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概要

CV:諏訪部順一

七崩賢断頭台のアウラ配下「首切り役人」のリーダー格。

自身の血液を自在に操る魔法《バルテーリエ》の使い手。

人物像

冷静沈着な理論家肌の魔族で、魔法に対して「努力と研鑽によるに発展こそ意味がある」という独自の美学を持ち、それを無視して短期間で魔法を極めてしまう天才という存在を毛嫌いしている。

その一方で自分たち魔族が「言葉の通じない猛獣」であることを自認・肯定しており、グラナド伯爵と戦闘になった際は、暴力に訴えるしかない状況を楽しんでしまっていることを自嘲している。

活躍

これまで自分たちが攻めていたグラナト領との戦いを収めるという名目でアウラ側の遣いとしてリーニエドラートを伴って領の主都に入り込み、そこの領主と接触を図っていた。しかし、それは所詮建前に過ぎず、実際は主都を守っている結界を解除し、アウラ率いる本隊を招き寄せることが本当の目的だった。

が、ドラートが直前に捕らえられた旅のエルフの女性を危険視し、勝手に殺そうと牢を襲撃、看守も殺した事で敵対の意思が露呈してしまう。

兵士に包囲され懐柔を諦めた彼は、仕方なく返り討ちにし、力尽くで結界を解かせようと領主を拷問するが、その時やってきたフェルンシュタルクの不意打ちで領主を救出される。

自身の血の痕跡からリーニエと共に二人を追跡、そこで改めてフェルンと対峙することとなり、彼女の魔力を自分よりも低いと判断して攻撃を仕掛ける。

しかし、想像を超える彼女の手数の多さや魔法の射出速度に対処が追い付かなくなったことで徐々に焦りが生じ始め、リーニエがシュタルクに倒されたことに気を取られた隙に彼女のゾルトラークを受けて敗北。

今際の際に弱いと思ったはずのフェルンが自分を圧倒できたカラクリ(魔法力が低いと誤認させて油断させる戦法)に気づき、彼女を魔法使いの誇りを汚す卑怯者と罵りつつ引導を渡された。

魔法

  • 血を操る魔法《バルテーリエ》

自身の血液を自在に操る。鞭のようにしなやかに打ち据えたり、軌道を変えて死角から突いたり、硬化させて防御に用いたりと攻守どちらにも優れた魔法である。

魔力を込めた血液を敵の衣類等に付着させることで、居場所を探る発信機のように使うことも可能。

また脇腹を大きく抉られても(リーニエなら死亡しているダメージ)、止血と称して欠損した肉体を血液で補うことで復活するなど、魔法使いの中ではかなりのタフさも持つ。

フェルンに敗北し、上半身の大部分を失う死に体となってもまだ喋れるほどにしぶとくなる。

余談

リュグナーはドイツ語で「嘘つき」を意味する。その為ドイツ人やドイツ語の分かる読者は名前を知った時点でこいつへの不信感を露わにしたとか。

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  • [장송의 프리렌 드림] 류그너를 사랑한 트리퍼

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  • アウラ様にママみを感じてオギャりたいリュグナー

    なんとしてもアウラ様をお母さんと呼びたいリュグナーの話。 セリフベース。短め。
  • 無意味なものではなかったと、思いたい

    リュグナーが作中「私は魔法が大好きでね」「天才は嫌いだ」「人生の大半を魔法に捧げてきた」と言っていたのが好きで、そのあたりの心の動きを、自分なりに考えて書いてみました。リュグナーはとてもまじめなので、その言葉通り、本当に人生の大半を捧げるつもりで魔法にものすごく真剣に打ち込んできたのだろうなと思います。そんなリュグナーは、リーニエのことをとても評価しているのが、作中の言葉の節々に感じられます。「リーニエは魔力探知が得意で」「人間の魔法使い如きがリーニエの魔力探知を搔い潜っただと」「可哀想に。リーニエ相手では碌な死に方はしない」……。リーニエの能力を認め、評価し、そしてその能力の、強くなれる無限の可能性(リュグナーにはそう見えていた)に期待していたのではないかと思いました。リーニエの能力は模倣なので、「自分」だけでなくもっと強いものになれる大きな素晴らしい可能性を秘めているようにリュグナーには感じられ、「天才」に近いものを感じてそれを羨むというか、眩しく感じていたのでは、だからドラートよりも目をかけていた(ように私には見えたので)、傍に置いていたのかな、と思って、そのあたりのリュグナーの心の葛藤というか、リーニエに対するそういうものを書いてみたいと思い、書きました。リーニエは、作中「わがままだな」とは言うものの、常に反抗的ではなく、リュグナーの意思に従い、魔族の中では珍しく(リュグナーもですが)、自分の意思でリュグナーを守ろうとしたりと付き従っています。リーニエにとって、リュグナーは「敵わないもの」であり、「自分が模倣出来ない初めてのもの」だったりしないだろうか、だから大人しく従うのではないか(その血液を自在に操る力は、リュグナーの積み重ねてきた努力、探求の、血のにじむような年月の結果あんなに強力になったのであって、リーニエには仕組みや魔力の動きが分かったとしても、到底真似出来ないような高度な技術で、模倣しようとしても出来ないのではないか)(拾われた頃からずっと首切り役人としてのふるまいや知識を教え込まれていた恩のようなものもあり)と思い、それも書きました。リュグナーは、アウラの下についているし、七崩賢のような大魔族でもない。そういう自分の限界のようなものも痛いほど分かっていて、けれども「魔法が大好き」で。そんなどこか報われないところがとても人間くさくて好きです。そういうリュグナーを、リーニエが無意識に、どこか救っていてくれたらいいし、そういう互いを補完しあうリュグニエが理想なので、今回書いてみました。また、126話で「近接戦闘という一点において魔法使いは戦士に殆ど太刀打ち出来ない」というくだりがあったので、リーニエにもそれはあてはまるだろうなと思い、それを組み込んでみました。 いつものリュグナーよりもこう、ネガティブなので、もしかしたら気に入ってもらえないかもしれません。でも悔いはありません。集大成に近いものです。宜しければ読んでやってください。
    10,862文字pixiv小説作品
  • 月を手に入れる方法(きっと教えてもらえない)

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  • 現代転生のアウラ

    魔族、再会、作戦会議

    こういうのが見たい、を書くために必要な設定を考えていたら、登場人物にそれを説明させる準備回になってしまいました
  • それは、入口のない悪夢だった

    ドラート視点のリーニエ×リュグナーです。直接的な行為の台詞や描写はありませんが、リーニエがリュグナーに、様々なことをしていることが分かる文章があります。よくない話なので、ご注意ください。飼われていた子犬がいつの間にか得体の知れない獣に成長していて、飼い主だったはずのものを逆に愛玩する話。 前回「STRANGE PARADISE」で、リーニエの中にリュグナーをどうにかしてしまいたい気持ちが芽生えたところまで書きました。そこまでで本当は終わりたいのですが、それ以上もし進んだら……という妄想を文章にした、完全なifです。「STRANGE PARADISE」以外の話とは繋がっていないし、この先もこの話は続きません。リーニエとリュグナーは、そういうことをしない。それは自分の中でも大前提だったはずなのに、自分の「書いてみたい」という気持ちに負けて書いてしまいました。これきりにするつもりです。許してください。 ※リーニエはけしてリュグナーを騙すために「まだ幼い頃の自分を残すリーニエ」を意識して演じているわけではなく、昔からずっと傍に居たリュグナーの前では昔のままの自分で居ていいと思っているし、自然とそうなってしまうだけ。ありのままの自分をリュグナーの前ではいつも見せている。けれどドラートは幼いリーニエを知らないし、リーニエもあえて誤解を解こうとしないし、ドラートにはリュグナーほどの信頼などはないので、リュグナーとは別の、もう少し他人行儀なふるまいをしている、それがドラートには「演じている」と見えているだけです。 リュグナーはリーニエに何もしません。ただ、されるがまま。リーニエが本当は大人になっていて、もう子供ではないということは、分かっていたつもりだった。でも、リュグナーが思っていたよりももっとリーニエは違うものになっていて、自分の見てきたリーニエや、小さかった時との差に戸惑っている。今までリーニエは自分には何をしても許してもらえると思って平気で甘えてきたのを、リュグナーは仕方ないやつとある程度許してきた。そんなでも、ちゃんと従順に言うことを聞いてきたし、アウラや自分の番犬としてのつとめを素直にこなしていたから。魔族は、体が傷付けばたちまち塞がるわけでも回復するわけでもなく、その回復力は優れておらず、人間程度の治癒期間が必要というのが「放浪する天秤」でうかがえました。自分に触るリーニエをやめさせ、制裁するだけの力がリュグナーには当然あるけれども、リーニエを傷付けてしまえば勇者ヒンメルたちに敗走後不死の軍団を失って無勢になってしまったリュグナーたちにとって、更に不利益になってしまい、力でリーニエを止めることがリュグナーには今出来ない。更に、ドラートもリュグナーには信用しきれない。リーニエを突き放すことで、自分やアウラを裏切ることはないと安心して傍に置いておけるはずのリーニエを今失うことになったらという葛藤もあって、リュグナーはリーニエをやめさせられないで、されるがままになっている。 ドラートは、リュグナーに自分の力を認めてもらいたい。自分よりも信頼されている(とドラートには思える)リーニエが気に食わないし、手合わせでもいつも押されがちで、なんでこいつには…と面白くない。だから承認欲求が常に満たされないドラートにはリーニエのことがマイナスに、邪魔に見えているし、リーニエには悪い見方しか出来ないため、悪いものであるような書き方をしていますが、あくまでドラート視点だから、なのと、リーニエはそもそも魔族なので、様々な魔族らしさもあるのではないかと、(リーニエを今まで普通の女の子のように書いてきたので、今一度人間でない女の子を意識し直して)私なりに魔族の不気味さが出るように、「リーニエ」の描写を変えて書きました。 リーニエはけしてリュグナーを騙すために「まだ幼い頃の自分を残すリーニエ」を意識して演じているわけではなく、昔からずっと傍に居たリュグナーの前では昔のままの自分で居ていいと思っているし、自然とそうなってしまうだけ。ありのままの自分をリュグナーの前ではいつも見せている。けれどドラートは幼いリーニエを知らないし、リーニエもあえて誤解を解こうとしないし、ドラートにはリュグナーほどの信頼などはないので、リュグナーとは別の、もう少し他人行儀なふるまいをしている、それがドラートには「演じている」と見えているだけです。
  • STRANGE PARADISE

    リュグニエというより、リーリュグです。眠れないリーニエは、リュグナーの元を訪れるが…… 自分を傷付けないリュグナーに甘えるあまり、リュグナーをどうにかしてしまいたい気持ちが抑えきれなくなるリーニエの話。 優しく、穏やかな話ではありません、「甘い鎖で繋がれている」系統の話。今までの話とは(特に「花のゆくえ」とは)繋がっていません。成人向け描写はありませんが、少しだけCP色が強いです(リーニエも、まだ後戻り出来るところにいる段階で話は終わりますし、リュグナーもリーニエに一切手を出しません) 二人に恋愛感情はありません。けれど、いとおしいという感情によく似たものがあって、それをどうしたらいいかリーニエには分からない。 リュグナーは自分たちがどこにいるかもよく分かっているので、意識的にリーニエに触らないようにしています。そのため引き剥がせず、ただリーニエが自分から止めるのを待っている。自分を傷付けようという害意や殺意がリーニエの中にないことがリュグナーにはよく分かっているので、ある程度は好きなようにさせておくつもりです。ただ、どこまでは許して、どこからだめだと言うべきなのか、考えあぐねている。そしてそれをするならどうしてそれはだめなのか、理由もつけなければならない。その理由は、どうすべきなのか。リーニエに害意がない、悪意がない、それならだめだと拒む必要は本当にあるのか。リュグナーも手探り。リーニエも手探り。けれども本当に踏み越えてしまったら、一度でもゆるしてしまったら、確実に、前と同じものには戻れない。
  • 星を繋ぐ

    エーラ流星をリュグニエで一緒にみてほしいという気持ちで書きました。 フリーレンたちは魔王討伐の凱旋の時に流星を見ていました。その時アウラ軍勢はまだ廃屋に隠れ潜む生活。その中で眺める夜空はどんなものだったろう。リュグナーは「積み重ねたものの美しさがない」という言葉を口にしているので、流星群に対して美しいという概念(星の、きらきらした見かけの美しさではなくて)を持って感じ入ることがもしかしたらあったのではという妄想です。その次のエーラ流星も、共にまた眺めていてほしい。とても長い年月を共にしてきたリュグニエ~……傍に居てくれてありがとう リュグナーとリーニエ 名前に同じ文字がふたりだけあってとても好きです リュグナーが名前をつけてあげてたらいいなって。リュグナーが無意識に自分の名前からひとつとってあげてたらいいな妄想です。それぞれ点でしかなかった(魔族)(リュグナー)を、「線」であるリーニエが結んでいるのってとてもエモです
  • それはやがて、胸の中へと続くもの

    リーニエがリュグナーに拾われてから数年後くらいの、まだリーニエが今よりずっと幼い頃の、ある雪の日の話です。 リュグナー視点です。いつの間にかリーニエ中心の日々になっているリュグナーが描きたくて書きました。いつまでもずっと一緒に居て欲しい。
  • リーニエがシュタルクにハンバーグを作ってもらう話

    こんな世界線があって欲しかった‥‥ まぁ、あまり殺伐とはしてません。ほのぼのと読んでいただけたら幸いです。 見てくれている人がいるって幸せなことなのかもしれませんね。あ、色々設定無視してるかもです。あらかじめご了承ください。 それでは、またどこかで。
  • 甘い鎖でつながれている

    とてもよくない絆で結ばれているリュグナーとリーニエの話を書きました。後ろめたい秘密を共有するふたりを許せないドラート。リュグニエかもしれないし、リーリュグと見れるかもしれません。成人向けではありませんが、不健康ですし、今までの話とは大分テイストが違うので、やさしく穏やかなリュグニエではありません。「こんなリュグニエもifとしてはどうか」と思い書いたものなので、今までのリュグニエとはまた別軸と考えてもらえれば幸いです。過去に書いた「赤い林檎は好きじゃない」というドラート視点の話を踏まえている部分があります。最初はドラート→リュグナー、途中からリュグナー視点のリュグニエ(リーリュグ)にうつります。いつもよりもCP的な表現が多い話です(所謂恋人のようなことはしません)。何でも許せる方向け。 強いストレスを感じると、動物も自分の体を咬んでしまったり、尻尾を舐め続けて脱毛するなどといった自傷行為をすることから話を膨らませています。 ある雨の夜ドラートはリュグナーの腕に残る古い傷を偶然見つけてしまう。それは戦闘で誰かに負わされた傷ではなく、まだ幼いリーニエが遠い昔にリュグナーに作った咬み傷だった。 番犬のくだりは過去に書いた「これはずっと、私の犬(もの)」から。
  • スパロボ戦闘前会話風シリーズ

    断頭台のアウラ&首切り役人(葬送のフリーレン)

    今回は葬送のフリーレンから序盤のボス、断頭台のアウラ様と首切り役人の掛け合いを出したじゃない 今回は『ポケモン中毒(笑)さん』と合作を依頼したじゃない、ありがとうじゃない そして今回『ダイの大冒険』とのクロスオーバーみたいな設定が組み込まれてるじゃない そこが苦手だったらごめんなさいじゃない。 ポケモン中毒さんからの追加リクエストをいただいたのでページ増設しておきましたじゃない。 (仮面ライダーとかボーボボとか色々あるじゃない、)ありがとうございますじゃない。
    26,864文字pixiv小説作品
  • 私たちはいつまでも未完成

    りんごのお酒を飲んでしまったリーニエの世話をリュグナーがするお話です。今まで書いてきたリュグナーとリーニエの話(「焦がされる」、「月を手に入れる方法」、「リーニエはリボンを結べない」)を踏まえています。リュグナーは全く自分にはその気がないのに無意識にリーニエに甘かったり、リーニエもリーニエでリュグナーに従順でありながらも無意識に甘えていたらいいのになと思って書きました。
  • 秀才の魔女

    秀才の魔女

    リュグナー様の夢小説です。最後の最後で自覚するリュグナー様の話。 以下は本編読了後に是非お読みください(長い) . . . . . 「ここに来る途中に廃村のようなものがあったんだけど、それについて知らない?」 街を歩く通行人に銀髪の少女が尋ねる。人間とはまた違った種族であろう長い耳を持つ少女の傍らには、紫がかった長い髪の女性と赤髪の男性が控えていた。 街でも見たことのない顔ぶれに、冒険者だろうと判断した通行人は納得したように口を開く。 「あの廃村には誰も近寄りたかないのさ。なにせ、黒い魔女の村だからね。」 「……黒い魔女の村?」 「ああ。かつて魔族と共謀し、村を破滅に導いた裏切りの魔女。あの廃村はその魔女が暮らしていたせいで滅ぼされたのさ」 魔女の村からほど近いこの街では誰もが知り、誰もが恐れるこの話を聞いても銀の髪のエルフは表情を崩さない。 「確か30年も経っていなくてねぇ。勇者ヒンメル様が亡くなってすぐだったよ。あたしがまだ小娘の頃で、勇者様がお亡くなりになったからだとか騒がれていたっけ」 誰も怖がって調査に行きたがらないんだ。確か報酬が出ていたよ、冒険者さん。 通行人の言葉にエルフは初めて表情を変えた。 「まったく、報酬に魔導書を貰えると聞いたらすぐ引き受けるんですから……」 杖を手にフェルンは呆れ顔で瓦礫を空中へと浮かせる。黒い魔女の村と恐れられている廃村は、襲撃の爪痕が残るもののただの廃村に過ぎなかった。 調査は今日中に終わるだろう。そう予測しながら村の最奥に進み、フェルンは目を見開いた。 廃村に似つかわしくない、淡い桃色の花が美しく群生している。その中心に何かがある。 墓碑だ。 ぽつんと佇むただ一つの墓碑は、石を伐り出した簡単な造りで丁寧さはなく、一般的につくられる墓とはまた少し違っていた。 もっと明確に表すならば、子供が訳も分からず初めでつくったかのようなちぐはくさと違和感を残していた。 手入れもされておらず汚れた墓碑をきれいにすると、辛うじて弔われた人物の名が読み取れた。そして、 「…秀才の、魔法使い」 フェルンは文字を指でなぞりながら呟く。 驚くことに弔われた人物の名は、街に伝わる裏切りの魔女のそれと一致していた。 そして彼女の名の後に、秀才の魔法使いという文言が記されている。 この名を一度だけどこかで聞いたことがなかったか。秀才という言葉を使った人物はいなかったか。 そう、自身の師が断頭台のアウラと戦っていた時に自分が対峙した――――― 魔族と共謀した裏切りの魔女の名と、この墓に眠る者の名。 秀才の魔法使いという言葉。 あの魔族が最期に口にした自問自答。 まさか。 「フェルン?何か見つけたの。」 いつの間にか歩いてきていた師の問いかけにはっとする。こめかみから汗が伝った。 「墓碑か。きっと後から誰か弔ってくれた人がいたんだね。」 その言葉にフェルンは瞬いた。そして同時に自分の中に渦巻いていた仮説を振り払う。 そうだ。フリーレン様の言う通り、襲撃から生き残った人間のうち誰かが大切な人を弔ったのだろう。そもそも魔族に弔いという概念があるはずがない。 大切な人を失う悲しみや、死者との思い出を憩う営みを理解していない魔族がこのような墓碑をつくる訳がないではないか。 「…そうですね。きれいにしておきました、フリーレン様。」 フェルンは墓碑へ向き直ると、そっと祈りを捧げる。 そして立ち上がり、フリーレンと共に踵を返した。 ほんの一瞬組み上げたある仮説。 それは一瞬で桃色の花を揺らして吹き通る風と共に、すぐにどこかへ消えてしまった。
  • ずっと、光のようなものだった

    以前に書いた、リュグナーがまだ幼いリーニエと共に雪の降る中をふたり歩いていく「それはやがて、胸の中へと続くもの」という話の未来の話です。その時と同じように、雪の中に居るリュグナーとリーニエ。けれどもその時とは何もかもが変わっており、リュグナーは過去を懐かしまずにはいられない。今まで根城としていた場所を追われて、ゆくあてのない放浪の旅のさなかにいるリュグナーたち。けれども暗鬱な未来を心の中で一人嘆くリュグナーに対して、リーニエは……。 ヒンメル一行との戦闘で敗走後、アウラ軍勢は追手の追跡を逃れるため北部高原を目指し、豪雪の中山を越えるのに半年もの月日を要したと「放浪する天秤」にありました。雪の中であの二人は公式で同じ時間を共有していたんだ!と感激したのと共に、リュグナーの胸中はどんなものだったのか……とも思い、今回書いてみました。「御意に」は実際に「放浪する天秤」でリュグナーが言っていて、お~っ主従~!と嬉しくなったので、今回言ってもらいました。 リーニエは、マイペースだけれども、まじめで責任感の強い努力家のリュグナーにとって唯一ふっと気を抜けるような、そうしてリーニエの面倒を見てるようでリュグナーにとってはどこかで支えになるような存在だったらいいなと思います。現実がよく見えすぎるリュグナーを、だいじょうぶだよ、とそう言い返してしまえる、楽観的に見えはするけれど、全くお前は、と思わず笑って、リュグナーの中の苦痛を和らげてくれるような。リュグナーの傍にいつまでもずっと居るリーニエ。公式のイラスト風エンドカードのような、あたたかい作品を目指しました。 「無意味なものではなかったと、思いたい」「花のゆくえ」と共に、自分の中の集大成になるものだと思います。リュグニエ大好き。読んで下さり、今まで本当に有難うございました。
  • 両翼

    リュグナーの部屋にはリーニエが食べるための「手持無沙汰りんご」があるといいなという妄想です。リュグナーとリーニエは生きてきた年月や魔力の差があり、様付けをしたり目上の相手に対する振舞いをリーニエがリュグナーにしながらも、どこかで対等なのがとても好きです。リュグナーの方があらゆるものことに長じていながらも、リーニエがいるから出来るものがあるし、決断できるものがあったりしたら(どこかで支えられているものがあったら)いいなと思って書きました。

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