概要
都市銀行では唯一の信託併営銀行で、それを生かした総合金融機能を発揮した他、一時期は日本の銀行でも有数の海外拠点網を有していた。一方で創業者の「自主独往」精神を受け継いでいたこともあって合併で規模拡大などといったことは行わず、都市銀行としては2番目に規模が小さく、北海道拓殖銀行（拓銀）の経営破綻以降は一番規模が小さい都市銀行であった。
歴史
1918年、野村財閥の創設者である野村徳七（二代目）により大阪野村銀行として設立された。
発足後まもなく第一次世界大戦後の不況や関東大震災に直面するが堅実経営で信用を固め、徐々にその規模を拡大していく。
1925年には急成長する証券部を野村證券として分離し、1927年には野村銀行に行名を変更。野村財閥の中核として歩み始める。その後も昭和金融恐慌を乗り越え、1933年の三和銀行発足時も自主独往精神を堅持して独立路線を維持し、1944年には野村信託を吸収したことで、日本初の信託併営銀行となった。
戦後、財閥解体の御多分に漏れず野村財閥も解体されたことで、奇しくも創業30周年の1948年に行名を大和銀行に改めて再出発。
大蔵省の信託分離の勧めを跳ね除け、戦後の都市銀行では唯一の信託併営行となる。この結果大蔵省から睨まれて新規出店で不利な扱いを受けるも、1962年に始まった企業年金制度の取り扱いをいち早く始め、企業年金信託分野では信託業界トップの座を勝ち取った。
日本経済の国際化にも対応して国際業務も拡大を続け、一時期アメリカでは日本の銀行でもトップの支店網を構築した。
しかし、他行との合併をしなかったこともあってその経営規模は都市銀行の中では拓銀に次いで小さく（拓銀破綻後は最も小さい都市銀行となってしまった）、その脆弱な経営基盤はバブル崩壊によって大打撃を受けることとなる。
それでも経営危機に陥っていたコスモ証券を1993年に子会社化することで救済し、国内で初めて銀行・信託・証券を一体経営するユニバーサルバンキングを実現したが、1995年にニューヨーク支店における巨額損失事件が発覚。
大蔵省に損失を報告しながら法に反してアメリカ当局に報告を怠った結果、アメリカ連邦制度準備理事会から巨額の制裁金の支払いとアメリカからの追放という処分を受けてしまう。結局大和銀行は都市銀行第3位とまで言われたアメリカの支店網を住友銀行に譲渡して撤退。当時の大和銀行純利益の3割を稼ぎ出していたアメリカ市場から叩き出され、インドネシアとの合弁企業である大和プルダニア銀行を除く全国際業務から撤退する羽目になった。
加えてバブル崩壊によって巨額の不良債権を抱えてしまい、1998年には約4000億円の公的資金の注入を受けることとなる。
1999年からの都市銀行再編においても大和銀行は不良債権問題から合併を忌避されて取り残されていたが、個人や中小企業をメインターゲットととしたリテール路線を行い、親密な地方銀行をグループに取り込む「スーパーリージョナルバンク」への転換を図ることで生き残りを目指していく。
2001年には親密だった近畿大阪銀行・奈良銀行とともに持株会社として大和銀ホールディングスを設立して傘下に入り、同時に信託部門から法人向け年金信託業務を大和銀信託銀行として分社化した。
2002年3月、同じく金融再編に取り残されていたあさひ銀行が大和銀行のスーパーリージョナルバンク構想に参加する形で大和銀ホールディングスの傘下に入る。
そして翌2003年3月1日、大和銀行は埼玉県内の業務を埼玉りそな銀行に譲渡したあさひ銀行を吸収合併し、りそな銀行に行名を変更。
こうして、大和銀行は約85年の歴史に幕を閉じた。
合併後、りそな銀行は合併後も変わらない脆弱な経営基盤や不良債権処理問題から発足約2ヶ月で実質国有化される憂き目に遭うも、経費削減やリテール路線に注力したことで経営を立て直し、2015年に公的資金を完済した。
また、分社化していた法人向け年金信託業務も再び統合し、旧大和銀行時代の伝統を引き継ぐ都市銀行唯一の信託併営銀行として現在に至っている。
