国鉄ワム80000形(2代目)
ワム80000形は日本国有鉄道(国鉄)が運用していた2軸貨車の1つで、本形式は屋根のある「有蓋車」に該当する。愛称は「ワムハチ」。
それまで有蓋車の近代化を目的として、1960年から1981年にかけ合計26605両が製造された。最大積載荷重は15t、最高運転速度は75km/h。
側面はすべて幅広の引扉となっており、全開にすることでフォークリフトやパレットなどを用いた効率のよい荷役を行うことが可能である(ただし初期車は中央の扉を端まで開扉することができない)。
製造過程で最盛期には汎用車をベースにした様々な物資別適合車(冷凍マグロ用580000番代、板ガラス用581000番代、飲料用584000/585000番代など)も誕生したが、本形式を使用した列車のほとんどは最高運転速度が75km/hと低いことや、貨物駅同士を直接結ぶ輸送形態や、それに伴うコンテナ車の普及・進捗により、1984年2月のダイヤ改正でヤード集結輸送が廃止。それ以降は数を減らすことになった。
国鉄民営化に伴い引き続き貨物輸送に使用される個体はJR貨物へ継承されたほか、一部車両がJR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国の旅客会社へ承継され、配給車や枕木運搬、変わったところでは品川駅や名古屋駅のゴミ捨て用などの事業用として使用された。
JR貨物に継承された個体はすべて走行安定改善車の280000番代で、その中から500両は軸受を平軸受からコロ軸受へ改良した380000番代に改造され、90両が木材チップ輸送用の適合車480000番代へと改造された。
それ以降もコンテナ化や車両の老朽化、さらには列車の高速化(最高速度が75km/hのため高速化に対応できない)や運用の効率化(JR化後の運用にて紙などの貨物を輸送する場合、片道は空車で回送せざるを得ず車両運用の効率に劣る)などの影響で数を減らし、2012年の岳南鉄道(現:岳南電車)方面への直通貨物列車の廃止を最後に、JR貨物での運行を終了した。
以降も予備車や旅客会社所属の事業用車が車籍を有したものの、現在では全車両が廃車されたものと思われる。
廃車となった車両のうち一部は民間に放出され、各地で倉庫として活用されている。
終焉の地となった岳南電車でも380000番代車2両がJR貨物より払い下げられ、岳南富士岡駅で牽引機だった電気機関車と共に保存されている。
一部は三岐鉄道や片上鉄道、島原鉄道などの私鉄へと払い下げられ、貨物輸送や事業用に使用されたほか、銚子電気鉄道では本形式を改造した遊覧客車(トロッコ列車)ユ101号が在籍していた。