概要
本作に登場する巨大な縦穴、「アビス」がもたらす現象。「アビスの呪い」または単に「呪い」とも呼ばれる。
アビス内から帰還する際に必ず発生する謎の症状で、下に降りるぶんには何も起こらないが、一旦下に降りたのちに上に戻ろうとすると人体に異常が発生する。
高山病に似ているが、移動速度や体格に関係なくアビス内で下から上に移動をすれば発症する。
アビス内の同じ階層でも起こりやすさに差異はあり、基本的に中心部から離れた外周部に行くほど呪いが弱く、頻度も少なめとみられている。逆に言えば場所によっては、少し坂道や階段を登っただけでも発症する。
上層の軽いものは吐き気や頭痛程度で済むが、深部であるほど症状は重くなり、全身からの出血や精神崩壊、最悪死に至る場合もある。
上昇負荷の被害はアビスの環境に適応した原生生物とて例外ではないため、定住型の生態を持つ者が多く、生息域より上層に大きく上がってくることも稀。
特に六層以降の上昇負荷は、人間が生きて帰ることはまず不可能なレベルで有り、辛うじて生命を繋いでも肉体が大きく変形して「成れ果て」と呼ばれる異形と化してしまい、その多くは人格も理性も失ってしまう。
そのため、六層から下に行くことは事実上、一生をアビスの中で過ごすことを意味するため「絶界行(ラストダイブ)」と呼ばれる。
現状普通の人間に避ける手段はないが、アビス内の生物や成れ果ての一部には上昇負荷にある程度耐性を持つもの(七層以深に生息しているとされるサカワタリは極端な例で、表層付近まで平気で上がってくる)や、負荷を回避する手段を知っているものも存在している。
また、白笛のボンドルドは非人道的な手段を用いて負荷を克服する技術を完成させている。
また、ボンドルドによれば上昇負荷には「呪い」だけでなく「祝福」と呼ばれるプラスの効果もあるという。
ナナチはその「祝福」を受けた貴重な例のひとつ。肉体的な変化だけでなく、後述の力場を見る能力など、特殊な感覚を獲得している。
なおこれら負荷を受けるのは総じて「生命体」だけであり、レグの様なロボットや単なる道具、はたまた完全な死体などは、どれだけの下層であっても一切の上昇負荷を受けない。
それ故、地上・上層へメッセージや物質の輸送を行いたい時は、無人気球を使うのが定例となっている。
原理としては、アビスに充満している「力場」が関係するようで、ナナチやメイニャはこの力場を感知することができる。
呪いも数m~十数m間隔で重なっている「力場」の層を通過する事で起こる現象らしく、その間で上下するだけなら心身に害はない模様。
凸凹を乗り越えたりジャンプ程度では異変が起こらないのも同じ理由らしい(そうでなければ、アビス内の全生命体は、身体を上方向に動かすのも許されない事になってしまう)。
負荷
- 深界一層(アビスの淵)
0~1350m。上昇負荷は軽い目眩と吐き気。
- 深界二層(誘いの森)
1350~2600m。上昇負荷は重い吐き気と頭痛、末端の痺れ。
- 深界三層(大断層)
2600~7000m。上昇負荷は二層に加え、平衡感覚に異常をきたし、幻覚や幻聴を見る。
- 深界四層(巨人の盃)
7000~12000m。上昇負荷は全身に走る激痛と、穴という穴からの流血。
- 深界五層(なきがらの海)
12000~13000m。上昇負荷は全感覚の喪失と、それに伴う意識混濁、自傷行為。
- 深界六層(還らずの都)
13000~15500m。上昇負荷は人間性の喪失(=異形生物への変異と知性の消失)もしくは死。
- 深界七層(最果ての渦) およびそれ以降
15500mより。上昇負荷は確実な死。呪いによる絶命は絶対に避けられないとされているが、それに至るまでにどのようなことが起こるのかを含め、詳細は不明。
転じた使い方
本作のショッキングな展開の多くが、この「上昇負荷」に関連するイベントであることから、特にアニメ化以降は「あまりにきつくてみていられない」という「視聴不可」とかけて「視聴負荷」という用語ができている。
また、展開が視覚的心理的に人を選ぶ内容だったり、人気キャラでも容赦なくぶっ殺すような厳しい展開がある他の作品に対しても「負荷がきつい」などというようにこの用語が使われることがtwitterなどではちらほらある。