概要
本作の主人公。
前世では友人に勧められたのを機に、全ルート制覇だけでなくスピンオフも網羅し、二次創作にまで手を出すほどハマっていた鬱ゲーである『闇夜の蛍』の世界に転生した。
しかしネット小説にありがちな『チート』や『スキル』は一切なく、唯一持つ『原作知識』でなんとか生き残っている。
とある事件以降、鬼月家当主の次女で後継者候補の一人である鬼月葵のお気に入りの玩具として、専属的な立場で無茶振りに振り回されている。
普段の伴部が周囲に極力感情を殺した素っ気無い態度をとっているのは、自由意志が残っているのがばれて再教育(洗脳)されるのを防ぐため。そしてその他大勢になりきってヒロインたちの興味から外れるため。
しかし追いつめられながらも誰かを守ろうとすると出てくる頼れる兄っぽい素の言動のせいで、彼に監視用の式神を付けている他ヒロインも含めて逆に執着を駆り立てていることに本人は気付いていない。
また、鋼のメンタルとまではいかないものの、強靭な精神力の持ち主。
自分が生き残るために扶桑国や鬼月家の滅亡ENDを回避すべく、原作主人公が無事にHAPPYENDを迎えてくれるようBADENDに繋がりそうなフラグをあらかじめ潰そうとしている。
その奮闘のせいで原作ヒロインに好かれてしまっているのだが、本人は『原作知識』によって「彼女たちの相手は原作主人公君だから(関わって来ているのは)ただの気まぐれだろう」と思っている節があり(と言うかヒロインは全員地雷だと警戒しているせいで一線を引いている)、「どうせ原作主人公が何とかしてくれるからそれまでの辛抱だ」と高を括っている。
容姿は「変に崩れている訳でもないが別に美形でもない」らしく明確には語られていない。
その為、ファンアートではどこかの『P』や『T』みたく『下』の文字が頭になっている。
誰が呼んだか『下ヘッド』(又は『下人頭』)
状況の説明や原作知識による解説などを担う本編の語り部であるが、今までに何度か記憶操作を受けているせいで、自身の本名を思い出せなかったり下人落ちの経緯のように事実と記憶に齟齬があったりと「信頼できない語り手」でもある。
寒冷地の村の大家族の長男に生まれ、家族と貧しくも仲睦まじく生活していたが、ほんの少し霊力を持っていた事から地主である『鬼月家』に売られることになる。
補足しておくと、父親が妖に襲われて重傷を負ったせいで働けなくなり、ギリギリだった生活が困窮へ傾き始めた為、伴部自身が家族の事を思って自ら望んで売られている。妹たちが泣きながら彼を追おうとするのを、やはり泣きながら引き留める両親というのが彼の記憶にある現世の家族との別れである。
当初は鬼月雛の世話役として家人扱いだったが、ある事件の後で本名を奪われ下人へ落とされた。
『伴部』とは彼が下人へ落とされた時につけられた名前であり、本名は不明。記憶操作の影響で本名を呼ばれても認識できない。
過去にあった事件から『鬼月家』の幹部クラスからは睨まれており、そのせいで派閥争いや陰謀に巻き込まれてついでに消されそうになる事が多い。
葵の無茶振りには「どうせそのうち死ぬだろう、なのにわざわざ手を出して彼女の不興を買うのは割に合わない」と思わせてそれらの干渉を防ぐためという面もある。葵の読みや詰めの甘さから本当に死にかけることもあるせいで疑われていない。
原作知識をもとに普通の下人と比べ過剰なほど装備を用意しているおかげで辛うじて生還してはいるが、それでも何度も死にかけている。
都の地下水道調査の際に人妖大乱の妖側の最高幹部である妖母と遭遇、何とか隙を突いて脱出には成功したものの、その際目に浴びた数滴の返り血が原因で人間から足を踏み外してしまった。
地下水道からの救出直後など肉体的にほぼ妖化してしまったこともあるが、葵が調合した禁薬(雛の心臓などの材料を胡蝶から受け取ることで隠蔽)を飲むことで抑え、辛うじて人の姿を取り繕っている。
ただし体内に入り込んだ妖母の血に含まれた残留思念の精神的な干渉も継続中で、さらに妖母の血による妖化などという仮に発覚すれば良くて殺処分悪ければ実験動物扱いな秘密を抱えてしまったこともあり、人としての心は失っていないが将来への不安を拭えずにいる。
また、『迷い家』討伐後(119~120話以降)に『家人扱下人』として取り立てられる事になったが、それ出世ではなく謀略の一環であり、人質を取られた上で関係者との繋がりを半強制的に絶たれ孤立無援の中で謀略を避けつつバッドエンド回避に奔走する事になってしまった。
名前の読み方
『伴部』は読み方として複数あり、候補は『ともべ』『とものべ』『ともぶ』『はんぶ』『はんべ』『とものみやつこ』の6つもある。
作中でルビが振られたことが無く、長らく読者の間で認識が分かれていたが、2021年6月20日(一話投稿から約一年後)に登場人物の紹介が掲載され、『ともべ』であったことが判明した。
なお、それまでは『はんべ』と思われていた模様。
妖母の血の暴走状態(仮)
薬で抑えている妖母の血が、伴部の命の危機により覚醒し一気に妖と化した姿。
普通ならば妖の本能に飲まれて暴走してしまう所だが、伴部はその強靭な精神力で制御(というよりも無理矢理知り合いを襲わないように動か)している。
妖気と霊気と僅かながらも神気を発しており、強靭な鱗に黒い鬣、異様に首の長い馬かあるいは龍にも似た形状の細長い頭を持つ姿になる。
その見た目と神気を放っている事から『龍神』又は『麒麟』ではないかと考察されているが今の所不明。
子蜘蛛を使う事でわずかな時間だが制御可能になったがそれでも暴走の危険は孕んでおり、自らこの姿になるのは最終手段中の最終手段である。