岩手県陸前高田市の高田松原跡地にある松の木のモニュメント。東日本大震災の震災遺構の1つとなっている。
高田松原は、陸中海岸国立公園(現三陸復興国立公園)や日本百景にも指定されていた名勝であり、約7万本の松が茂る景勝地であった。
2011年3月11日に東日本大震災が発生し、この地域は津波によって甚大な被害を受けた。しかし、樹齢270年のとある1本の松(アカマツとクロマツの交雑種)だけは、なぎ倒されることなく津波に耐え、見事に立ったままの状態で残った。
そのため、この松の木はまさに、震災からの復興を象徴するものと呼ぶべき存在となった。
しかし津波によって土壌に海水が染みており、塩分や過度の水分によって一本松も衰弱、枯死してしまう。
そうして枯れた一本松であるが、被災者を励ます象徴的な存在であることから保存計画が行われ、一本松の材に防腐処理や金属の心棒を入れたり、樹皮・枝葉のレプリカをつけることで剥製のような状態で保存された。
住居家屋等の復興が完了する前から計画が行われたこと、費用が高額であったことから批判もあったが、観光資源としてかつての活気を取り戻す一助ともなっている。
また、枯死前に採取された種子や、生きていた枝からの挿し木などで一本松の子孫やクローン個体が育っており、少しずつ里帰りを果たして、かつての松原を取り戻そうとしている。