概要
始発または行先が複数ある列車を主に幹線では1本にまとめて運転し、支線の分岐駅などで切り離しながら目的地を目指すものである。
メリットとしては
- 支線区へ乗換なしで直通運転を実施でき、乗客にとって乗換の手間・時間を節約でき、乗換に伴う心理的障壁を取り払える
- 線路容量を節約できる
- 運転士・車掌の人数を最小限に抑えられる
- 輸送力の適正化
などがある一方、デメリットとしては
- 幹線と支線の有効時間帯のすり合わせが困難
- 分割併合に伴う構内作業が煩雑化し、分割併合実施駅に誘導信号機などの設備が必要となる
- 異常時の運転整理が複雑化
- 乗客への案内を徹底しないと乗り間違いが多発する
などがある。
国鉄時代には急行列車を中心に多層建て列車が多数あり、これらの急行列車が特急へ格上げされた後も多層建てを継続する事を念頭に485系や583系、183系に貫通路付の先頭車が設計された。しかし特急での多層建て列車は国鉄時代には誕生せず、特急型車両の先頭車貫通路は隙間風・腐食対策を理由に多くが埋められてしまった。一方JR化後は積極的に貫通路付車両が製造され、支線区への直通も盛んに行われるようになった。
建物の階層に例えて、2つの列車に分割されるものを2階建て、3つに分割されるものを3階建てと言うこともある。
主な列車
新幹線
- はやぶさ・こまち(東北新幹線 : 東京駅 - 盛岡駅間)
- やまびこ・つばさ(東北新幹線 : 東京駅 - 福島駅間)
JR在来線
- 成田エクスプレス(総武本線・成田線 : 東京駅 - 成田空港駅間)※横浜駅方面発着の編成と新宿駅方面発着の編成が併結
- 踊り子(東海道線 : 東京駅 - 熱海駅間)
- サンライズ瀬戸・サンライズ出雲(東海道本線・山陽本線 : 東京駅 - 岡山駅間)
- ひだ(高山本線 : 岐阜駅 - 高山駅間)※名古屋発着と大阪発着の併結。
- みどり・ハウステンボス(鹿児島本線・長崎本線・佐世保線 : 博多駅 - 早岐駅間)
- まいづる・はしだて/きのさき(山陰本線 : 京都駅 - 綾部駅間)※併結する相手が列車によって変わるが、区間は変わらない