かつて日本国有鉄道及びJRグループに在籍していた貨車(有蓋車)の1形式。1961年から1963年にかけて8580両(ワム60000~ワム68579)が製造された。
運用
国鉄時代
1961年の製造直後から「急行車扱列車」の専属運用に充当され、当時の専属運用車であったワム70000を置き換えた。
急行車扱列車の専用車には車体に「急行」表記及び形式の頭に「キ」が追加され「キワム」表記で区別されたが、1965年にこの表記は廃止されその後は他形式と共通の運用となった。
また、工場に常備され配給車として運用された車両については、車体に白線と配給車代用の表記がされた。
1984年2月1日のダイヤ改正でワム70000・トラ55000・ワラ1などと共に用途終了となり事業用としてJRグループに継承された8両を除き全て廃車となった。
JR移行後
国鉄からJR東日本へ5両、JR九州へ3両を継承。これらは全て検重車の控車として運用され、2001年に南秋田運転所(秋田車両センター)所属の3両が廃車となったことで形式消滅した。
これとは別に、ワム66172号車については、北海道三笠市にある博物館・三笠鉄道村で保存されている。
派生形式
国鉄ヤ400形
16両(ヤ400~ヤ415)が1968年の改造により投入された「信号機器輸送用車」。1975年に1両(ヤ403)が羽越本線での脱線事故に遭遇し廃車となったため、翌1976年に1両(ヤ416)を追加改造している。
信号設備の維持・補修に用いる機器・消耗品を輸送するための車両で、車体に「信号機器専用」「連結注意」の表記がされた。用途終了につき1987年までに全車が廃車となり形式消滅。
名古屋鉄道ワム6000形
国鉄ワム60000形の姉妹車で名古屋鉄道の自社発注車。貨物輸送に用いられていたが最後まで残っていた6両は救援車へ改造され2011年まで在籍した。
水島臨海鉄道ワム600形
国鉄ワム60000形の姉妹車で水島臨海鉄道の自社発注車。現在はコンテナ輸送へ移行したため廃車となっている。