日本原産のサクラ10品種の一つで、純白で大きく整った花形と、葉や花の香りの高さが特徴。
花の鑑賞価値の高さはもちろん、材木は木炭や家具や版木に、樹皮は工芸品に、葉は桜餅に...と実用的な利用価値が高い。また貧栄養・潮風・大気汚染などの悪条件にも強く丈夫なため重宝され、早くから各地に植えられた。大島桜単体で植えられることはあまりないが、ソメイヨシノや関山などの桜並木に混じっていたり、雑木林に生えていたりする。
原産地は伊豆大島などの伊豆諸島、ないしは伊豆半島や房総半島を含めた暖地と考えられているが、かなりの耐寒性もあり北海道に至る全国各地で野生化しており、植えられた株と自生した株の区別がつきにくいことが多い。
突然変異を起こしやすく他のサクラ品種と交雑しやすい性質があり、ソメイヨシノをはじめ多くの園芸品種の母体となった。が、この交雑しやすい性質から、在来の桜(特に山桜)と勝手に交配してしまうことも多く、遺伝子汚染が問題になっている。一方で病気や害虫に強く丈夫で寿命が長いので、園芸品種の台木に使われるほか、てんぐ巣病などの病虫害に弱いソメイヨシノから植え替えられることも。
現代の日本ではソメイヨシノに次いで多く見かけられるサクラ品種なのだが、花の大きな白い桜(=大島桜)を描いたイラストはかなり少ない。