この国は、いつになったらこれが戦争だと気が付くんだ!
ホ・ヨンファ(許英和)とは、「亡国のイージス」の登場人物。
映画版での役者は中井貴一。
人物
北朝鮮対日工作員(映画版では国籍は明かされておらず「某国工作員」とされている)。40歳前後。宮津弘隆と共にミニイージス艦「いそかぜ」を乗っ取り、日本政府に向け大規模破壊兵器「GUSOH」を手にテロを起こした犯人グループのリーダー。
DAISからは「北朝鮮偵察局始まって以来の恐怖と言われる、最悪の工作員」と評されている。
当初は「いそかぜ」にFTG(海上訓練指導隊)の「溝口哲也」を名乗り訓練指導の名目で乗り込む。
しかしそれは、部下のジョンヒが運んでくる「GUSOH」を回収し、いそかぜを乗っ取るためであった。
彼らテロリストを止めるために潜入していたDAISの如月行を押さえ、「いそかぜ」搭載のミサイルを東京首都全域に目標設定し、大量破壊兵器「GUSOH」をちらつかせ、首都全域の人々を人質に日本政府と、北朝鮮へのクーデターを目論む。
原作では後述の通りジョンヒを巡って行に嫉妬めいた感情を抱くなど感情豊かな場面が多く見られるが、映画版ではジョンヒの死に動揺したと思われる場面があるのを除けば一切感情を表に出さず、終盤で仙石と対峙したときには一言も言葉を発しなかった。
過去
両親は北朝鮮の政治犯収容所に勤める保衛員で、十歳までそこで育つ。
しかしある時暴動が起き、両親は惨殺。ヨンファは救援に来た軍の中隊の指揮をとっていたリン・ミンギ、後の人民武力省偵察局長に拾われる。
その後平壌で育ち、軍に入隊。十五年後、北朝鮮の工作員として活躍するようになる。
しかし、育ての親のリン・ミンギがアメリカと通じているのに気付いたヨンファはミンギを殺害。その首を切り落とし、北朝鮮中央に届ける。
そして祖国を変えるため謀略を張り巡らし、アメリカで開発された生物兵器「GUSOH」を沖縄で強奪、宮津弘隆の息子の書いた論文「亡国の楯」を読み、国から危険視された息子を殺された宮津弘隆に接触。息子の死の真相を話し、テロへと誘う。
交流関係
ジョンヒ
部下であるチェ・ジョンヒは、リン・ミンギの元でヨンファと同じく養子としてもらわれ、工作員としての訓練を受けた。従って、ジョンヒはヨンファにとって年の離れた義理の妹である。
ヨンファとジョンヒは特殊な関係であり、恋人とも家族ともただの部下とも違う、ただの義兄妹の枠に収まらない関係である。
ジョンヒが韓国上陸作戦で声帯を失い、更に虜囚の身になったところをヨンファは救助。それだけではなくジョンヒを凌辱した韓国保安局員を時間をかけ一人残らず殺した。
それ以来二人の間に不思議な絆が生まれ、声の出せないジョンヒとは精神感応のような形で話すことが出来る。
ヨンファはジョンヒを傷つけるものを決して許さず、それが二人に恋愛とも家族愛とも違う特殊な形の絆を抱かせることになる。
ジョンヒもヨンファの事を「兄」以上の存在として非常に信頼しており、「兄のやることに間違いはない」「兄以外の男は男ではない」と思っている。
このように特殊な関係の兄妹ではあるが、任務の時はヨンファはジョンヒをあくまでも「有能な部下」として扱い、ジョンヒも自分を特別扱いしないヨンファに絶対の信頼を抱いていた。
だが、物語後半になって如月行と仙石恒史に負け続け、ヨンファは守りに入るようになる。
特にジョンヒは自分を傷つけた如月行を殺さず放っておけと言ったヨンファに失望し、兄を見限り、行へ男としての強さを見出しヨンファを見限る。
映画版ではジョンヒの死後ヨンファが幼少期の自身とジョンヒらしき幼女が写った写真を焼く場面があり、原作とは異なり血のつながった兄妹だったことが示唆されている。
如月行
DAISの工作員。
当初彼を「優秀な工作員」と行の優れた素質を見出し、国に見捨てられた者同士手を結び協力しようと持ち掛ける。
だが行は「あんたは兵士なんかじゃない、ただの狂った人殺しだ」と拒否。
その後、仙石恒史と共にヨンファの野望を打ち砕かんとことごとく邪魔してくるのに加え、義妹であるジョンヒが行に殺されたのを機に、彼と仙石を殺す事を決意する。
そこには、ジョンヒに見限られ、彼女が行の元へいったという事実が大きく作用しており、終盤対峙した仙石からは「男の嫉妬はみっともねえな!」と言われている。
「亡国のイージス2035」のホ・ヨンファ
声:置鮎龍太郎
海上自衛隊呉基地に停泊していた最新鋭ブイ・ウェッブ艦を強奪した国籍不明の武装集団「千里馬艦隊」の艦隊司令(首領)。
自らを「三十年前の亡霊」と名乗り、進行を止めるべく立ちふさがった海上自衛隊第6護衛隊群に対し躊躇なく「GUSOH」を弾頭に搭載したミサイルを撃ち込むなどいそかぜ事件当時のヨンファ以上に冷酷な性格。
しかし米第8艦隊に所属するリー・チュイリエン少尉と連絡を取り合う、第6護衛隊群と対峙した際にはリーらしき人物が第6護衛隊群を恫喝する、千里馬艦隊が米第8艦隊にGUSOHを使用した際にスタンフォード第8艦隊司令が「何かの間違いだ」と反応する、「いそかぜ」に追いつめられた際にいそかぜ事件で30年前のヨンファが放った言葉を繰り返すなど不穏な一面を見せる。