自分は耐えて、耐え抜いてみせる。おれは逃げない。逃げずに戦い抜いて見せる。
耐えるしかない。それが掟だ。また世界を嫌えばいい。
「生き甲斐だ。生きててよかったって思える何かだ。それがあるから生きていけるんだって……そう教えてくれた人の言葉を、おれは信じる」
「甲斐を守るために、戦うんだ」
如月行とは、福井晴敏氏の小説、「亡国のイージス」の登場人物。
映画版キャストは勝地涼
概要
21歳。海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」第一分隊砲雷科一等海士。
横須賀にて試験艦「あすか」に在籍していたが、ミニ・イージスシステムの習熟者として、「いそかぜ」のクルーに新システムの指導を施すため配転されて来た。
正体
しかしそれは偽の経歴であり、彼の正体は防衛庁情報局(DAIS)に所属する二曹。DAISの特殊部隊である対テロ特殊要撃部隊「920SOF」の特別班(単独任務専門)に配属されている。
ホ・ヨンファや宮津弘隆による反乱を阻止する特命を受け、海上自衛官の一等海士として「いそかぜ」に派遣された。
生い立ち
母子家庭であり、母は水商売で苦労して行を育てる。近所の迫害や悪童のいじめから、行は自らの中に「掟」を作り、人生は「耐える」ものという設定をした。
しかし母が自殺し、大地主の一人息子である父の元に引き取られる。
父は自堕落で酒と女に溺れており、行に対し虐待めいた暴力を日常的に振るっていた。
そんな行を助けたのは地元の有力者であった祖父であり、彼に絵の才能を見出された行は絵を描くようになる。
絵の才能は本物であり、行は絵を描くことで凍り付いていた心を溶かしていき、世界を広げていった。
だが幸せは長く続かなく、祖父が病気で亡くなる。が、それが遺産目当ての父の謀略だと知ると、行は父を殺し、そして生来の資質を見込んだDAIS(防衛庁情報局)のリクルーター達にスカウトされ、DAISへと入局した。
能力
かなり高い。
特に機動性、銃火器の扱いは群を抜いており、極限状態でも自己を見失わない強固な意志、必要ならば力の行使を躊躇わない冷徹な行動力、さらに絵の描写に見られる緻密な観察眼、それらの資質は過酷な訓練で強化され、残酷な卒業試験の果てに、「感情を殺した優秀な工作員」とDAIS局員からお墨付きをもらえる程。
DAISでのコードナンバーは「729」。
交流関係
仙石恒史
先任伍長である彼には、絵描きという共通の趣味もあって徐々に心を開いていく。
北朝鮮工作員の疑いをもたれ、「いそかぜ」船底につけた爆薬をめぐり命がけの口論になったときも、自らがDAISの工作員であることと、与えられた任務内容を告げた後、「あんたにだけは、信じてもらいたかった」と独白している。
その後、「いそかぜ」に単身戻ってきた仙石と図らずも行動を共にし、自分たちの艦を取り戻すためヨンファやジョンヒ達と戦う。
ジョンヒ
自分と同じ「傷」を持ちながら、人の弱さを否定し、それを超越した者になろうとした痛みに壊れた人の姿と行は評している。
ジョンヒも、行に自分と同種の強さを感じ、負け続きで守りに入った兄であるホ・ヨンファを見限り、海中にて戦い、そしてくどきにきた。(行談)
彼女と行の水中でのシーンは福井作品で一二を争う官能さ。
その他出演作品
亡国のイージスformer partコールザロール
本編の登場人物数名の数週間前を書いた短編集。それぞれの章は仙石、宮津、行、ジョンヒの視点で描かれている。
6ステイン
同作者のDAIS関係者の短編集。「920を待ちながら」にて登場。
C-blossom case729
別冊フレンドにて霜月かよ子氏によって描かれた漫画。単行本全二巻。
時系列的には前述の「920を待ちながら」の二ヶ月後。とある重要人物の娘を護衛、保護する命を受け活躍する。行が二等陸曹に昇進し、エピローグにて「いそかぜ」に配属された姿が確認できる。