かったもの。もう一つは、痛くて冷たくてひたすら苦しかったもの。
これはその逸話を元にした術式で、効果はあらゆる快の信号を丸ごと苦痛に置き換えるというもの。
食欲・性欲・睡眠欲といった動物的な欲望は、それを満たす事でより効率良く生きて子孫を増やすための指示ガイドとして機能している。他にも趣味や叶えたい目的のための行動など、その人間にとってやりがいのある行動も欲望の一つとして含まれる。
そういった生きるために必要な欲求を満たして得られる快楽を苦痛に変換する事で拒食症や不眠症を強制的に引き起こし、最悪自我の崩壊をも促して殺す事ができる。
調整すれば、ちくちくイライラという、狙った人間の意識の水面下で原因不明の不調を訴えさせる事も可能。
最初は戸惑う程度の小さな不調だが、しかし回避不能のこれは次第に大きくなっていく。いくら癒しを求めて鎮静化を促しても、全て逆効果。こうなってくると人間の頭は小さなイライラに支配されて、正体不明の原因を見つけようと手近な標的を憎むようになり、元の平穏を取り戻すために『敵と信じ込んだ異物』を排除しにかかる。
この術式の射程範囲は渋谷全体を覆えるほど広く、たとえボロニイサキュバスの姿や声が届かない場所にいたもしても彼女の『誘惑』は届く。
創約6巻では、数十万人規模の一般人を魔女狩り化させていた。
実は、扱い方次第ではあのアリスと相性全開で戦えるかもしれないと評価されている。これはアリスの好奇心旺盛な性質にとって、快楽を苦痛に変換するこの術式は天敵とも呼べるからだと思われる。