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概要

CV:諏訪部順一

七崩賢断頭台のアウラ配下「首切り役人」のリーダー格。

自身の血液を自在に操る魔法《バルテーリエ》の使い手。

人物像

冷静沈着な理論家肌の魔族で、魔法に対して「努力と研鑽によるに発展こそ意味がある」という独自の美学を持ち、それを無視して短期間で魔法を極めてしまう天才という存在を毛嫌いしている。

その一方で自分たち魔族が「言葉の通じない猛獣」であることを自認・肯定しており、和平交渉を装った計画がバレて戦闘になった際は、暴力に訴えるしかない状況を楽しんでしまっていることを自嘲している。

活躍

これまで自分たちが攻めていたグラナト領との戦いを収めるという名目でアウラ側の遣いとしてリーニエドラートを伴って領の主都に入り込み、領主のグラナト伯爵と接触を図っていた。しかし、それは所詮建前に過ぎず、実際は主都を守っている結界を解除し、アウラ率いる本隊を招き寄せることが本当の目的だった。

息子をアウラ軍との戦いで亡くし、魔族を激しく憎悪する伯爵に対して、その息子の部屋が昔のままに綺麗に保たれている事を見抜いた上で、「私もあなた方に殺された父上の部屋はそのままにしてあります。もう止めにしませんか。」と情に訴えかけて動揺させ、彼の殺意を一時的ながら留まらせた。

しかしその直後、「『父上』って何?」と尋ねるリーニエに「何だろうね?」と笑いながら答える。魔族にとっては親子や家族意識など皆無であり、リュグナーは「人間の心に影響を与える便利な単語」として用いたに過ぎなかった。

が、リュグナー一行に敵意を見せて捕縛された旅のエルフの女性を危険視したドラートが、彼女を始末すべく独断で牢を襲撃、牢番も殺した事で敵対の意思が露呈してしまう。

兵士に包囲され懐柔を諦めた彼は、仕方なく返り討ちにし、力尽くで結界を解かせようと伯爵を拷問するが、その時やってきたフェルンシュタルクの不意打ちで伯爵を救出される。

自身の血の痕跡からリーニエと共に二人を追跡、そこで改めてフェルンと対峙する事となり、彼女の魔力を自分よりも低いと判断して攻撃を仕掛ける。

しかし、想像を超える彼女の手数の多さや魔法の射出速度に対処が追い付かなくなって徐々に焦りが生じ始め、リーニエがシュタルクに倒された事に気を取られた一瞬の隙を突かれ、フェルンのゾルトラークを受けて敗北。

今際の際に、弱いと思ったはずのフェルンが自分を圧倒できたカラクリ(魔法力が低いと誤認させて油断させる戦法)と、フリーレンも同じように魔力量を偽っていた事に気づき、伯爵に対する自分の所業も棚に上げて、「卑怯者め、お前たちは魔法使いの風上にも置けない」と罵るも、「それはフリーレン様が一番よくわかっている事です」と返すフェルンに引導を渡された。

魔法

  • 血を操る魔法《バルテーリエ》

自身の血液を自在に操る。鞭のようにしなやかに打ち据えたり、軌道を変えて死角から突いたり、硬化させて防御に用いたりと攻守どちらにも優れた魔法である。

魔力を込めた血液を敵の衣類等に付着させることで、居場所を探る発信機のように使うことも可能。

また脇腹を大きく抉られても(リーニエなら死亡しているダメージ)、止血と称して欠損した肉体を血液で補うことで復活するなど、魔法使いの中ではかなりのタフさも持つ。

フェルンに敗北し、上半身の大部分を失う死に体となってもまだ喋れるほどにしぶとい。

余談

リュグナーはドイツ語で「嘘つき」を意味する。その為ドイツ人やドイツ語の分かる読者は名前を知った時点でこいつへの不信感を露わにしたとか。

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  • [장송의 프리렌 드림] 류그너를 사랑한 트리퍼

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  • 両翼

    リュグナーの部屋にはリーニエが食べるための「手持無沙汰りんご」があるといいなという妄想です。リュグナーとリーニエは生きてきた年月や魔力の差があり、様付けをしたり目上の相手に対する振舞いをリーニエがリュグナーにしながらも、どこかで対等なのがとても好きです。リュグナーの方があらゆるものことに長じていながらも、リーニエがいるから出来るものがあるし、決断できるものがあったりしたら(どこかで支えられているものがあったら)いいなと思って書きました。
  • 星を繋ぐ

    エーラ流星をリュグニエで一緒にみてほしいという気持ちで書きました。 フリーレンたちは魔王討伐の凱旋の時に流星を見ていました。その時アウラ軍勢はまだ廃屋に隠れ潜む生活。その中で眺める夜空はどんなものだったろう。リュグナーは「積み重ねたものの美しさがない」という言葉を口にしているので、流星群に対して美しいという概念(星の、きらきらした見かけの美しさではなくて)を持って感じ入ることがもしかしたらあったのではという妄想です。その次のエーラ流星も、共にまた眺めていてほしい。とても長い年月を共にしてきたリュグニエ~……傍に居てくれてありがとう リュグナーとリーニエ 名前に同じ文字がふたりだけあってとても好きです リュグナーが名前をつけてあげてたらいいなって。リュグナーが無意識に自分の名前からひとつとってあげてたらいいな妄想です。それぞれ点でしかなかった(魔族)(リュグナー)を、「線」であるリーニエが結んでいるのってとてもエモです
  • あれは全部、ワインのせいだった

    前奏の4章「放浪する天秤」本当に良かった……!それを下敷きに書いているので、「放浪する天秤」にまつわる場面が多数あります。この話も、「放浪する天秤」でドラートがリュグナーに「今のアウラ様に付いていく理由が分からない」と言ってリュグナーに釘を刺された直後の話になります。そのため、読んでいない方にはネタバレになってしまうので、ネタバレに抵抗のある方はお読みにならないでください。 「放浪する天秤」が出版されるまで、はっきりしていないところもあったので、自分のオリジナル歴史(ヒンメルとの戦闘時リーニエはアウラのもとにまだおらず、その時に偶然出会った野良リーニエの潜在能力に気付いたリュグナーがリーニエを拾ってきた…という。放浪生活は殆どしていない)でリュグニエを書いていましたが、この話では「放浪する天秤」を参考にしています。(ヒンメル戦闘以前からリーニエ・ドラートはアウラのもとに居り、敗走後は北上して廃屋を見つけ出しそこに潜伏しているアウラ軍勢の話) リーニエがリュグナーに甘えているし、リュグナーもまた自分にリーニエが甘えるのを許しています。 リーニエが、私がリュグナー様の傍に「居てあげる」という言い方をしていたら可愛いな…と思い書きました。 美味しいともまずいとも感じないワインでしか気を紛らわせないリュグナーが、不憫でした。三人のお世話、アウラへの配慮、気遣い、自分が何もかもするしかないと、常に気を抜くことも出来ず。そんなリュグナーにとって、リーニエは、唯一警戒する必要も、気疲れする必要もなく、話していたり一緒に居てふっと気を抜くことの出来るかけがえのない存在だったのではないかと思いました。 放浪する天秤を読む限り、リーニエにはアウラを恐れる感情はあるようだけれど、アウラの庇護をあてにしているとか、アウラのためにとか、そういうものよりも、リュグナーがそうするから自分もそうする、リュグナーがそう決めたから自分もついていくのを選ぶというような印象を受けました。それもあって、この話を書きました。 このあと結局リュグナーも眠ってしまい、アウラが帰ってきて、二人ともたたき起こされます。お酒を飲むと眠くなる。バルテーリエは血を操る魔法なので、まじめですべてに手を抜かないリュグナーのことだから血液へのアルコールの影響も懸念して本当はいつも飲むのは少量なのだろうとも思いつつ。。 リュグニエ可愛い。いつまでも一緒に居てほしい。いや、居た。
    10,676文字pixiv小説作品
  • 蝶に触れる

    リュグナーと、まだ小さな頃のリーニエの、蝶にまつわる話。リーニエが傍にいて当たり前になっているリュグナーの中の、まだ意識されないいとしさみたいなものを描きたいと思って書きました。
  • 赤い林檎は好きじゃない

    ドラート視点のリュグナーとリーニエを書いてみたかったので書きました。ドラートが「先走った」のは、リュグナーやアウラに自分を認めて欲しい、手柄を褒めてもらいたいという欲求がとても強かったからかなと思い、そのあたりを書きたかったのと、リュグナーもリーニエもお互いには見せないけれど、それぞれの知らないところで何らかの感情(慈しむという心だったり、愛おしい?という心だったり)を示していたらいいなあと思って、それをドラートがたまたま目撃してモヤモヤする……という話です。ドラートは結構リュグナーが(恋愛的な意味ではないけれども)好きです。それで寵愛を受けている(と見える)、そんなに強そうでないリーニエのことが気に食わない……のでモヤモヤ。本編中ドラートはリーニエを呼んでいないので何と呼んでいたか分からなかったのと、リーニエをライバル視しているのであえて「アレ」とか嫌そうな意味を込めて「リーニエ」と呼ばせています。 リーニエがリュグナーの番犬だとか、幼い頃にリュグナーを闇討ちしようとした魔族から~のくだりは以前投稿した「これは、ずっと私の犬(もの)」から、リーニエのリボンのくだりは「リーニエはリボンが結べない」から、リュグナーの温室のくだりは「その花が開くのを、待っている」で触れています、が、この話単発でも分かるように書いています。 リュグニエ好きだ……
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    短い眠りの中で、リュグナーは悪い夢を見る。それはリーニエが自分の目の前で無数の花びらに変貌し、風に奪われて消えてしまう夢だった。 リュグナーは、リーニエが幼い頃からずっと、リーニエを見てきたのだという認識です。それならリーニエの魔力がどれだけ増えたか、どれだけ強くなったかという変化の他に、幼女から少女へ、おとなに近付き始めるその繊細な成長の変化にも気付いているに違いないと思いました。幼かったから、「よく出来たな、リーニエ」と言って褒めてやり、撫でてやることも容易く(犬や猫にするように)ただの習慣として普通に出来たことも、おとなにリーニエが近付いていくにつれて躊躇し、むやみに触れるべきではないと無意識に自分を制するリュグナーの心の動きが書きたかった。リュグナーというキャラクターは美しく、気高い。性欲とかそういうものは彼の中にはないと思っています。が、リーニエは女の子なので、男同士(ドラート)のような扱い方はリュグナーはしないだろう、もう少し丁寧に配慮してあげているのだろうと思うのと、リーニエが「様」以外の敬語をリュグナーに対してしない、そしてそれをリュグナーもよしとしているなど、本編中のそれぞれのセリフからうかがえるふたりの距離感もあり、リーニエを自分に一番近いもの(アウラはずっと目上の存在であり、ドラートはまたずっと自分よりも下の存在である)と考えているのだろう、けれどもリュグナーが男性の魔族でリーニエが女の子の魔族である以上、どれだけ親しく(?)していても踏み越えてはならない一線というものがいくら魔族でもあるはずで、幼くじゃれてくるあどけない子犬みたいな野生児がいつのまにか花のようなひとりの女の子になっていたら、ふとした時にそれに気が付いてしまったら、何かしらの葛藤(このままの接し方でいいのかという。)がリュグナーの中にも生まれたことはあるんじゃないのかと思って、(しかも恐らくリーニエは全くそういうことには無頓着だろうから、変わらずリュグナーにガンガンくるはずで、猶更それがリュグナーを悩ませる)そのあたりをいつか書いてみたいと思っていました。「魔族には魔物と同じで子育ての習慣が無く産み落とされてから~」と本編中フリーレンが言っていたため、魔族も動物と同じような方法で繁殖するはずだと思うのですが、それはそれぞれ発情期があって本能的に襲われるものなのか、人間と同じように繁殖をするしないを理性で選べるのかは分からないけれど、リュグナーは理性でそれを選べるはずで、更に、彼にとってはそういうものは障害というか、邪魔でしかないはず(人生の大半を魔法に捧げてきたほど、魔法だけを追い求めてきたひとなので)という大前提を置きつつも、それまで子供だと思っていたものがいつの間にか女の子になっていて、更にずっと自分の傍にいて当たり前で、自分の所有物みたいに錯覚していたリーニエの変化をまざまざと目の前で実感した時、何か鋭く彼の理性をざらつかせる一瞬があったことも可能性として否定はしきれないよな……という妄想です。そういうものが一度でも過ぎってしまったら、リュグナーはそれがどういうものなのか考えることすら醜く卑しいことだと無意識に反発して自分を抑え込んでしまうし、リーニエを当然遠ざけようとするし、離れようとするし(リーニエのためだけではなく、自分のためにも)、わちゃわちゃするんだろうなって……。 どうかずっと離れないで傍に居て欲しい。離れようとするリュグナーを、リーニエは当然のように追いかけるし、傍に居ようとしてほしい。 今まで書いてきた「その花が開くのを、待っている」(タイトルや、話の一部)・「私たちはいつまでも未完成」(途中の回想)・「リーニエはリボンが結べない」(話の一部)を下敷きに書いています。拾い食いはよせ、リーニエというセリフは、公式の「前奏」より。「放浪する天秤」、良かった~……。 「無意味なものではなかったと、思いたい」と同じく、自分の中のリュグニエの集大成のひとつです。今まで読んで下さり、本当に有難うございました。
    10,481文字pixiv小説作品
  • アウラと黄金郷

    シリアス展開と黄金郷編、小説版葬送のフリーレン(前奏)のネタバレが含まれます。小説を参考にアウラが黄金郷編にいたらを想像して書きました。第三者視点のつもりで書いたのですが難しかったです。原作を読んだ人はよかったら見てください。
  • 無意味なものではなかったと、思いたい

    リュグナーが作中「私は魔法が大好きでね」「天才は嫌いだ」「人生の大半を魔法に捧げてきた」と言っていたのが好きで、そのあたりの心の動きを、自分なりに考えて書いてみました。リュグナーはとてもまじめなので、その言葉通り、本当に人生の大半を捧げるつもりで魔法にものすごく真剣に打ち込んできたのだろうなと思います。そんなリュグナーは、リーニエのことをとても評価しているのが、作中の言葉の節々に感じられます。「リーニエは魔力探知が得意で」「人間の魔法使い如きがリーニエの魔力探知を搔い潜っただと」「可哀想に。リーニエ相手では碌な死に方はしない」……。リーニエの能力を認め、評価し、そしてその能力の、強くなれる無限の可能性(リュグナーにはそう見えていた)に期待していたのではないかと思いました。リーニエの能力は模倣なので、「自分」だけでなくもっと強いものになれる大きな素晴らしい可能性を秘めているようにリュグナーには感じられ、「天才」に近いものを感じてそれを羨むというか、眩しく感じていたのでは、だからドラートよりも目をかけていた(ように私には見えたので)、傍に置いていたのかな、と思って、そのあたりのリュグナーの心の葛藤というか、リーニエに対するそういうものを書いてみたいと思い、書きました。リーニエは、作中「わがままだな」とは言うものの、常に反抗的ではなく、リュグナーの意思に従い、魔族の中では珍しく(リュグナーもですが)、自分の意思でリュグナーを守ろうとしたりと付き従っています。リーニエにとって、リュグナーは「敵わないもの」であり、「自分が模倣出来ない初めてのもの」だったりしないだろうか、だから大人しく従うのではないか(その血液を自在に操る力は、リュグナーの積み重ねてきた努力、探求の、血のにじむような年月の結果あんなに強力になったのであって、リーニエには仕組みや魔力の動きが分かったとしても、到底真似出来ないような高度な技術で、模倣しようとしても出来ないのではないか)(拾われた頃からずっと首切り役人としてのふるまいや知識を教え込まれていた恩のようなものもあり)と思い、それも書きました。リュグナーは、アウラの下についているし、七崩賢のような大魔族でもない。そういう自分の限界のようなものも痛いほど分かっていて、けれども「魔法が大好き」で。そんなどこか報われないところがとても人間くさくて好きです。そういうリュグナーを、リーニエが無意識に、どこか救っていてくれたらいいし、そういう互いを補完しあうリュグニエが理想なので、今回書いてみました。また、126話で「近接戦闘という一点において魔法使いは戦士に殆ど太刀打ち出来ない」というくだりがあったので、リーニエにもそれはあてはまるだろうなと思い、それを組み込んでみました。 いつものリュグナーよりもこう、ネガティブなので、もしかしたら気に入ってもらえないかもしれません。でも悔いはありません。集大成に近いものです。宜しければ読んでやってください。
    10,862文字pixiv小説作品
  • 秀才の魔女

    秀才の魔女

    リュグナー様の夢小説です。リュグナー様の夢小説、増えてくれよぉ…!!!(シュタルク風) 以下は本編読了後に是非お読みください(長い) . . . . . 「ここに来る途中に廃村のようなものがあったんだけど、それについて知らない?」 街を歩く通行人に銀髪の少女が尋ねる。人間とはまた違った種族であろう長い耳を持つ少女の傍らには、紫がかった長い髪の女性と赤髪の男性が控えていた。 街でも見たことのない顔ぶれに、冒険者だろうと判断した通行人は納得したように口を開く。 「あの廃村には誰も近寄りたかないのさ。なにせ、黒い魔女の村だからね。」 「……黒い魔女の村?」 「ああ。かつて魔族と共謀し、村を破滅に導いた裏切りの魔女。あの廃村はその魔女が暮らしていたせいで滅ぼされたのさ」 魔女の村からほど近いこの街では誰もが知り、誰もが恐れるこの話を聞いても銀の髪のエルフは表情を崩さない。 「確か30年も経っていなくてねぇ。勇者ヒンメル様が亡くなってすぐだったよ。あたしがまだ小娘の頃で、勇者様がお亡くなりになったからだとか騒がれていたっけ」 誰も怖がって調査に行きたがらないんだ。確か報酬が出ていたよ、冒険者さん。 通行人の言葉にエルフは初めて表情を変えた。 「まったく、報酬に魔導書を貰えると聞いたらすぐ引き受けるんですから……」 杖を手にフェルンは呆れ顔で瓦礫を空中へと浮かせる。黒い魔女の村と恐れられている廃村は、襲撃の爪痕が残るもののただの廃村に過ぎなかった。 調査は今日中に終わるだろう。そう予測しながら村の最奥に進み、フェルンは目を見開いた。 廃村に似つかわしくない、淡い桃色の花が美しく群生している。その中心に何かがある。 墓碑だ。 ぽつんと佇むただ一つの墓碑は、石を伐り出した簡単な造りで丁寧さはなく、一般的につくられる墓とはまた少し違っていた。 もっと明確に表すならば、子供が訳も分からず初めでつくったかのようなちぐはくさと違和感を残していた。 手入れもされておらず汚れた墓碑をきれいにすると、辛うじて弔われた人物の名が読み取れた。そして、 「…秀才の、魔法使い」 フェルンは文字を指でなぞりながら呟く。 驚くことに弔われた人物の名は、街に伝わる裏切りの魔女のそれと一致していた。 そして彼女の名の後に、秀才の魔法使いという文言が記されている。 この名を一度だけどこかで聞いたことがなかったか。秀才という言葉を使った人物はいなかったか。 そう、自身の師が断頭台のアウラと戦っていた時に自分が対峙した――――― 魔族と共謀した裏切りの魔女の名と、この墓に眠る者の名。 秀才の魔法使いという言葉。 あの魔族が最期に口にした自問自答。 まさか。 「フェルン?何か見つけたの。」 いつの間にか歩いてきていた師の問いかけにはっとする。こめかみから汗が伝った。 「墓碑か。きっと後から誰か弔ってくれた人がいたんだね。」 その言葉にフェルンは瞬いた。そして同時に自分の中に渦巻いていた仮説を振り払う。 そうだ。フリーレン様の言う通り、襲撃から生き残った人間のうち誰かが大切な人を弔ったのだろう。そもそも魔族に弔いという概念があるはずがない。 大切な人を失う悲しみや、死者との思い出を憩う営みを理解していない魔族がこのような墓碑をつくる訳がないではないか。 「…そうですね。きれいにしておきました、フリーレン様。」 フェルンは墓碑へ向き直ると、そっと祈りを捧げる。 そして立ち上がり、フリーレンと共に踵を返した。 ほんの一瞬組み上げたある仮説。 それは一瞬で桃色の花を揺らして吹き通る風と共に、すぐにどこかへ消えてしまった。
  • 月を手に入れる方法(きっと教えてもらえない)

    アニメで、リーニエは大体リュグナーのことを真っすぐに見つめて話を聞いたり話しているのに、リュグナーはリーニエのことを真っすぐに見つめて話したり答えるのが少ないな……と思いました。二人の関係性にますます萌えました。そこから書いた、リュグナー←リーニエです。始まれ~~~
  • 毒にも、薬にも

    アウラの命令に従いリーニエの面倒をなにかと見てやるリュグナーはいつも大変すぎて、ストレスと疲労による頭痛を起こしているのではないかという妄想の話です。リーニエがまだ小さい頃の話。いつもと違うリュグナーの表情のわずかな変化にもリーニエだけはすぐに気付いていればいいな……傍にいてやわらげてあげてほしい…… ※本文中の今までも気付いていたというくだりで、その時はリーニエは、なんとなく大人しくして置こうとは思っていて、りんごをかじって一人で本を読んだり昼寝をしたり、出来るだけ騒がしくしないようにはしていたんじゃないかなと思います、リュグナーにとっては騒がしいリーニエが当たり前なので覚えていないかもしれないけれど…
  • アウラのラジオ、アウラジ

    第三回 魔族の青年

    魔族でありながら人間と暮らすドラートの葛藤について書きました。少しシリアスですが読んでもらえると嬉しいです。
  • 現代転生のアウラ

    魔族、散策、服選び

    アウラ様ってどんな服も似合いそうですよね
  • 逆襲のアウラ

     これはアウラおよびその配下が、プリキュアオールスターズの悪役みたく特に理由もなく復活したお話。無論、相互理解や協調などなく、むしろフリーレンへの復讐心で歪んだアウラは、より卑劣で邪悪な攻撃を仕掛けてき……。  葬送のフリーレン二次創作、まさかの第二弾。もしも魔族が、人間の“悪意”を理解して牙を剝いて来たらどうなるのか。内容はかなり鬱です。新年早々、こんな重い展開ですみません(汗)。  可能性は0に等しいですが、アウラ様やリーニエちゃんにはもう一度本編で登場して欲しいですね。
  • これはずっと、わたしの犬(もの)

    アウラ様のための首切り役人として育てていたリーニエを、「アウラ様のもの」ではなく「自分の番犬」だと認めるに至ったリュグナーの心の動きを書きたくて書きました。本編中リュグナーが「リーニエ相手では碌な死に方はしない」と言っていたのが非常にひっかかって、容赦なく相手を壊し尽くす必要があった=そういうリーニエの印象を強くリュグナーの中に残した=それはリュグナーを守るためだった時ならなという願望も話に詰め込みました。リーニエは拾われて十年くらいで、まだまだ幼いです。「わたし」はリュグナーでもあり、リーニエでもあって、「わたしのもの(主人)」というリーニエにもつなげられるようなタイトルにしたかった。飼い主と番犬、互いにどこかが、出来れば心が繋がりあっていればいい。
  • 魔族の屈辱

     葬送のフリーレンのアニメ第9・10話の名シーンより。魔族が言葉で人間を欺くなら、逆に人間が魔族に言葉で屈辱を与えたとしたら……。  普段、異世界ファンタジーものには見向きしない自分が、フリーレンだらしねぇ・シュタフェル尊い・魔族っ娘萌え・アウラ○○しろ・ウホッ!いいエルフと、珍しくドハマりしてしまった本作。  個人的に、シュタルク(子供)に子供扱いされるブチギレリーニエちゃんが見たかった。オートマータや契約者といった人外ないしそう思われがちな存在が、人間的な感情を見せたり疑問を投げかける展開とかが好きです(無表情の美少女なら猶良し)。  なお、リュグナーの発言はあくまで魔族視点なので悪しからず。 (えっ?ドラート?そんなのいましたっけ?)
  • リーニエはリボンが結べない

    リーニエの髪や服のリボンをリュグナーが結んでやっていたらいいのになと思って書きました

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