概要も見たくねぇ…
このキャラクターの台詞に対するインパクト・(その状況の悲惨さによる)読者の強い共感が、大きく反響を呼んだ一言。
ネット上では、直視がつらい出来事などを前に、この台詞・または岸辺の画像がしばしば引用されている。
詳細も見たくねぇ…
(軽微なものですが)状況説明について単行本8巻の内容が含まれます。ご注意ください。
岸辺は、周囲から異常とも評されるほど厳格ながら、実際には人情家の一面がある。
それも合わさって、部下から畏怖を抱かれつつも、信頼を寄せられている、歴戦のデビルハンターである。
しかし、デビルハンターというのは過酷な業界。
新人は数年生き残れたら運がいい方なのだ。
場合によっては、手慣れたハンターでも呆気なく死んでしまう、そんな恐ろしい職場である。
(事実、岸辺の教え子にあたる姫野などは、早川アキがバディになるまで相方を5人も亡くしている)
そんな地獄のような業界において、岸辺はベテランの実力者なワケである。
どれほどの修羅場をくぐったかは、想像に難くない。
若い頃はヤンチャをしていたようだが、経験を積むにつれ、(増えていく傷痕と比例するように)死んだ魚みたいな目をした様相になっていった。
その結果…
精神を病んでもおかしくないような経験をしても、それを大量の酒で誤魔化し、頭のネジを外すことで耐えているのだった。
「何も見たくねぇ…」
この言葉は、そんな岸辺が、ある一件で目隠ししたままの状態で放った。
なぜそんな事を言ったかといえば、布の覆われた先にある、その惨状を察したからに過ぎない。
彼はその後、目隠しをする必要もなくなったにもかかわらず、なおも目隠しを外さなかった。
たった一言のセリフだったが、これは岸辺がとうとう、心の傷とストレスに耐えかねた末の、断末魔に似た感情の吐露といえるだろう。
彼の経歴や目前の状況を考えると、岸辺の言葉に表したくないどす黒い思いがじわじわと滲んでくる。