関西みらい銀行
かんさいみらいぎんこう
りそな銀行の理想が三井住友銀行による押し付けの末に生まれた産物。旧大和銀行経営陣はりそな銀行となる直前。バブル崩壊による不良債権で経営危機に陥った地方銀行を傘下に収めて公的資金を注入し、地元関西における地銀広域連携「スーパーリージョナルバンク」を築き上げる構想を掲げていた。その完成形と言えるのが、2019年4月1日に大和銀行時代からの子会社近畿大阪銀行と三井住友銀行傘下の関西アーバン銀行が合併した関西みらい銀行だ。
だが理想を体現したはずの関西みらい銀行はライバル・三井住友銀行による経営リスクの押し付けによって実現した側面は否定できない。リーマンショック以後に企業が新規借入を渋るようになると地方銀行と資本関係を持つ巨大銀行は売上減少による共倒れ倒産を回避するため地方銀行との資本提携を解消する。または新規持ち株会社を設立して経営リスクを分散する動きが加速した。三井住友銀行も例に漏れず子会社の関西アーバン銀行とみなと銀行を何とかして手放したい思いがあり、その打開策として選択したのがりそなHDに傘下2行を押し付けでも売却することだった。
りそな銀行は三井住友銀行側の要請を歓迎しながらも競合都市銀行からの押し付けがましい話を鵜呑みにはできないと応じ返して、りそなHDに内包する新たなフィナンシャルグループをりそな銀行が幹事となって出資する方向で要請を受けることにした。こうして近畿大阪銀行・関西アーバン銀行・みなと銀行の合併を念頭とした持ち株会社関西みらいフィナンシャルグループが2017年に生まれたが、土着意識の強いみなと銀行経営陣の猛反発から合併は近畿大阪銀行と関西アーバン銀行の2行のみで実施される運びとなった。
概要で記述した内部論争を経て関西みらいフィナンシャルグループが発足したのはよいものの、察しの通り組織内部では大きな軋轢が生じている。以下の箇条書きを見ても感じて頂けるだろうが、りそな銀行と三井住友銀行が関西みらいフィナンシャルグループの主導権争いを展開している状態だ。
- 合併対象とされた3行は関西みらい銀行とみなと銀行の2行体制で動き出すことに
- 関西みらい銀行が発足してからシステム統合される半年ほどの間は、旧近畿大阪銀行と旧関西アーバン銀行が別々のシステムで動いていたのもあり、ATMを利用する場合などで旧銀行名を識別するマークを設けるという、臨時の対応がされていた。
- 登記上旧近畿大阪銀行側(堺筋営業部)が本店で、旧関西アーバン銀行側(心斎橋営業部)に事実上の本店機能があったが、2024年1月後半に店舗移転で本店が旧近畿大阪銀行側に統合された。
- 大阪府下だけでも40ヶ所近くある近接店舗の整理統合方針で揉めていたが、後に段階的に、支店が位置的に近い支店同士での共同店舗化(BinB)が進められている。主に旧関西アーバン+旧近畿大阪の形が多いが、中にはりそなグループの特性を利用してりそな銀行の支店との共同店舗になった例もあり、2023年11月にみなと銀行との共同店舗が登場した。ロビーやバックヤードなどの店舗設備を共同で利用・税金の支払や振込みなどの窓口業務を一本化するといったねらいがあり、コストの削減も1つの理由に挙げられている。