概要
『モンスターキャンディー』は、「ちゃお」で2004年9月号から2005年9月号まで連載された少女漫画作品。単行本は全2巻。
あらすじ
高校一年生の主人公・赤井姫香は転校を機に可愛い女の子になって、素敵な恋をしたいと夢見ていた。しかし転校先の学校で人の生き血を吸う宇宙人・チャイブに気に入られてしまった姫香は、夢見ていた生活とは真逆の波乱の学園生活を過ごすことになる。
登場人物
赤井姫香(あかい ひめか)
身長149cm / 体重39kg / B型
好きな食べ物:ラーメン
趣味:半身浴
カラオケで歌う曲:沖縄民謡
年齢:高1→高2(二部)
この物語の主人公。物語冒頭にて今作の舞台である星城学院に転校することになった転校生。
転校先の生徒である宇宙人・チャイブにとある理由(後述)から気に入られてしまい、それ以降主にチャイブ繋がりのおかしな事件や抗争に巻き込まれることになる。
基本的に明るく快活な性格で細かいことは気にしないプラス思考。また少々喧嘩っ早いところがあり、逆上すると口が出る前に手が出ている。だが根幹は年相応の普通の少女であり、傷つきやすく純粋で初心な一面がある。
「黄金律」という非常に稀な体質であることをチャイブに見抜かれ、そういった生物の血は非常に美味かつ接種すると延命効果を得られることから「チャイブ専用ごはん(家畜)」として以後付きまとわれ血を求められるようになる。
見た目は小柄で可愛らしい印象を受ける美少女。世間的にみてもそうらしく、転校初日は数多の男子生徒から「可愛い」と好評を得ていた。体形もスレンダーで、本人曰く「食べても食べても太らない体質」。長い髪をツインテールに結っているが、これは転校を機に髪型を変えたらしく、転校する前は髪を下ろしていた。髪色はブラウン系統(カラーイラストによって色味が変わる)。
このように見た目は可愛いのだが、とにかく怪力。握っただけでドアノブを破壊、ドアや目覚まし時計や銃も一撃で破壊、フォークや鉄パイプを難なく曲げる、ノリツッコミで人を骨折させぶっ飛ばす、ロールスロイスや数トンはある壁を持ち上げるなど、人間離れした腕力を誇る。そのため転校前の学校では壊し屋(クラッシャー)姫香と呼ばれていた黒歴史がある。しかし姫香本人は「大人しくて可愛い女の子になって素敵な出会いや恋をしてみたい」という願望が強いうえ、怪力を怖がられて友達がまったく出来ない事から、この力を疎ましがっているようす。
タイトルはおそらく"モンスター(ラキュラ星人)にとってのキャンディー(黄金律)"。つまり、そこにいるだけでモンスターに狙われてしまう存在である姫香を意味していると思われる。
チャイブ
この物語のヒーロー。ラキュラ星出身のラキュラ人。
異性の人間(生物)の血を吸うエイリアンで、悪魔やコウモリを思わせる黒く細い羽根と綺麗なブルーの瞳を持つ美少年。もともとは地球侵略のためにやって来たが、お遊び程度に星城学院に通っているようす。父親は地球に対しての無条件克服条約をいくらか地球人側に譲歩するよう変えられるほどの権力者。
ノリが軽く、ちょっと意地悪でお調子者。エイリアンであるにもかかわらず人間社会の学校で完全に打ち解け、昼休みには彼の昼食になりたい(血を吸ってもらいたい)女子たちが殺到するほどのモテっぷりを誇る、女子にも男子にも好かれる人気者。
当初は偶然見つけた黄金律の姫香を食料としてしか認識しておらず、地球の平和と引き換えにUFOに監禁したり、「黄金律の子供は黄金律かもしれないから、姫香が(ほかの男と結婚して)子供を作るのは全然OK」と笑って言うような男であったが、話が進むごとにだんだん姫香のことを食料としてではなく一人の女性として意識するようになる。
ラキュラ星の方が化学力が進んでいるせいもあって地球の勉学はスラスラと解けるうえ、ラキュラ人の中でも有能な部類らしく、運動能力も高ければコミュニケーション能力も高い完璧超人。語学が堪能で、最低でも7か国語を話せる。
名前の元ネタはハーブとして用いられるヒガンバナ科の植物「チャイブ」と思われる。
式部良世(しきべ いよ)
星城学院の生徒。丁寧な口調で喋り、登下校にロールスロイスを使用するお嬢様。
チャイブに付き纏われ、場所がどこだろうとおかまいなしに血を吸われる姫香の姿を見てショックを受けると共に同情し、仲良くなる。
代々物の怪と戦ってきた家系の出身で、チャイブのことを宇宙人ではなく物の怪の類・吸血鬼と捉えており敵視しており、姫香を危険にさらすチャイブを祓うことに(彼女なりに)尽力する。それ以降も姫香のよき友人として傍にいる準レギュラーキャラクター。
身なりは清楚そうな女の子なのだが実は男子。式部家では物の怪の呪いで長男が死にやすいため成人するまでは女として暮らすという掟があるため、女装して学校に通っている。本人も11歳までは自身の事を女だと信じて疑わなかったらしいが、初潮が来ない事で真実に気付いた模様。性別バレしたあとも男として振る舞うことは一切なく、性自認も完全に女性のようである。
セージ/新条星二(しんじょう せいじ)
ルゥフィー星人。犬のような耳と尻尾がついているが、ルナシールドという独自の技術でそれらを隠し、人間に擬態することができる。また満月の夜になれば狼に変身し、人を食らうこともできる。
チャイブとは以前から見知った仲らしく、《食べ物の恨み》でチャイブに嫌がらせを働くがひと悶着合った後に和解。二部からは出番こそ少ないものの、同じ学校の教室で授業を受けるクラスメイトになった。
名前の元ネタはハーブとして用いられるシソ科の植物「セージ」と思われる。
タイム
ラキュラ星出身のラキュラ人、チャイブの実兄。
過去の振る舞い(後述)からチャイブから非常に恐れられており、ゆえに兄弟仲はギクシャクしているようす。当初は地球侵略スピードが遅い事に腹を立てチャイブをおちょくりに、もとい叱責しに来たが、弟のお気に入りかつ黄金律の姫香に目をつける。
彼は名家の長男として生を授かったが、それゆえに期待が大きく、両親によって幼少期から厳しいスパルタ教育を受けて育った。だが弟・チャイブが生まれる頃には《ヤル気教育》という嫌いなものを無理強いさせずのびのびやりたいようにやらせるという教育法に切り替わっていた。それなのに自分よりも出来の良い弟に苛立ちを覚え、以後弟に対して自分が受けてきたようなスパルタを強い、彼から恐れられてしまうようになる。
結果的に姫香のおかげで意地を張ることをやめ、弟と無事に和解した。
名前の元ネタはハーブとして用いられるシソ科の植物「タイム」と思われる。
サントリナ
ラキュラ星出身のラキュラ人、チャイブの元婚約者。
親が決めた婚約であったもののチャイブの事を本気で好いていたが、いきなり婚約解消されてしまう。しかもその理由が「チャイブに気に入った家畜(姫香)が出来た」であることに不服を申し立て、地球にやってきた。
ラキュラ星の名家の出身かつナイスバディの極上の美少女だが、目的のためなら手段を選ばない節があり、姫香をあの手この手で陥れようと画策、命を狙うこともあった。最終的には姫香ともチャイブとも和解し、ラキュラ星でもっと素敵な相手を見つけると宣言。最後の最後で姫香にとあるイタズラをして帰っていく。
名前の元ネタはハーブやポプリとして用いられるキク科の植物「サントリナ」と思われる。
用語集
ラキュラ星/ラキュラ人
ネーミングの元ネタはドラキュラ。
見た目は人間とあまり変わらないが、悪魔やコウモリを思わせる黒く細い羽根を用いた飛行が可能で、生き血を主食とするため歯が鋭い。ただし吸えるのは異性の血のみ。
全体的に美形で独自のフェロモンを持っており、それが地球人にかなり効きやすいので、地球人から見ればラキュラ星人はみなフェロモンたっぷりの美男美女。また吸血する時に相手に性的快楽に近いものを与える為、一度でも血を吸われてしまえばだいたいの人間は快楽のとりこになる=恋をしていると錯覚してしまうらしい。また回復力が非常に高く、人間なら致命傷レベルの傷もあっという間に治る。
地球とは比べものにならない技術力と科学力を保有し、UFOはもちろんビーム銃、性転換シール、相手の体に付けるだけで動きを封じられる鎖やリボンなど、開発された道具は多岐に渡る。
物語開始前から侵略目的で地球に飛来している。余計な混乱を避けるために世間に公表していないだけで、実は物語開始時点で地球全土をほぼ侵略完了しているという恐るべき種族。
黄金律
完全に左右対称の肉体を持つ特別な生命体のこと。作中では赤井姫香が該当。ラキュラ人にとってそういった生命体の血は非常に美味であり、摂取することで延命効果が得られる。
作中では他にも美味しいとされる宇宙の珍味"人参果"や"マーメイド"なども挙げられているが、そもそも地球人の血がかなり美味しい部類らしく、その最上位互換である黄金律の姫香の血はラキュラ星人にとって至高の味であると考えられる。
ちなみに、黄金律に重きを置くのはあくまでも生き血を吸うラキュラ人のみの話であり、血液を主食としない宇宙人や人間からすれば、ほぼ無価値である。
姫香は"美少女(顔のパーツが整っている)"、"運動をしても疲れている様子がない(姫香は特に運動神経抜群キャラとして描かれていない)"、"健啖家だが食べても太らない特別体質"、"人知を超えた怪力"…などの特徴を持っているが、作中の黄金律が姫香のみであることから統計が取れないため、黄金律という体質が人体にどれだけの影響を及ぼすのかは不明である。
星城学院(せいじょうがくいん)
今作の舞台となる共学の学校。
校舎や施設はヨーロッパ風でオシャレな造りであり、姫香いわく「おハイソな学校、(備品を)壊したら高くつきそう」。伝統ある学院だが、特に厳しい規則はない。
が、エイリアンと国連が地球の派遣を賭けて話し合いをしている最中に平和維持のため宇宙人であるチャイブを世間に公表する事なく自校に通わせ、しかもそれが国家機密になっているなど、色々と大きなものを抱えている。
なお、チャイブが宇宙人であることは星城学園に通う全校生徒が知っている。学園内では血を吸われても無害ということになっており、ある意味治外法権な学校である。
余談
- 作中の宇宙人にはハーブの名前が用いられている。
- Webサイト『ちゃおコミ』にて、本編最終回後のストーリーとなる"モンスターキャンディー その後のお話"が無料掲載されている。最終回を読んだ全員が気になっているであろう"あのコト"や、本編で活躍したキャラクター達が集ったファンにはたまらない読み切りとなっているので、気になった方は検索をオススメする。