概要
変体仮名とはひらがなの異体字である。平安時代に、現在使われる仮名とは別の漢字を原型に成立した。明治時代に現在の字形に統一されるまではよく使われていて、現在でも書の分野などで限定的に使用される場合がある。
「可」に至っては、現在の字形である「加」を元にした字(か)よりも普通に使われていた。コンピューター上では、2017年になってようやく285字がユニコードに登録されたので使用可能になった(や行えの字は2010年に登録済、一方わ行うは未登録)。
仮名の字体が統一されるまでは「変体仮名」という区分はなく、ひらがなのバリエーションとして普通に使われていた。平安時代のひらがなには200-300種もの字体があり、多種類のひらがなを取り混ぜて、崩し字を美しく書く技術が重視されていた。ただし、実際によく使われる字体は時代が下るにつれ固定されていき、江戸時代には100種に満たないほどになった。
なお、カタカナにも初期には多数の異体字があったが、カタカナは崩し字で表記しなかったので、多くの字体を取り混ぜて使う必然性がなく、平安時代中期にほぼ今の字体に固定されている。
間違っても「変態仮名」ではない。
例
- 老舗の蕎麦屋ののれんには「楚者゛」と(実際には草書体だが)書かれていることが多い。
- 花札の一月と二月の短冊札には、「あ可よろし」と書かれている。(前述のとおり江戸時代にはこちらの字形のほうが普通だった)
- 現在でも、助詞の「へ」を「江」と書く人がいる。
関連イラスト
花札の「あかよろし」の例。