概要
江戸時代に書かれた百科事典・『和漢三才図会』に記載される妖怪。海坊主の一種とも言われる。
和尚「魚」という名前だが魚ではなく人面のカメのような姿をしているとされ、僧侶のように剃髪したスキンヘッド。また体長は5~6尺(1.5~1.8m)ほどで、体はスッポンに似ているらしい。
同じような姿の海和尚は人を見れば笑い、暴風雨を呼び寄せて大時化を起こすと言われているが、和尚魚はそうしたことはなく「捕らえると手を合わせながら涙を流して命乞いをする。なので『命は助けてやるが、人を祟ってはならない』と約束させて逃がすとよい」とされる。
なお若狭湾には同じ姿の入亀入道(いりかめにゅうどう)という妖怪が伝わり、同じく江戸時代に津村淙庵によって書かれた随筆『譚海』では同じものであると記載される。
見てしまうことは不吉であるとされ、漁などで捕まえてしまった場合には祟られないように酒を飲ませて丁重に逃がすとよいとされた。
なお水木しげるはこの妖怪を紹介する挿絵を元に海和尚を描いた。そのため和尚魚があまり知られていないのに対し、元の伝承がさらにマイナーなはずの海和尚の名の方が有名になるという逆転現象が起きている。